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第二十五話
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「ティティ...... 目が覚めたか」
「レージ、もう十分です。 そなたは眠っていなさい」
(これは達人モードか...... だが口調や雰囲気がちかう)
「ティティ、あいつらは魔法をまとう攻撃をしてくる。 気を付けろ」
「女が一人ふえただけ! いくわよ! ゴルドア! スラッシュソード!」
「もう時間もない! これで決めるぞ!! フルエナジーアクス!!」
ふたりがティティにせまる。
「さっきより速い!! ティティーー!!!」
ふたりの剣と斧がティティに当たる。
「なっ!!」
「切れない!!」
当たったかに見えた攻撃はティティの手前でとまった。
ティティの体を包む膜のような白い光がみえる。
(当たってない...... あれはまさか魔力か!)
「目覚めた我に、そなたたちでは皮一枚切ることは叶わない」
「なめるな!!!」
「魔力をこめて、おしきるぞ!!」
押しきろうとふたりが叫んだ。
「......不敬です」
「がはっ!!」
「きゃあああ!!」
そうティティは一喝すると、ゴルドアとメディアは弾き飛ばされ壁に叩きつけられた。
(すげえ...... あれがティティの力...... いつもとは違......う)
俺はそれをみながら意識が遠くなっていった。
「うっ...... ここは」
目が覚めるとほほをぱんぱんに張らしたリヴァがいた。 そこはダンヒルさんの屋敷の部屋のようだ。
「どうなった?」
「裏切りもんの四人とも捕まったで。 どうやらティティがやったらしいけど、本人も覚えとらん」
どうやらティティがポケッとしてるのを、目が覚めたリヴァが見つけたらしかった。
「それにしてもリーダー全員が共謀とはな。 いまギルドに引き渡されたとこや」
「そうか、いてっ!!」
「おい、まだ動くなや。 その傷、骨までいってたらしい。 やばかったで自分。 ティティの回復魔法で何とか傷口くっついてるけどな」
肩に包帯が巻かれていた。 少しはなれたところでティティが眠っている。
「くかー」
(アホ面でよだれだして腹かいてやがる。 まあ助かったが...... しかし、あのときのあれはなんだったんだ)
「それにしても、ウチらのほっぺたぶつとは、あいつらなめたことしてくれたわ! いまだにヒリヒリしとる! 連れてかれる前に蹴っ飛ばしといたったわ!」
そうほほを真っ赤にして怒っている。
(それは俺がやったんだが、まあいつもの怒りも加わってやりすぎたかもしれん......)
「すまなかったな...... まさかリーダーたちが裏切っていたとは、まるで気づかなかった」
ダンヒルさんは俺に謝った。 あれから数日たち、国からの依頼を受注できたという。
「それで、どうなりましたか?」
「皆ギルドにつれていかれ、他に仲間がいないかを尋問されてから国に引き渡された。 そしてネルネストは捕まった。 まあ貴族たちはしらを切るだろうがな」
「そうですか。 ですがなにか気になることでも?」
話をするダンヒルさんの表情が気になったのできいた。
「ああ、妙なことがあるのだ...... 国のものがネルネストを捕縛したあと、ネルネストの屋敷が燃やされたのだ」
「屋敷が......」
「なにかを物色したあとがあるから放火の疑いがあるのだが...... 恨みも買っているだろうからおかしくはないが、タイミングが気になる......」
(ネルネストの屋敷が荒らされた...... 邪神の宝珠、まさかな)
「君はよくやってくれた報酬ははずんだ。 またなにかあれば頼む」
「ええ、わかりました」
俺たちはダンヒルさんの屋敷からでた。
「これでたこ焼きの屋台を買えますね!」
「本気でやるつもりかよ」
「当たり前や! なんのために危険な仕事を請け負ったと思ってんねや!」
(まあ今回は覚醒ティティには助けられた...... 多分二人が起きていたとしても、あいつらは倒せなかったからな。 しょうがない好きにやらせるか)
それから一週間後。
「よし! 屋台ができたで!」
リヴァが声をあげた。 そこには木製の屋台がある。 ギルドからの報酬で屋台を買って、たこ焼きやき器をいくつものせるよう改造した。
「木製だけど大丈夫か?」
「縁は鉄やから燃えへん」
「火力が薪なので買っておきました」
「さあ売りにいくで!!」
「で結局俺が引くのか」
俺は屋台を引き、町の中央へと移動する。
「ちゃんと営業許可とったのかよ」
「無論です! 計画表をだし、商業ギルドにも加盟しています!」
「そうや! ちゃんと衛生審査も通っとる!」
(こ、こいつら本気だ! なぜこんな余計なことにはまともにやれるんだ?)
中央の人通りの多い公園の前に屋台をおいた。
「では始めます」
薪に火をつけ、鉄板に生地を流し具を仕込んでいくと、ティティは器用に鉄の串を使い丸めていった。
「ほら、呼び込みするで!!」
「でも名称はなににする? タコじゃないぞ。 クラーケンだぞ」
「たこ焼きや! たこ焼きはたこ焼きや! クラーケン焼きなんてだれが買うねん!」
(いいのかよ)
「いらっしゃい! いらっしゃい! とても珍しいたこ焼きやで!! 美味しいからいっこ食べてみて!」
「たこ焼き? なにそれ?」
公園を歩いていた女性が話しかけてきた。
「まあ、食べたらわかる。 ほなこれ」
そういってリヴァはつまようじをさしたたこ焼きを差し出した。
「じゃあひとつだけ......」
女性はすこし戸惑いながら、リヴァの押しに押されて、おっかなびっくりひとつ口に入れた。
「あつっ!! はふっ、はふっ」
「どや?」
「ふう、ふう、とても熱いけど! 美味しいわ!!」
「なんだいいにおいだな。 それは食べものか?」
そばにいた人たちが興味をもって集まってきた。
「はいー! たこ焼きやで!! みんな食べてみてやー!!」
リヴァの声が公園に響いた。
「レージ、もう十分です。 そなたは眠っていなさい」
(これは達人モードか...... だが口調や雰囲気がちかう)
「ティティ、あいつらは魔法をまとう攻撃をしてくる。 気を付けろ」
「女が一人ふえただけ! いくわよ! ゴルドア! スラッシュソード!」
「もう時間もない! これで決めるぞ!! フルエナジーアクス!!」
ふたりがティティにせまる。
「さっきより速い!! ティティーー!!!」
ふたりの剣と斧がティティに当たる。
「なっ!!」
「切れない!!」
当たったかに見えた攻撃はティティの手前でとまった。
ティティの体を包む膜のような白い光がみえる。
(当たってない...... あれはまさか魔力か!)
「目覚めた我に、そなたたちでは皮一枚切ることは叶わない」
「なめるな!!!」
「魔力をこめて、おしきるぞ!!」
押しきろうとふたりが叫んだ。
「......不敬です」
「がはっ!!」
「きゃあああ!!」
そうティティは一喝すると、ゴルドアとメディアは弾き飛ばされ壁に叩きつけられた。
(すげえ...... あれがティティの力...... いつもとは違......う)
俺はそれをみながら意識が遠くなっていった。
「うっ...... ここは」
目が覚めるとほほをぱんぱんに張らしたリヴァがいた。 そこはダンヒルさんの屋敷の部屋のようだ。
「どうなった?」
「裏切りもんの四人とも捕まったで。 どうやらティティがやったらしいけど、本人も覚えとらん」
どうやらティティがポケッとしてるのを、目が覚めたリヴァが見つけたらしかった。
「それにしてもリーダー全員が共謀とはな。 いまギルドに引き渡されたとこや」
「そうか、いてっ!!」
「おい、まだ動くなや。 その傷、骨までいってたらしい。 やばかったで自分。 ティティの回復魔法で何とか傷口くっついてるけどな」
肩に包帯が巻かれていた。 少しはなれたところでティティが眠っている。
「くかー」
(アホ面でよだれだして腹かいてやがる。 まあ助かったが...... しかし、あのときのあれはなんだったんだ)
「それにしても、ウチらのほっぺたぶつとは、あいつらなめたことしてくれたわ! いまだにヒリヒリしとる! 連れてかれる前に蹴っ飛ばしといたったわ!」
そうほほを真っ赤にして怒っている。
(それは俺がやったんだが、まあいつもの怒りも加わってやりすぎたかもしれん......)
「すまなかったな...... まさかリーダーたちが裏切っていたとは、まるで気づかなかった」
ダンヒルさんは俺に謝った。 あれから数日たち、国からの依頼を受注できたという。
「それで、どうなりましたか?」
「皆ギルドにつれていかれ、他に仲間がいないかを尋問されてから国に引き渡された。 そしてネルネストは捕まった。 まあ貴族たちはしらを切るだろうがな」
「そうですか。 ですがなにか気になることでも?」
話をするダンヒルさんの表情が気になったのできいた。
「ああ、妙なことがあるのだ...... 国のものがネルネストを捕縛したあと、ネルネストの屋敷が燃やされたのだ」
「屋敷が......」
「なにかを物色したあとがあるから放火の疑いがあるのだが...... 恨みも買っているだろうからおかしくはないが、タイミングが気になる......」
(ネルネストの屋敷が荒らされた...... 邪神の宝珠、まさかな)
「君はよくやってくれた報酬ははずんだ。 またなにかあれば頼む」
「ええ、わかりました」
俺たちはダンヒルさんの屋敷からでた。
「これでたこ焼きの屋台を買えますね!」
「本気でやるつもりかよ」
「当たり前や! なんのために危険な仕事を請け負ったと思ってんねや!」
(まあ今回は覚醒ティティには助けられた...... 多分二人が起きていたとしても、あいつらは倒せなかったからな。 しょうがない好きにやらせるか)
それから一週間後。
「よし! 屋台ができたで!」
リヴァが声をあげた。 そこには木製の屋台がある。 ギルドからの報酬で屋台を買って、たこ焼きやき器をいくつものせるよう改造した。
「木製だけど大丈夫か?」
「縁は鉄やから燃えへん」
「火力が薪なので買っておきました」
「さあ売りにいくで!!」
「で結局俺が引くのか」
俺は屋台を引き、町の中央へと移動する。
「ちゃんと営業許可とったのかよ」
「無論です! 計画表をだし、商業ギルドにも加盟しています!」
「そうや! ちゃんと衛生審査も通っとる!」
(こ、こいつら本気だ! なぜこんな余計なことにはまともにやれるんだ?)
中央の人通りの多い公園の前に屋台をおいた。
「では始めます」
薪に火をつけ、鉄板に生地を流し具を仕込んでいくと、ティティは器用に鉄の串を使い丸めていった。
「ほら、呼び込みするで!!」
「でも名称はなににする? タコじゃないぞ。 クラーケンだぞ」
「たこ焼きや! たこ焼きはたこ焼きや! クラーケン焼きなんてだれが買うねん!」
(いいのかよ)
「いらっしゃい! いらっしゃい! とても珍しいたこ焼きやで!! 美味しいからいっこ食べてみて!」
「たこ焼き? なにそれ?」
公園を歩いていた女性が話しかけてきた。
「まあ、食べたらわかる。 ほなこれ」
そういってリヴァはつまようじをさしたたこ焼きを差し出した。
「じゃあひとつだけ......」
女性はすこし戸惑いながら、リヴァの押しに押されて、おっかなびっくりひとつ口に入れた。
「あつっ!! はふっ、はふっ」
「どや?」
「ふう、ふう、とても熱いけど! 美味しいわ!!」
「なんだいいにおいだな。 それは食べものか?」
そばにいた人たちが興味をもって集まってきた。
「はいー! たこ焼きやで!! みんな食べてみてやー!!」
リヴァの声が公園に響いた。
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