やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第五十七話 時の狭間

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 暗闇を抜けると突然草原が現れた。  

「こ、これはどういうこと?」

「青空だわ......
 ここどこなの?」 

「ここは時の狭間。
 かつて我が作った外とは時間の流れが異なる空間だ」 

 そういうとベルは歩いていく。
 ついていくと大きな木のそばで寝ている少女がいる。

「おきるのだ」

「ん、ふああ、あっ! ベルくん!! おひさ!」

 赤い髪の少女はそういってにこやかにいった。

「ベルくん?」

 オレとメルアには顔を見合わせる。

「お主も変わりないなカイよ。
 千年ぶりだな」

「えーー! 
 もう千年もたったの!!」

 カイと呼ばれた少女は驚いている。

「おいおい......カイって」

「千年ってまさか」
 
「そうだ。
 この者が勇者カイだ」  

「えーーーー!!」

 オレとメルアは同時に叫んだ。

「ど、どういうこと!?」

「な、なんで勇者がここに!?」

「ふむ、何から話せばよいかな」

「勇者なんてやめてよ。
 私は罪人なんだよ......」

 そういってカイは目を伏せていった。

「わたしはカイ、かつて世界を滅ぼしかけた者」

「滅ぼしかけた......
 どういうこと?
 ベルを倒して封印した勇者なんだろ」

「それは......」

「いいよベルくん。
 私が話すから」

 そういうとカイは順を追って話し始めた。

「そうそれは千年前、人間たちは古代遺跡を発掘して魔法技術を手に入れた。
 それは人間たちの暮らしをとても便利にみんなを豊かにした。
 でも、それには代償があったの......
 魔力の枯渇......」

「魔力の枯渇......
 なくなっちゃうってこと?」

「そう、なんでも叶う技術だったけど膨大な魔力が必要だったの......
 そして大地から魔力がなくなった。
 人間たちは魔力を失った土地で滅びを待つだけとなった。
 そこで人間はあることを考えた」

「あること......」

「それは魔族の魔力を奪うこと」

「!?」 

「なるほどね......」  

「そして戦争が起こりベルくんは魔族を守るため戦った」

「でも、あんたにカイに負けたんだろ」

「それは正確じゃないわ......
 わたしは魔力の大きさから古代技術で見つかった魔力で動く戦闘兵器に乗せられたの。
 それは私の意志とは関係なく戦った」

「全然伝わってる話が違うな」

「人間たちがのちに都合よく作ったんでしょうね」

「ベルくんはわたしを救うため戦闘兵器を止めた。
 でもわたしの魂はその兵器と一体化していて消えかけていたの。
 ベルくんはそのわたしをこの時の狭間を作って移してくれたのよ」

「ん? 話が見えないな。
 それならなんでベルが封印されていたんだ?」

「それわね。 私がお願いしたからなの。
 人間たちを救ってほしいって」

「願い......」

「もちろん身勝手な願いだとはわかっていたけど......
 でもベルくんは聞いてくれた。
 自らの魔力を人間の大地に放出した......
 自分の剣...... あなたの持ってるその剣グランドレインでね」

「これで......
 あそこにいたのはそれでか......」

 オレは腰に差した剣を触る。

「なんなのー
 すごいかっこいいことしてるじゃーんベルぅー」

「うりうり、なんでいままではなさなかったのー
 恥ずかしかったのー、うりうり」

 オレとメルアがベルをいじる。

「やめんか」

「あっはははー
 この話を聞いてその反応なんだ。
 やっぱりベルくんの友達は面白いわね」

 カイは笑っていった。

「まあな。
 たが、昔話をしにきたわけではない」

「キサスくんね......」

「ああ、あやつ魔王ゼロなどと言うもののと共に人間たちを滅ぼそうと目論んでおるらしい。
 いまの我では戦えぬ」

「そう...... やはりそうなったのあの子......
 わかったわ。 でもいいの?
 かなり危険よ」

「仕方ない。
 それにいずれはやらねばならんかったことだ」

「そう、ありがとう......」

 そう礼をいうとカイは真面目な顔をする。
 そして呪文を唱える。

「我が剣、我が鎧、我が魂をもって、その虚ろなる体を我が依代《よりしろ》とせん!」

 するとカイの体が輝き巨大な鎧姿となった。

「いまからあなたたちにはこの戦闘兵器(エンシェントアーマー)と戦ってもらいます」

「ええーーー!!」


 オレとメルアの声が重なる。



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