やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第五十六話 氷華宮殿《アイスパレス》

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「ぐああ! 寒っ! 寒っ!」

「凍る! 凍っちゃう!!」

 オレたちは猛吹雪の中歩いていた。

「ふむう、さすがにとこぞで休まねえばな。
 シンジよあの地面のに魔法弾を撃ってくれ」

 ベルにいわれて魔法弾で穴を作ってオレたちは中に入った。
 
「こんな寒いのかよ甘くみてた......
 しかもモンスター激強だし......」 

「そうよ! 
 何なのあのモンスターの強さ」

「うむ、ここは吹雪が常に襲う極寒の地。
 そこで生きるモンスターは並の強さではない。
 が......それにしても」

「わ、わたし帰るわ、わ」

「帰れるかよ。 
 一人だとモンスターに食われて確実に死ぬぞ。
 オレも新しい魔法を考えないとたどり着く前に死ぬ」

 ベルは魔力で暖かい紅茶と食事を出してくれた。

「うまい、一応リーゼルのつくってくれた栄養剤で体力も回復できるがくそまずいからな助かる。
 それにしてもこんなとこに本当にすんでんのか」

「ああ、あやつは他の者との接触を避けてここにこもっておるはず」

「いったい何者なの?」

「魔族だ。
 魔族の皇帝でもある」

「ん? 魔王とは違うのか」

「うむ、魔王は単に強さなどで呼称されているだけで、国や民があるわけではない。
 最初に国を作り魔族を統率したのがその者、魔帝リューガリアだ」

「リューガリア......
 確か十年前、魔王ゼロを倒した勇者がリューガリアだけど......」

「ん? それってどういうこと?」
 
「ふむ、わからん。
 が会えばわかるだろう」

 オレたちは体力を回復するとリーゼルからもらった魔力感知の指輪を
 使い進む。
 
「また! モンスターかよ!」

「アイスゴーレムだわ!」

「まえに戦った奴の数倍強い!
 リブーストも効かねえ!」
 
「魔法も効きずらいし!
 何なのこいつ!」

「我のゴーレムキラーでも斬れん。
 シンプルに固い、しかも魔力で体全体をシールドしておる。
 ダメージを与えるのは容易ではないな。

「くそ! 
 何かないか!
 リバウンドで魔力弾を跳ね返しても弱いか!
 いや......
 よし!! やってみるか!」
 
 オレは大量の魔力弾を撃ち拡散させ幾度もバウンドさせ威力をあげる。

「リバウンドジェイル!!」
 
 上下左右から魔力弾が放たれアイスゴーレムを粉砕した。

「やった!」

「うむ、見事」

「ふーん、まあまあね」

「何がまあまあだ!」

「でも、リバウンドジェイルウウはないわ」

 メルアがほくそえむ。
 
「ぐっ!」
 
「リバウンドジェイルゥゥ」

「ぐっ!」

「リバウンドジェイルゥゥ、ダサ」

 メルア鼻でわらう。

「うるせえ!」


 数日かけて歩いた先に巨大な氷でできた宮殿を見つける。

「これは!?」

「ああ、リューガリアの城、氷華宮殿《アイスパレス》だ」

「さ、さっさと、は、入りましょう。 さむっ!」

 中は透明に見える特殊な石でできていた。
 人の気配はしなかったが、奥にとてつもない魔力を感じる。

「奥になんかいるな。
 かなり強い魔力だ」

「ホントに大丈夫でしょうね。
 行きなり襲ってこない?」

「あやつは温厚な性格ゆえ唐突に襲ったりはしない。
 早く行こう。
 かつてより魔力がおちておる......」

「これでかよ!」

 オレたちが奥に進むと、大きな部屋に天蓋つきのベッドに横たわる人物がいた。

「よくおいてくださいましたね。
 ヴァルザベール様......」

 からだを起こした緑の髪の女性はいう。

「久しいな息災......
 ではないな」

「このような姿で申し訳ありません......
 ここにこられたのはヴァルキサスのことですね」

「うむ、十年前の魔王を倒した勇者とはお主なのか?」

「......はい、十年前突然魔王ゼロと名乗る者が現れ、モンスターを率いて世界を襲いました。
 それゆえ私はその野望を阻止するために戦ったのです」

「それで、ヴァルキサスをみたのか」

「はい、彼は魔王配下の三魔将として軍を率いており、私に共に人間たちを滅ぼそうと持ちかけてきました。
 が私は断り隙を着いて何とか退けることに成功しました。
 そして魔王ゼロを倒したのです」

「ふむ、それでその体か......」

「はい、ヴァルキサスとの戦いでかなりの深手をおってしまいました......」 

「では魔王ゼロとは」

「あの魔王は存在が不安定でヴァルキサスが消えたあと容易く排除できました。
 おそらく不完全な状態での復活させたのかもしれません」

「ふむ、なるほど。
 魔王ゼロとやらはその時、復活させられたということか。
 ならば最初はどこで何をしておったのだ」

「それはわかりません......
 ......しかしもし完全な存在であれば、全盛期のヴァルザベール様に匹敵するやもしれません......」
 
「おいおい嘘だろ......
 ベルの全盛期なんて......」

「勇者カイでもいないと止められないわよ......」  

「それほどの者が元よりいれば我が知らぬはずは......
 いやそれより、今はその復活を止めねばならんな」

「そうですね。
 やはりあそこに行かれるのですね」

「うむ、そなたの体の状態では難しいが頼めるか」

「私がいままで生きていたのは、必ずあの魔王とヴァルキサスが現れると思ったからです。
 そしてあなた様も......
 ですからこうなることはわかっておりました。
 気になさらないでください」

 そういうとリューガリアはゆっくりベッドからおきだし、呪文を唱え始める。

「現世の理、時の流れを断ち切れ、禁忌の法、エクストラルーラー!!」

 呪文が終わると、目の前に黒い門が現れる。
 リューガリアは肩で息をしながら、こちらをみる。

「ヴァルザベール様......
 何とぞこの世界をおまもりください......
 そしてお二人共ヴァルザベール様を頼みましたよ......」

 そういうと床に伏せた。

「うむ、ゆるりと休め」

 ベルはリューガリアを抱くとベッドに乗せこちらを振り向く。
 
「お主らこの先は命の保証はできぬ。
 進むかとどまるかは己で決めよ」

「留まる!!」

 オレが即答すると、メルアに殴られる。

「あんた空気読みなさいよ!」

「わかったよ! 
 なんか知らんが、行かないと行けない気がするからいくぜ」

「仕方ないわ。
 その代わり後でこの城の金目の物をもらうけどね」

 ベルは優しく微笑む。

「ではいくぞ」


 オレたちは門をあけ見える暗闇の中に入った。
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