やり直しの大魔王の弟子

曇天

文字の大きさ
55 / 63

第五十五話 旅立ち

しおりを挟む
「ええ、こちらでも確認しました。
 彼らの服と魔法の腕輪はありました。
 お話の通り彼らは死んだのでしょうね......」 

 レスパーがそういった。

「うむ、あの者たちは体が結晶化しておった」 

「それなんですがベルさんが持ち帰った結晶の欠片を調べると、肉体を魔力の結晶に変換した痕跡がありました」

 リーゼルがいう。

「錬金術《アルケミスト》でしょうが、どうも古代魔法技術のようですわ」

「やはり......そうか」

「ベル様」

 メリエールが心配そうにベルを見ている。

「ああ、忘れてた。
 シンジさんは免罪されましたので」

「......ほ、ほまえ、わ、わすれるな......」

「それにしてもペラペラになってしまいましたね」

 オレはムキムキの指輪の反動でペラペラの紙のような体になっていた。
 笑いを圧し殺しながら、ではまたとレスパーは帰っていった。

「もう! タオルどこよ! 
 ちゃんと置いておいてっていったでしょ!
 シンジ!」

 そういってメルアはオレで手を拭いた。

「お、オレで、て、てを、ふ、ふくな」

「なんだそこにいたの、もっかい手を洗わないと」
 
「ふ、ふざけんな、よ、おまえ......」


 一日たって元の体に戻った。

「あの仮面が三魔将の最後の一人、大錬金術師《アルケミストマスター》か」

「魔力の高い人間を結晶化するため、囚人を脱獄させたのね」

「仮面の男と混沌教団のこと調べてみるとレスパーさんもいってましたし、どうですシンジさんちょっとボクの試作品をためしてませんか?  
 いや試しましょう! いますぐ試すんです!!!」

 鼻息荒くリーゼルがつめてくる。

「いやだ!!
 おまえのせいでムキムキからペラペラになってんだぞ!!
 誰が試すか!!」

 オレは逃げた。
 外にでるとベルが屋敷の端の切り株に座りたたずんでいる。

「なにたそがれてんだ。
 悩みごとかよ」

「......ふむ、少しな」

「......仮面の男のことか」

 オレがいうとベルは驚いている。

「わかるさ、あいつ知り合いなんだろ」

「なぜそう思った......」

「奴の仮面が外れたとき、おまえとメリエールは驚いていたからな」

「ほほほ、へんなところで鋭いの」

「あの力だ。
 多分幹部、もしかして四天王か」

「......うむ、錬成のヴァルキサスという者だ」

「魔族かモンスター、いや精霊? 奴も封印が解けたってことか?」

「それはない......
 あやつは人間だからな」

「千年もいきてたってことか!?」

「わからん、だがあやつは紛れもないただの人間だった......」

「魔王じゃなくて、おまえを復活させようとしてるんじゃないのか」

「それはないな。
 あやつは千年前にたもとをわかち我の元を去った」

「去った?」

「あやつと我の考えが異なったからだ。
 あやつは人間を滅ぼすべきと強弁に主張しておった」

「人間が人間を!?」

「うむ、あやつは人間を憎んでおった。
 あやつは元々ある国の王子であった。
 幼き頃その国が他国によって攻め滅ぼされ、ひどい迫害を受けたらしい、心身ともボロボロになりさまよっておるところを我が拾って育てたのだ」

「......それで人間を、か」 

「うむ、その後人間と我らの戦いが始まった。
 我が和平を望むのに対し、あやつは人間を滅ぼすべきだといってわが元を去る」

「それから十年前に魔王ゼロの幹部に......」

「そうみたいだな。
 何にせよあやつを止めねばならんな」

 ベルは思い詰めたような顔でそういった。

「あれは尋常じゃない強さだったぜ。
 正直勝算があるのか」

「うむ、ひとつだけな。
 もう一人の四天王にあわねばならんようだ。
 その場所まで行ってくる」 

「オレも行くぞ」
 
「そこはヤード氷原にある。
 確かにシンジはつよくなったが危険すぎるぞ。
 それでも来てくれるか」
 
「オレを鍛えたのはおまえだぜ師匠。
 それを疑うのかよ」  

 オレがそういうとベルは少し笑い。

「そうだな。
 では共に行くか」

「ああ、オレも新しい魔法をつくるぜ!」

「いーかげん回復も覚えなさいよね。
 わたしが困るんだから」

 メルアがいつのまにかそこにいた。 

「おまえも行くつもりかよ。
 お宝なんてないぞ」

「うっさいわね。
 別にお宝なんてなくてもいくわよ。
 もちろんあればいただくけどね」   

「では三人でいくとしようぞ」


 オレたち三人は最後の四天王に会いに行くことにした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...