やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第五十四話 大錬金術師《アルケミストマスター》

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 オレとベル、メルア、メリエールは逃げた囚人を追うため、レスパーが教えてくれた盗賊たちの隠れ家を潰して回る。

「ぶらぁぁぁ!
 悪いごはいねーがー!!」

「あんたらのお宝はわたしのもの!
 わたしのものはわたしのもの!」

「くいもんよこすのじゃーー!」

「うわああきたーー!!! 
 巷で噂のクリミナルスレイヤーだーー!!」
 
「お主たちが悪者みたいだの」

 オレは八つ当たりをかねて盗賊や山賊、海賊、果ては裏の組織まで潰し暴れまわる。
 その事からクリミナルスレイヤーの異名がつけられ、悪党から恐れられていた。
 盗賊をボコり町につれかえる。

「おお!! また盗賊どもをとらえてきた!」 

「これで千人はいったね!」 

「助かる近隣の悪党どもは恐れをなして逃げていったから治安がよくなったよ」

「さすが元英雄兼のぞき魔のクリミナルスレイヤーシンジだぜ!」

「すごいぞ!
 のぞき魔ヒーロークリミナルスレイヤーシンジ!!」

「やるじゃない!
 のぞき魔ヒーロークリミナルスレイヤーシンジ!!」

「僕らの
 のぞき魔ヒーロークリミナルスレイヤーシンジ!!」 

 町の住人がそう叫んだ。

「やめんか!! 
 なんだよのぞき魔ヒーロークリミナルスレイヤーシンジって!! 
 ワケわからんわ!!」

「まあ、評価がプラマイゼロになったからいいじゃない」

「へんなアダ名でマイナスになってんですけど!!」

「うむ、しかし、牢屋に入ったとき付けられた魔力探知の腕輪を追って捕まえたのは八割ってところか」
 
「あきた。シンジのことはほっといてスイーツを食べに行きたいのじゃ」

「ほっとくなや!
 確かあとは魔法犯罪者で魔力が高いはずなのに見つからねえ!」

「おそらく魔法隠蔽《マジックハイド》を使ってるんだわ」

「仕方ないリーゼルが作ってくれるアイテムを頼るしかあるまい」

「もう諦めてスイーツたべにいくのじゃ」

「いきませんよ!」

 
 オレたちは屋敷に戻る。 

「ああ、シンジさんできましたよ!
 魔力探知の指輪です。
 これは魔力隠蔽《マジックハイド》を使っていても、相手を探せる優れものです」

「ええ、あなた方が持っていた魔封玉《マジックシール》を分析してつくりましたの」

「リーゼル、アプリラありがとう!
 これで奴らをおえるぜ!
 ......よし早速」

 オレはリーゼルの渡してくれた指輪をはめた。

「あれ? リーゼルさん! それは違いましてよ!」

「はわっ! 間違えた!
 まってください! それは試作品で!!」

「なんだこれは!?
 力が漲るううう!!」

 オレの筋肉は盛り上がりムキムキマッチョになった。

「なにこれ!?」

「キモ!! なにその体!!」

「このようなときに何をしておるのじゃ」

「ふむ、肉体美か」

「すみませんこっちです。
 それは筋肉ムキムキになる指輪でした」

「そんなもんつくんな!!
 さっさと戻せよ!」

「すぐはムリです。
 魔力がなくなれば自然と元に戻りますから」

「仕方ないわ。
 それで行くわよ!」

「えーー!!」


 オレは無意味にマッチョになって町をひた走る。

「おいあれみろよ!」

「まさかあのムキムキ! シンジか!」

「間違いないシンジだ!」

「かんばれーー!!
 のぞき魔ムキムキクリミナルスレイヤーシンジ!」

「いけーー!
 のぞき魔ムキムキクリミナルスレイヤーシンジ!」

「応援してるぞ!!
 のぞき魔ムキムキクリミナルスレイヤーシンジ!」

 住人が口々にさけぶ。

「またへんなアダ名つけられていじられてる~!!」

「ヒーローなくなってただの変態な感じになったわね」
 
「そんなことよりあっちでよいのかシンジ」 

「ああこっちに魔力の高い奴らが集まってる......
 でもこいつは......」

「そっちはカーマス灯台があるわ!」

 メルアがいった通り、海岸に巨大な灯台がたっていた。
 近づくと、かなり古く人の気配はない。

「昔破棄された灯台よ」

「気を付けろよ。
 上にいる奴らかなりの魔力を持つぞ。
 それに一人だけ化けもんみたいな魔力の奴がいる」

「それはどのくらいだ」

「多分、前にあったディビトラムとかいう魔王よりはるかに大きい......」

「嘘でしょ! どうすんのよ!!」  

「我らは魔力隠蔽《マジックハイド》とリーゼルの透明《ペアレント》をかけておるから、その者一応何者かは確認しておこう」
 
「えー逃げようよー」
 
「そうよ逃げようよー」   

「わらわはスイーツが食べたい」
 
「しかし、このまま逃がすとシンジは収監されてしまうぞ」

「くっ! 仕方ないいくか」

 オレたちはゆっくり慎重に灯台を上る。

「でかくない。
 灯台というか迷宮《ダンジョン》じゃん」

「元々あった古代遺跡を使ったらしいわ」

「古代遺跡か......」

 ベルはなにかを考えるよう押し黙った。

 オレたちは灯台を上へと進む。
 そして魔力の感じる部屋の前にきた。
 部屋から声が聞こえる。

「さあダンナつれてきやした! 
 ここまで隠れながら来るのは大変でしたぜ!」

 それは牢であった男ビヨルドだった。
 その後ろには百名ほどの囚人服の男たちがいた。
 
(あのやろう!!)

 ビヨルドの目の前には長身の仮面を被った人物がいる。
 まとったローブに月の紋章が見えた。

「おい、あんたかオレたちに用があるから脱獄しろっていったのは。
 ちゃんと金は払ってもらえんだろうな」

「ああ、報酬か......
 受け取れ」

 仮面の男は腰から大きな袋を出して放り投げた。
 地面に落ちると袋から高額な金貨が飛び出した。
 囚人たちは我先にと袋に群がる。

(やめろ! メルア行こうとするんじゃない!)

 飛び出そうとするメルアをベルと止めた。
 
「なあ大錬金術師《アルケミストマスター》のダンナ。
 それでオレたちをどこに逃がしてくれるんで?」

「ああ、永遠に追手が来ない場所だ」

 そういうと仮面の男は懐から一つの赤い宝石をかざす。
 すると赤い宝石は輝く。

「なんすか!! そのすげー魔力の宝石は!
 だ、ダンナ!! これは!? 何だ体が!!」

 ビヨルドの体が少しずつ結晶のようになっていく、他の囚人たちも同様に結晶化していった。

「テメー何しやがったぁぁ!!」

 ビヨルドは緑の石をとりだすと投げつけると呪文をとなえる。
 石は爆発し、男の仮面がはがれ落ちた。
 
「あやつは!?」

「ベル様!?」

 ベルとメリエールは驚いている。
 そしてビヨルドたちは結晶となって砕けちり小さな宝石となった。
 それらはスーッと男の手のひらの上に浮かび、男は光輝くと一瞬で姿を消した。
 
「転移魔法《テレポート》か!」

 メルアは落としていった金を拾い集めている。


 オレたちはそのまま帰ったが、帰り道ベルとメリエールは一言も口をきかなかった。
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