最後の傷

愛梨

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最後の傷

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少しづつ…
少しづつ…
ついていった傷
小さな傷
大きな傷
血の流れる傷
血の流れない傷
体についた傷
心についた傷
でも…
誰もその傷に気付かない
気付かれないように
見えないように
ずっと隠してきたから

傷を消そうと努力した
傷を治そうと努力した
でも…
傷は消えない
必ず「痕」が残る
残った傷が疼く…
疼く度に涙が流れて
心が破裂しそうになる

「愛」に…
「愛」によって
初めて深い傷を負った
背中に刺さったままの抜けない剣
「信じた」
そう…
私はあの人の愛を信じた
でも…
あの人は愛の剣で私の背中から心に剣を刺した
今まで感じた事のない痛み
背中から流れてくる
愛の痛み…
あの人は剣を刺したまま
何処へ行ってしまった
心まで貫かれた深い哀しみ
たぶん…
これが最後の傷
だって…
私の体も心も
これ以上傷をつける場所がない
大きな大きな剣が刺さっているから

ねぇ…
この剣を…
「あなた」は
抜きに来てくれるの?
私は…
また長い時間を…
「あなた」を「信じて」
待たなければいけないの?

ねぇ…
「信じて待っていて」
って…
「あなた」は私に言ってくれないの?
言ってくれないと…
あなたを信じて
あなたを愛し続ける事も出来ない…
最後の傷をつけた
愛しいあなた…
もう…
戻ってなんてこないよね…
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