ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

parip Nocturne

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第3章 守るべきか、攻めるべきか

いい出会いに乾杯-38-

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 兵士達は白旗を振る腕の力も無く、土下座ができるほど体はやわらくない。
 兵士達は動けるものは腹ばいになりキッチリ列になっている。
 「降参でいいね」
 アーウェンが言うと、兵達は皆唸りをあげ、悔いいる者、命乞いする者、悲願する者もいる。徐々に、皆の意識が揃い一つの言葉になる。
 「お…ね…が…い。お…ね…が…い。お…ね…が…い…し。ま…す…お…ゆ…る…し…お」
 兵達は皆懇願し、何回も何回も繰り返す。
 雨の勢いは増し兵士達に浴びせる様に降り出す。兵士達は皮膚は,浮かび上がり、擦っただけでスルスルと剥けていく。まるで脱皮の様だ。髪の生えていなかったものは生え変わり、肌の古傷もなくなる。綺麗な地肌に生まれ変わる。
 「僕達に関わるのは止すか」
 アーウェンが高らかに言うと兵士達は恐る恐る声を出す。
 「嗚呼……神誓って」
 ドームの中にいるものは大声で言う。
 『さて、降りますか…下の兵士はドームの中の兵士と意見が違うかもしれない。気をつけて』
 アーウェンがそう念じると、徐々に囲っていた壁が降り、着地できるまで降りたところで、槍兵が一直線に向かって来る。そのままの勢いのまま、こちらを突いてくる。
 すかさず、バニラが前に出る。肩を突き出し、体は一直線にして足は肩幅に広げる。腕を前に出す。腕に合わす様にハルバートが這わす様に、生成される。槍兵はそのままの勢いに乗り突き刺す、硬度の差か、ハルバートに当たった槍は縮んでいく。槍兵はあまりの摩擦に、槍を振り上げ、すぐに剣を抜き、振りかぶろうとすると、バニラの振り落とされたハルバートの餌食になる。
 「がはっ」
 強打により、地面に叩き付けられた様に衝撃が体を支配する。肺が空気を寄せ付けないのかゼーゼーと空気を無理矢理送っている。
 「危ないですよ。急に槍を持って、突進してきたら。他の皆さんは大人しく慕ってくれているのにまた火が燃えて口火になったら真っ先に貴方をコロす事になるんですから」
 バニラはヘルムから出ている首にハルバートを置く。ハルバートの自重で兵の着ている、鎖帷子が耐えられなくなって糸のように切れていく感覚、音が聞こえる。
 アーウェンや皆も見渡す。反抗してこちらに向かって来るものはいない。
 (とりあえず…終わったかな)
 アーウェンはそのまま偉そうにしていた騎士の元に向かう。兵達は、アーウェンが近づくと、道を作るように避けて行く。騎士もまた恐れ慄き、後退りをする。
 「それでは、この紙にサインをして、内容を呼んでもいいよ」
 アーウェンは紙を渡す。
 契約書の内容は、アーウェン並び種族に迷惑をかけないと言うものだ。破った場合大切なものからなくなって行く。そして自ら罪を犯した場合、体の一部が不能になる。
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