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第二章
仮装の村と無双する女王様
しおりを挟む~Side マオ~
大柄な男が一行に近づき、四人は振り返る。
「おいちびすけども。その女王様を俺様に渡しな。さもなくば後悔するぜ。」
話を聞くに、どうもこの村の権力者の一人らしい。仮装の小物に見せかけた本物の凶器をかまえて男たちが睨みを利かせているが、アイザックを渡す気は毛頭ない。
お気に入りの人間を弱小なるものに取られてたまるものか。先程までの苛立ちもあり、問答無用で攻撃しようとしたマオだったが。それより先に口を開いたのはアイザックだった。
「いいですよ。ただし、俺に戦闘で勝ったら、ですけど。」
道の端に落ちていた棒切れを掴むアイザック。
「他の方に当たってしまわないよう、木刀などで相手していただけますか?俺もこれでいいので。」
「へえ、兄ちゃん肝据わってんな。おいおまえら、武器を下げろ。木刀持ってこい。」
「勝負は降参したら負け。他はなんでもあり、どうです?」
「ハンデはいらないのかい、女王様?」
「あったところで、あまり結果は変わらなくないですか?」
「それもそうだなあ、がっはっはっは!!」
アイザックは見た目ではお世辞にも強そうに見えないので、勝利を確信した男どもは乗り気である。
「おい貴様。何故ふざけた勝負を仕掛けた?」
「こわいこわいこわいよマオ。」
怒りのあまりつい胸倉をつかんで持ち上げていたことに気が付き、アイザックを下ろす。
「この勝負を見ている人は、俺につっかかってこなくなるでしょ?」
「どうやって勝つ。」
「え、いつもやってるじゃん。」
近くの岩に棒きれを振り下ろすアイザック。岩は真っ二つに裂けていた。いつも使っているナイフ同様に、強化で棒切れの切れ味を最大にしたのである。
それにしても、棒切れではありえないほどにすっぱりと切れているが……。
「君は本当に見ていて飽きないなあ。」
「それ褒め言葉だよね?ハロ。」
言わずもがな、勝負は一瞬で片が付いた。
勝負開始の合図とともに、相手が持ち込んでいた盾をただの棒きれで一閃したからだ。あっけにとられたところで、木刀を握っている手首からスパンと勢いよく切り落とすアイザック。
最終的に、大柄の男とその手下たちはガタガタと震え、女王様に慈悲を乞うていた。これが逆に絵になっていたことは、言うまでもない。
~Side アイザック~
その夜、酒場にて。
「そこのエロい兄ちゃん、もっと近くで見せてく」
ダァンッ!!
言い終わる前に、身長ほどもあるバターナイフで一刀両断される酒場のイス。
「な・に・か?」
「ひ、ひいいいいいい!!」
「あ、すいません椅子は弁償しますので。」
昼間に比べれば直接絡んでくる輩は減ったものの、あの勝負を全員が見ていた訳ではない。もともと中規模の大きさはある村だし、祭りもあって外部から多くの人が訪れているのだろう。
「大変だねえ似合いすぎるのも。」
「よくあのテンションのアイザックに声をかけられるものだ。」
とはジュアンとマオの言。席を外していたハロが戻ってきた。
「宿屋を確保してきたよ。二人はまだ食べてていい。アイザック、行こう。」
「そうする。いいかげんうんざりしていたところだ。」
宿屋に移動して部屋に入る。
「今日はマオとジュアン、君は僕とでかまわないよ、ね?」
そう言いハロは鍵を閉めた。同時に部屋中に結界を張り始める。
「どうした?敵性反応は感じられないが。」
そう、何の異常もない祭りの夜だ。外では人々が松明を燃やし、大きな焚火を囲む。屋台が出て騒がしく、魔物が出ればすぐにわかるだろう。
「だってさ、隣の部屋に声が漏れたりしたら君が困るだろう?」
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