追放置き去り婚約破棄されたので拾われ溺愛狙います

つるぎ

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第二章

13.盗賊退治……?③

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 男は駄目押しとばかりに言葉を続ける。

「あいつらの様子、見てみるか? 酷ぇもんだぜ? 新しく入った奴が取りなしちゃいるが、リーダーが周囲に当たり散らしててな。なに、サービスだ。今後の御贔屓にってな」

 メイベルは唇をきゅっと結び、深く息を吸った。

 この様子だとフィリッパが代役をしていた時もバレているだろうことを、メイベルは悟ったが否定を口にした。

「何度も言うようだけど、人違いだから。そのシャーロットって人には忠告しておかないとだわ。アンタみたいな奴が居るって」

 実力を認めてもらうより、ずかずかと人の心に踏み入ってくる不快感の方が上回った。

 メイベルは、傷ついているのだ。
 だからといって誰かれ構わず泣き縋りたいとも思わない。

 どいつもこいつもメイベルをなんだと思っているのか。

 利用価値とか、何かを出来る出来ないとか、そういったもの全部を取っ払って、何者でもないメイベルを、どうして誰も見てくれない。

 愛してくれる人も受け入れてくれる人も居ない。

 努力をしても認められず意味がないのなら、ここに居る理由はなかった。
 他人に利用されるだけなら、そうならない場所を見つけ出すしかない。

 やっぱり、神君竜王へお会いしに、メイベルは遺跡に行くしかないのだ。

 遺跡の外れにでも住む場所を見つけて、そこで生きていく。なんだったら神君竜王が居そうなところをめぐって行けばいい。

 サバイバル技術はギルドで身につけたし、ダンジョンクリアで実践も済んだ。聖女候補としてヒーラーの技量もある。

 ずっと孤独だったから、たった独りぼっちの生活になろうが問題はない。人の世の中に居るでなし、最初から独りの世界なのだから。

 もし定住した場合、世情は偶の遠出で見ていけばいいのだ。禁足地へ踏み入ろうとする情勢だけ気を付けていれば。

 ほら、何も不便はない。

 メイベルは内心晴れ晴れとした気持ちで、知らず落としていた視線を上げた。

「二度と、私に関わろうとしないで。これは誓いゲッシュよ」

 引き際を悟って、男は苦笑いを浮かべた。

「分かった。俺はこれで引く。だが、誓いゲッシュは無しだ。重すぎる。悪いが、俺は根無し草なんでね、荷物は軽い方が良い」

「情報もそうでは?」
「駆け引き次第だぜ、嬢ちゃん。だから、頼むぜ?」

 よほどメイベル自身に、男に関わる誓いゲッシュを立てないで欲しいらしかった。

 風来坊に恥じず、たとえ今後出会うことがなくても、誓いゲッシュがあること事態を避けたいと見える。

 その願いは、今のメイベルには少し分かるような気がした。

 追放された身であれ高貴なる者の務めは、この盗賊の件のようにメイベルを駆り立てさせるが、本当はもうこんなことはしなくていいのだ。

 ましてメイベルは令嬢。淑やかに慈善事業をこなすだけでお釣りがくる。

 その、これらから解放されることの心地良さよ。

 何を気兼ねすることもない自由さは、城の窓から見る大空の小鳥のようだった。

 それでも立ち上がってしまうのは、メイベルに義憤があるせいだろう。

 そこに。

誓いゲッシュとは、穏やかじゃないな」

 穏やかで、だけども、うすら寒さをまとう声が、メイベルを捉えるように塔の中を通った。
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