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第二章
15.信じない信じない信じない②
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「レディ、あなたは私が」
「婚約者が居るんですよね?」
顔を顰め暗に不貞を匂わせれば、オズワルドは清廉潔白を示すように騎士然とした。
「淑女をお守りするは騎士の誉。これを蔑ろにしては、逆に怒られてしまう」
メイベルは一も二もなく逃げたくて、ずり、と後ろに下がった。
「元って言ってませんでした?」
「我が婚約者の名誉にかけて。私は彼女に恥じない振る舞いをしているまでです」
「変に、いま丁寧になってるのも?」
「ええ」
「元なのに……?」
「元であっても」
魔王の監視が目的なのに?
メイベルは言葉を飲み込んだ。
今は辛抱の時。どんなに焦がれたって、外堀を埋め、相手の本当の目的のために紡がれた嘘を真に受けてはいけない。
メイベルがこのことを知っているということも。
「じゃあ、どうして、婚約破棄したんですか……?」
「事情あってのことです。レディ、申し訳ないがこれ以上の問答は出来ない。寒いでしょう。屋敷に着いたら暖かい物を用意させます」
「い、いいです。私、これでも、こいつら倒してますから」
農村で見た、貴族に屈しないと睨みつけてきた子供を真似て、メイベルはオズワルドを見た。無理やり連れていこうたって、そうはいかない。
「分かった。レディ、失礼する」
「え、ちょっ?」
オズワルドはメイベルの腕を掴み、雨の降る外に連れ出した。
メイベルは虚を突かれ、たたらを踏んで引きづられるように外へ連れ出された。王子にあるまじき行為だ。
「ここなら心配ないだろ」
たしかに雨風に紛れ、人の声は届かないだろう。
言いながら、オズワルドは結界を張り、二人の身体を乾かした。水を含んだ服から水の塊が浮き上がり、外にパシャッと落とされる。
「で、いつまでこの茶番を続けるんだ?」
「いつまでも」
メイベルは逃げようとした。見越していたオズワルドが遮る。
「どうして逃げる。火事で屋敷を離れたのは分かるが、」
「あなたが犯人じゃない保証は?」
「だったら君自身の放火もありうる」
「十中八九そういうことになるでしょうね。この盗賊集団の件だって、自作自演と言われそう」
「だいぶ捻くれたことを言う」
「なんとでもおっしゃればいい」
メイベルは吐き捨てた。
「もう懲り懲りなのです。私は平民になりました。皆さまお好きに陰謀を重ねたら良いんだわ」
「さっき君に言った言葉は本当だぞ。俺の婚約者はまだ君だ」
屋敷から一転して、すっかり自分に不信の眼差しを向ける婚約者に、オズワルドは言い募る。しかし、メイベルは失望した目でオズワルドを睨みつけた。
「なんてこと……! 信じられない! こんな時まで……! いくらなんでも……っ私は、そんな簡単に丸め込めると思っておいでなのですか……!」
本当に、お互い相手のことを何も知らなかったのだと、メイベルは改めて痛感した。
「婚約者が居るんですよね?」
顔を顰め暗に不貞を匂わせれば、オズワルドは清廉潔白を示すように騎士然とした。
「淑女をお守りするは騎士の誉。これを蔑ろにしては、逆に怒られてしまう」
メイベルは一も二もなく逃げたくて、ずり、と後ろに下がった。
「元って言ってませんでした?」
「我が婚約者の名誉にかけて。私は彼女に恥じない振る舞いをしているまでです」
「変に、いま丁寧になってるのも?」
「ええ」
「元なのに……?」
「元であっても」
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メイベルは言葉を飲み込んだ。
今は辛抱の時。どんなに焦がれたって、外堀を埋め、相手の本当の目的のために紡がれた嘘を真に受けてはいけない。
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「じゃあ、どうして、婚約破棄したんですか……?」
「事情あってのことです。レディ、申し訳ないがこれ以上の問答は出来ない。寒いでしょう。屋敷に着いたら暖かい物を用意させます」
「い、いいです。私、これでも、こいつら倒してますから」
農村で見た、貴族に屈しないと睨みつけてきた子供を真似て、メイベルはオズワルドを見た。無理やり連れていこうたって、そうはいかない。
「分かった。レディ、失礼する」
「え、ちょっ?」
オズワルドはメイベルの腕を掴み、雨の降る外に連れ出した。
メイベルは虚を突かれ、たたらを踏んで引きづられるように外へ連れ出された。王子にあるまじき行為だ。
「ここなら心配ないだろ」
たしかに雨風に紛れ、人の声は届かないだろう。
言いながら、オズワルドは結界を張り、二人の身体を乾かした。水を含んだ服から水の塊が浮き上がり、外にパシャッと落とされる。
「で、いつまでこの茶番を続けるんだ?」
「いつまでも」
メイベルは逃げようとした。見越していたオズワルドが遮る。
「どうして逃げる。火事で屋敷を離れたのは分かるが、」
「あなたが犯人じゃない保証は?」
「だったら君自身の放火もありうる」
「十中八九そういうことになるでしょうね。この盗賊集団の件だって、自作自演と言われそう」
「だいぶ捻くれたことを言う」
「なんとでもおっしゃればいい」
メイベルは吐き捨てた。
「もう懲り懲りなのです。私は平民になりました。皆さまお好きに陰謀を重ねたら良いんだわ」
「さっき君に言った言葉は本当だぞ。俺の婚約者はまだ君だ」
屋敷から一転して、すっかり自分に不信の眼差しを向ける婚約者に、オズワルドは言い募る。しかし、メイベルは失望した目でオズワルドを睨みつけた。
「なんてこと……! 信じられない! こんな時まで……! いくらなんでも……っ私は、そんな簡単に丸め込めると思っておいでなのですか……!」
本当に、お互い相手のことを何も知らなかったのだと、メイベルは改めて痛感した。
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