追放置き去り婚約破棄されたので拾われ溺愛狙います

つるぎ

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第四章

24.思わぬ事件がありました

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 気配があった。
 それも、大量の。

 ヨルノス遺跡に入って早々、メイベルは想定外の出来事に震えた。

 不退転の覚悟は、ヨルノスレルムに辿り着いたときから決まっていたけれど。

 嗚呼、本当に。
 自分はどうしてこうも、あと一歩考えが及ばないのだろう。

 人が入るダンジョンと違って、整備されていない真っ暗闇な遺跡。当時の建築技術をたたえるように一寸の光もない。

 その、天井。
 なにかが居た。

 真っ暗闇で姿かたちは分からない。暗闇でも目が見えるように魔法を使えばいい話でも、メイベルの直感がそれを拒否する。

 それは珍客を前に静かだったが、メイベルをまったく認識していないわけではなかった。

 そんなことは当たり前である。彼ら・・は生きている。眠っているのではなく、起きていた。

 メイベルは顔を上げたくなかった。杖を持つ手が震える。

 一歩でも前に進むのが恐ろしかった。なにがなんでも、それを見るのが嫌だった。
 全身の震えは避けたい。これ以上、動けなくなる。

 だから。
 メイベルは。

「ぎぃゃあああああああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 身体のこわばりを解くように、奥底から絶叫を上げると、天井にうごめくそれを魔法でごっそり薙ぎ払った。

 びゅおおおお、と大きく風が吹き、音という音ごとそれらを駆逐する。

消え去れ・・・・!」

 最後にトドメの一言を叫べば、風は渦を巻き、風に閉じ込められたそれは空間圧縮されるように跡形もなく潰された。

 静寂が訪れる。

「ふ、ふふん……! ――荒療治!!」

 危機が去ったと見えると、メイベルは片手は杖を握り腰に手を当て、自慢げにふんぞり返った。念には念を入れて結界を身の回りに張っての仁王立ちである。

「あ、あー怖かった!」

 一瞬、古代種の保存とかが脳裏に過ぎったが、すぐ忘れるようにした。次があったら、固定魔法をかけようと決める。

 たとえそこが人類の手によってつくられた場所だろうと、人の手が入らなくなった場所は、あらゆる野生生物の王国だということを失念していたメイベルは、遺跡に入って早々、その洗礼を受けたのだ。

「……もうやだ」

 すぐにシュンとして、メイベルは小さく弱音を吐いた。
 しかし不退転の身である。進むしかない。

「ああ……。さっそく魔力消費が多くなってしまった……」

 その結果、周りを警戒して歩きながら、メイベルは嘆いた。

 先の洗礼が怖すぎて、結界をまとうしかなくなったのだ。身を包むように結界は最小限にしているが、繊細さを要するので集中力の消耗も大きかった。

 食料備蓄の要である籾の種を、恐れ多くも魔王陛下に調達してもらったお陰で食事の心配はまだないが、油断は禁物である。

(高難度ダンジョンのクリアで思い上がってた……。恥ずかしい……)

 もしこれが、取り返しのつかない危険な場面での失敗だったら、詰んでいた。そういう時のための転移石でもあるが、本当だったら何個も持っていられる代物ではない。
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