追放置き去り婚約破棄されたので拾われ溺愛狙います

つるぎ

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第五章

37.王都にて王女は咲う②

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「魔女の証ですね」

「そう言われているわね。今となっては、ヨルノスレルムの主君として、らしい姿ではないかしら。偶然か必然かは、私の与り知らないところだけれど」

「……ユージェニー様は、まるで……」

「そうね。我が国は魔王討伐を名目にヨルノスを侵略した。そして返り討ちにあった今、報復を恐れている。すべてはあなたの意志一つ。あなたには報復の名の下、アヴァルランドを攻め入るチャンスがある」

「人である私は、まだアヴァルランドの一国民です。私がヨルノスの王になるのであれば、その筋書きもありえましょうが……」

「駄目よ、メイベル」

 ユージェニーはぴしゃりと言った。

「いい加減、目を覚ましなさい、シャーロット・メイベル。あなたは気付いていない振りをしているだけ。多くを見て、それを理解する力を持っているのに。無害の振りをして無能になっていては、そんなの百害あって一利なしだわ」

「しかし、」

「侵略の阻止だけが目的だと? ああ、メイベル。あなたの忠誠は王家にとって、とても好ましいものだわ。でも、報いてあげる必要はないわね? だって、あなたのそれは、女王陛下に生かされて恩義を感じているのが理由だもの。だから、ね、全部を言わなくては、いけないのかしら」

 そう言って、ユージェニーは含みのある笑みを浮かべる。

 メイベルは唇を噛み締めた。

 メイベルはできることなら、これ以上、政に関わっていたくなかった。侵攻を止めたかったのは、愛着あるヨルノス遺跡を踏みにじられたくなかったからだ。

 だがそれ以上に、大きな事実があった。

 メイベルは、義姉ユージェニーを敬愛していた。

「……殿下、ユージェニー王女殿下。ええ、はい。仰っていただかないことには、思い違いがあっては困ります」

 そうメイベルが意を決して言うと、ユージェニーは花咲くように笑った。

「待ってたわ、そう言ってくれるのを。一歩進展かしら。ええ、ええ。言葉にしましょう。私たちのために。さ、あなたと私はこれから一蓮托生よ」

 そうしてユージェニーは、揺らいでいる姿など物ともしないでメイベルを手を取り、こつんと額を合わせる。

 ささやくようで、確かに伝えようとする声がメイベルの耳朶に届いた。

「そうありたいの、私が。私とあなたが王になったとき、当然ながら私たちは対等よ。同時に、家族でもある。あなたは私の義妹いもうとであり、私が敬うあねとなるの」

「私たちは、手を取り合うのですね。そうして他国からの介入を避け、国内での恒久的な主権を保ち続ける」

「ええ。我らが祖アルビアン竜王と、神君竜王すら下に置くあなたの力が、それを可能にする」

「それだけではありませんね? アヴァルランドは近年ギルドの力が増しています。反対に、教会の力は陰りを見せています」

 メイベルがそう言うと、ユージェニーは悪戯が見つかったとばかりに軽く肩をすくめて笑った。

「空気の入れ替えに、ちょうど良さそうだと思って。増長させるつもりはないのだけれど、あなたが所属していたパーティー、見せしめにどうかしら」

「……私は使いたくありません。出来ることなら、救済をしたいと思うのです。あれは、私が余計なことをしてしまったのではないかと、気がかりがあって。ユージェニー様の名の下に、御慈悲を賜れませんか?」

「あなたがそう言うのであれば、構わないわ。でも、欲がない子ね。そういうところが、無垢な魂の証なんでしょうね」



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