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最終章
53.神の身許
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ユージェニーは、大聖堂のステンドグラスから差し込む光の中で、静かにたたずんでいた。王族の女児に伝統のオールドローズの髪をきらめかせ、清廉な美しさを醸し出していている。
ゆらりと、透明なゆらぎが生まれた。
それを認め、ユージェニーは最敬礼する。
「宣言式では、とても助かりました。アルビアン竜王陛下」
「――やはり、貴様か」
アルビアン竜王は人型の姿で現れ、ユージェニーを見た。
神君竜王の懸念の下、メイベルのため、宣言式にひっそり控えていた守護竜は、ユージェニーが貴族を従わせられるように加護を与えていた。
ユージェニーは、そのお礼を述べたのである。
「貴様が生まれ変わるなら、神君竜王も生まれ変わろう」
アルビアンが言う。
おそらく、ユージェニーの前世は自然と転生した。だから神君竜王も、かつての忠臣のため、その魂を無自覚に生まれ変わらせたのだ。
ユージェニーは目を細める。
「……”かつてのわたくし”なら、神君竜王の御慈悲の賜物、と言っていたことでしょう。しかし、わたくしはアヴァルランドの王女ユージェニー。さいきん思い出した程度の、おぼろげな記憶をたよりに、なにを言うことがありましょう」
アルビアンは鼻を鳴らした。
「貴様のしたたかさは前世譲りだが、たしかに、我が麾下にあるようだ」
宣言式は見守っていたものの、自然と与えられる以上の加護を、わざわざ意識してまで与える必要を感じなかった。それほどに、ユージェニーはアルビアン<聖なる獣>として生きていた。
「ふふ。過去のわたくしは、それほどに憎たらしゅうございましたか?」
守護竜は頭を振った。
「いや。貴様は大局を間違えるような存在ではなかったからな。それほどではなかったよ」
「それは……恐れ入ります……」
今となっては、厳密には自分のことではないが、ユージェニーは目礼する。
話が一区切りつくと、アルビアンは本題に入った。
「で? 前当主は処刑。新しい当主を傀儡に、ヨルノスレルムとアヴァルランドの間にはヌーンヒルを立てるつもりか」
「コルート家の長子には、たしょう哀れに思うところもありましたので、我が従兄ジェームズとの婚姻を推したのですが、彼女は蟄居を望みました」
「意外に優しいことだな」
「今回の件で、再契約した侍女を除けば、メイベルの記憶に残る、唯一の加害者というのもありますから」
「ということは、父親は記憶に残らないのか」
「それは、存じ上げません。しかし、前当主には多くの前科がありますれば、たとえメイベルの父親であろうとも、我が国が決めることです」
「なるほど」
竜王はうなずく。ユージェニーは説明を続けた。
「前当主は、今まではソフィー女王が彼の忠義に応えていましたが、わたくしが報いることはありません。そうなれば、狂信甚だしい、不要な人材です。ダイヤモンドスターの代わりとすることで、国民の溜飲を下げます」
「ほう? であれば、あれらはどうするんだ?」
ゆらりと、透明なゆらぎが生まれた。
それを認め、ユージェニーは最敬礼する。
「宣言式では、とても助かりました。アルビアン竜王陛下」
「――やはり、貴様か」
アルビアン竜王は人型の姿で現れ、ユージェニーを見た。
神君竜王の懸念の下、メイベルのため、宣言式にひっそり控えていた守護竜は、ユージェニーが貴族を従わせられるように加護を与えていた。
ユージェニーは、そのお礼を述べたのである。
「貴様が生まれ変わるなら、神君竜王も生まれ変わろう」
アルビアンが言う。
おそらく、ユージェニーの前世は自然と転生した。だから神君竜王も、かつての忠臣のため、その魂を無自覚に生まれ変わらせたのだ。
ユージェニーは目を細める。
「……”かつてのわたくし”なら、神君竜王の御慈悲の賜物、と言っていたことでしょう。しかし、わたくしはアヴァルランドの王女ユージェニー。さいきん思い出した程度の、おぼろげな記憶をたよりに、なにを言うことがありましょう」
アルビアンは鼻を鳴らした。
「貴様のしたたかさは前世譲りだが、たしかに、我が麾下にあるようだ」
宣言式は見守っていたものの、自然と与えられる以上の加護を、わざわざ意識してまで与える必要を感じなかった。それほどに、ユージェニーはアルビアン<聖なる獣>として生きていた。
「ふふ。過去のわたくしは、それほどに憎たらしゅうございましたか?」
守護竜は頭を振った。
「いや。貴様は大局を間違えるような存在ではなかったからな。それほどではなかったよ」
「それは……恐れ入ります……」
今となっては、厳密には自分のことではないが、ユージェニーは目礼する。
話が一区切りつくと、アルビアンは本題に入った。
「で? 前当主は処刑。新しい当主を傀儡に、ヨルノスレルムとアヴァルランドの間にはヌーンヒルを立てるつもりか」
「コルート家の長子には、たしょう哀れに思うところもありましたので、我が従兄ジェームズとの婚姻を推したのですが、彼女は蟄居を望みました」
「意外に優しいことだな」
「今回の件で、再契約した侍女を除けば、メイベルの記憶に残る、唯一の加害者というのもありますから」
「ということは、父親は記憶に残らないのか」
「それは、存じ上げません。しかし、前当主には多くの前科がありますれば、たとえメイベルの父親であろうとも、我が国が決めることです」
「なるほど」
竜王はうなずく。ユージェニーは説明を続けた。
「前当主は、今まではソフィー女王が彼の忠義に応えていましたが、わたくしが報いることはありません。そうなれば、狂信甚だしい、不要な人材です。ダイヤモンドスターの代わりとすることで、国民の溜飲を下げます」
「ほう? であれば、あれらはどうするんだ?」
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