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ハザマ真理教編
ハザマ真理教編 四
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学園生活が始まって早々に生徒たちの間に噂が広まっていた。
「乙組の生駒舞美が入学式の翌日から行方不明になっているらしいよ」
「生駒って入学式で挨拶文読んだ子だよね」
「まさか初日で学校が嫌になっちゃったとか?」
そんな話があちこちで飛び交う中、蓮香は素知らぬ顔で普段通りに出席して授業を受けている。
昨夜の事であった。
「舞美、こっちよ」
研究所を飛び出して来たものの、行くあてもなくふらふらと歩いていた舞美であったが、突然声をかけられて振り返ると施設で見覚えのある顔であったので、思わず抱きついた。
「蓮香先輩! 私。。」
「言わなくていいよ。おおよその事情はわかっているから。可哀想に。舞美もハザマ幼虫を埋め込まれたのね」
蓮香の言葉に舞美は驚く。
「どうして知っているの? まさか先輩も?」
「私はハザマ幼虫を埋め込まれた少女たちを救うためにここに住んでいるの」
「えっ? 先輩は何者なの?」
「私はちょっとした気功術を使えて、私も気を使って体内から幼虫を腕にまで誘導して取り出す事が出来るの。ハザマ真理教の実験を知ったのは一年前。私は自分にしか出来ないこの気功術で傀と呼ばれる怪物にされてしまった子たちを助けようと施設と教団に見つからないように影で動いているのよ」
「そうだったんですね」
蓮香は物心ついたときから自分の不思議な力を自覚していた。
この学園を出たら人の役に立つような仕事がしたいと思っていた彼女は密かにこの力を伸ばすための修業をしていたのだ。
だが、そんなおり狭間法元の考えや幼虫の事を知り嫌悪感を抱いた。
きっかけは中昭夫であった。
昭夫という人物は舌先三寸でハザマ商会の課長に上がった人物である。
口も軽いが頭も弱く、こんな場所でこんな事を話したら誰が聞いているかわからないなど考えのおよぶ人間ではない。
調子良くペラペラとハザマ幼虫の実験の事を部下たちに話しているのを蓮香は偶然聞いてしまい愕然とする。
私は今までこんな人物に付いていたのかと。
それから法元に対する見方考え方が変わり、表向きは大人しくて従順な生徒を装いその裏で法元に逆らえるだけ逆らってやろうと決意したのだ。
「あの幼虫はハザマ心理教が作り上げたもの。取り出すには少し時間がかかるけど、今まで全員無事に助けられているから。舞美に埋め込まれた幼虫も取り出してあげるよ」
蓮香の言葉に舞美はしばらく考えていた。
「先輩、私は自分に埋め込まれたハザマ幼虫を自分でコントロール出来ると思う」
「舞美?」
「私はこの能力であいつらを潰してやる。こんな風にされるのは私で最後にするんだ」
「一人じゃ無理よ。ハザマ真理教は信者が一万人以上いるのよ。その全員が狭間法元に心酔している訳だから一万人を相手にするようなものよ」
「でも、このままじゃまた私のように怪物にされてしまう人たちがたくさん出てくる。私は戦うって決めたんだ。幸い私には身寄りもないし、いなくなっても誰も悲しむ人もいない。怪物にされた時点で死んだと思って、この命は狭間法元との戦いにかける」
蓮香は驚いた。
生駒舞美という子と会ったのは昨日が初めてで、当然その人となりを知らない訳だが、こんなに強い意思の持ち主だとは思っていなかった。
これまでハザマ幼虫を埋め込まれた少女たちはみんな自我を失い凶暴化していた。
自分でコントロール出来るなんて人も初めてであった。
この意思の強さがハザマ幼虫を従順させるのだとしたら蓮香にとっても新たな発見であった。
だが、いくらハザマ幼虫の力で怪物の力を身につけたとは言え、一人では危険な事には変わりはない。
特に横浜の教会が雇っているあの人物は。
「舞美、一人要注意人物がいるから気をつけて。宗像凛。ハザマ真理教が雇った怪物専門のハンターのような人よ。彼女もハザマ真理教に利用されている一人だから味方につけたいんだけど、今は出会ったら逃げた方がいいわ」
「宗像凛。。」
「彼女の宝剣で斬られたら本体であるあなたも死んでしまう。そうして助けられなかった子たちが何人もいたの。もちろん凛に罪はないわ。彼女も裏事情を知らずに怪物の浄化と称してハザマ真理教に利用されているんだから。もし真実を知ったら罪の意識に苛まれるでしょうね」
「そう、その子も被害者なんですね」
「私は医療から助ける事は出来るけど戦う事は出来ない。でも必ず味方を連れて行くからそれまで無茶しないで。それから私の事を蓮香って呼んでくれていいよ。敬語もなし。別に施設に長くいるってだけで偉くもないし年だって一つしか違わないし」
蓮香がそう言うと舞美にようやく笑顔が見えた。
「蓮香。。わかった、色々ありがとう。私はしばらく施設の同級生たちの前から姿を消すわ。関係ない人たちまで巻き込みたくないから」
「そうね。当分はうちで過ごすといいわ。うちならハザマ真理教にも見つからないから」
「家? 蓮香って家があるの? ハザマ学園にいる院生は全員孤児で全寮制って聞いていたから帰る家のある院生はいないと思っていた」
「家と言っても私の家じゃないけどね。お世話になっている人の家だし、良い人たちだから安心して」
こうして舞美が蓮香に連れられて行ったのは築数百年は経っているかという古い神社であった。
「刀根神社?」
「ここの神主さん。厳密に言えば先代神主さんと今の巫女さんは不思議な力を持っていてね。私の力もここで修行してレベルアップさせたのよ」
「太蔵さん、美里さん。連れてきました」
刀祢神社で蓮香と舞美を出迎えた太蔵と美里はまだ半信半疑であった。
「その子が例の?」
美里の問いに蓮香がうなずく。
「まだ信じられないけど、蓮香が動いているんだからそうなんだろうね」
美里は自分が今まで見た事、経験した事のないものに興味を持つ性格でもあった。
普通ならにわかには信じられないであろうハザマ真理教の話に耳を傾けて受け入れたのだ。
「舞美、この二人は私の師匠と先輩でおじさんの方がこの神社の先代神主だった刀祢太蔵さん。こちらの女性はそのお孫さんで今は神社の巫女をやりながら霊媒師をしている美里さん。どちらも凄い能力の持ち主なんだよ」
「おじさんは余計だぞ」
太蔵がそう言うと美里がすかさず突っ込む。
「それ以外なんて言うのよ。おじいさんって言われなかっただけでも感謝しなさいよ」
美里と太蔵のやり取りに舞美も思わずくすっと笑う。
「生駒舞美さんと言ったね。当面はここで暮らすといい。古臭い神社だが来客用の宿泊施設くらいは整っているから安心しなされ」
「すみません。色々とお世話になります」
舞美が深々とお辞儀をすると蓮香は美里に耳打ちする。
「舞美がここにいる事が判明したら法元はここにも傀や手下たちを送りつけて来ます。じきに宗像凛という少女が来るはずです。彼女を味方につけられればこちらが有利に戦えるでしょう。しばらくご面倒おかけしますが、よろしくお願いします」
「そんなの気にしないで。これが私たち刀祢神社の仕事なんだから」
美里は舞美に歩み寄ると手を差し出した。
舞美もそれに応じて二人は握手し、蓮香とともに仲間としてハザマ真理教と戦う事を決意をした。
「乙組の生駒舞美が入学式の翌日から行方不明になっているらしいよ」
「生駒って入学式で挨拶文読んだ子だよね」
「まさか初日で学校が嫌になっちゃったとか?」
そんな話があちこちで飛び交う中、蓮香は素知らぬ顔で普段通りに出席して授業を受けている。
昨夜の事であった。
「舞美、こっちよ」
研究所を飛び出して来たものの、行くあてもなくふらふらと歩いていた舞美であったが、突然声をかけられて振り返ると施設で見覚えのある顔であったので、思わず抱きついた。
「蓮香先輩! 私。。」
「言わなくていいよ。おおよその事情はわかっているから。可哀想に。舞美もハザマ幼虫を埋め込まれたのね」
蓮香の言葉に舞美は驚く。
「どうして知っているの? まさか先輩も?」
「私はハザマ幼虫を埋め込まれた少女たちを救うためにここに住んでいるの」
「えっ? 先輩は何者なの?」
「私はちょっとした気功術を使えて、私も気を使って体内から幼虫を腕にまで誘導して取り出す事が出来るの。ハザマ真理教の実験を知ったのは一年前。私は自分にしか出来ないこの気功術で傀と呼ばれる怪物にされてしまった子たちを助けようと施設と教団に見つからないように影で動いているのよ」
「そうだったんですね」
蓮香は物心ついたときから自分の不思議な力を自覚していた。
この学園を出たら人の役に立つような仕事がしたいと思っていた彼女は密かにこの力を伸ばすための修業をしていたのだ。
だが、そんなおり狭間法元の考えや幼虫の事を知り嫌悪感を抱いた。
きっかけは中昭夫であった。
昭夫という人物は舌先三寸でハザマ商会の課長に上がった人物である。
口も軽いが頭も弱く、こんな場所でこんな事を話したら誰が聞いているかわからないなど考えのおよぶ人間ではない。
調子良くペラペラとハザマ幼虫の実験の事を部下たちに話しているのを蓮香は偶然聞いてしまい愕然とする。
私は今までこんな人物に付いていたのかと。
それから法元に対する見方考え方が変わり、表向きは大人しくて従順な生徒を装いその裏で法元に逆らえるだけ逆らってやろうと決意したのだ。
「あの幼虫はハザマ心理教が作り上げたもの。取り出すには少し時間がかかるけど、今まで全員無事に助けられているから。舞美に埋め込まれた幼虫も取り出してあげるよ」
蓮香の言葉に舞美はしばらく考えていた。
「先輩、私は自分に埋め込まれたハザマ幼虫を自分でコントロール出来ると思う」
「舞美?」
「私はこの能力であいつらを潰してやる。こんな風にされるのは私で最後にするんだ」
「一人じゃ無理よ。ハザマ真理教は信者が一万人以上いるのよ。その全員が狭間法元に心酔している訳だから一万人を相手にするようなものよ」
「でも、このままじゃまた私のように怪物にされてしまう人たちがたくさん出てくる。私は戦うって決めたんだ。幸い私には身寄りもないし、いなくなっても誰も悲しむ人もいない。怪物にされた時点で死んだと思って、この命は狭間法元との戦いにかける」
蓮香は驚いた。
生駒舞美という子と会ったのは昨日が初めてで、当然その人となりを知らない訳だが、こんなに強い意思の持ち主だとは思っていなかった。
これまでハザマ幼虫を埋め込まれた少女たちはみんな自我を失い凶暴化していた。
自分でコントロール出来るなんて人も初めてであった。
この意思の強さがハザマ幼虫を従順させるのだとしたら蓮香にとっても新たな発見であった。
だが、いくらハザマ幼虫の力で怪物の力を身につけたとは言え、一人では危険な事には変わりはない。
特に横浜の教会が雇っているあの人物は。
「舞美、一人要注意人物がいるから気をつけて。宗像凛。ハザマ真理教が雇った怪物専門のハンターのような人よ。彼女もハザマ真理教に利用されている一人だから味方につけたいんだけど、今は出会ったら逃げた方がいいわ」
「宗像凛。。」
「彼女の宝剣で斬られたら本体であるあなたも死んでしまう。そうして助けられなかった子たちが何人もいたの。もちろん凛に罪はないわ。彼女も裏事情を知らずに怪物の浄化と称してハザマ真理教に利用されているんだから。もし真実を知ったら罪の意識に苛まれるでしょうね」
「そう、その子も被害者なんですね」
「私は医療から助ける事は出来るけど戦う事は出来ない。でも必ず味方を連れて行くからそれまで無茶しないで。それから私の事を蓮香って呼んでくれていいよ。敬語もなし。別に施設に長くいるってだけで偉くもないし年だって一つしか違わないし」
蓮香がそう言うと舞美にようやく笑顔が見えた。
「蓮香。。わかった、色々ありがとう。私はしばらく施設の同級生たちの前から姿を消すわ。関係ない人たちまで巻き込みたくないから」
「そうね。当分はうちで過ごすといいわ。うちならハザマ真理教にも見つからないから」
「家? 蓮香って家があるの? ハザマ学園にいる院生は全員孤児で全寮制って聞いていたから帰る家のある院生はいないと思っていた」
「家と言っても私の家じゃないけどね。お世話になっている人の家だし、良い人たちだから安心して」
こうして舞美が蓮香に連れられて行ったのは築数百年は経っているかという古い神社であった。
「刀根神社?」
「ここの神主さん。厳密に言えば先代神主さんと今の巫女さんは不思議な力を持っていてね。私の力もここで修行してレベルアップさせたのよ」
「太蔵さん、美里さん。連れてきました」
刀祢神社で蓮香と舞美を出迎えた太蔵と美里はまだ半信半疑であった。
「その子が例の?」
美里の問いに蓮香がうなずく。
「まだ信じられないけど、蓮香が動いているんだからそうなんだろうね」
美里は自分が今まで見た事、経験した事のないものに興味を持つ性格でもあった。
普通ならにわかには信じられないであろうハザマ真理教の話に耳を傾けて受け入れたのだ。
「舞美、この二人は私の師匠と先輩でおじさんの方がこの神社の先代神主だった刀祢太蔵さん。こちらの女性はそのお孫さんで今は神社の巫女をやりながら霊媒師をしている美里さん。どちらも凄い能力の持ち主なんだよ」
「おじさんは余計だぞ」
太蔵がそう言うと美里がすかさず突っ込む。
「それ以外なんて言うのよ。おじいさんって言われなかっただけでも感謝しなさいよ」
美里と太蔵のやり取りに舞美も思わずくすっと笑う。
「生駒舞美さんと言ったね。当面はここで暮らすといい。古臭い神社だが来客用の宿泊施設くらいは整っているから安心しなされ」
「すみません。色々とお世話になります」
舞美が深々とお辞儀をすると蓮香は美里に耳打ちする。
「舞美がここにいる事が判明したら法元はここにも傀や手下たちを送りつけて来ます。じきに宗像凛という少女が来るはずです。彼女を味方につけられればこちらが有利に戦えるでしょう。しばらくご面倒おかけしますが、よろしくお願いします」
「そんなの気にしないで。これが私たち刀祢神社の仕事なんだから」
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