たった一つの居場所が失われても、細い糸を手繰り寄せて

青森りんご

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第三章:才能の開花

第二十二話 民意の行方

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 王宮の広場は、沈黙に包まれていた。

 エドワード王太子が剣を振りかざした瞬間、それを受け止めたアレクセイの姿に、人々は目を見張った。

「な……何のつもりだ、アレクセイ!」

 エドワード王太子は剣を握る手を震わせながら、睨みつけた。

 アレクセイは淡々と答える。

「リリアに手を出させるわけにはいかない」

「貴様……!」

 エドワード王太子が怒りに震える中、リリアは一歩前に出た。

「殿下、この場にいる皆様に問います」

 彼女は、広場に集まった人々に向かって声を張った。

「私は、王宮の“正規の治療”と比べて、私の魔法具がどのような効果をもたらすのか、実際に試してみるべきだと考えます。それが本当に危険であるならば、その場で受け入れます」

 民衆の間にざわめきが広がる。

「そうだ、試してみればいい!」

「王宮の治療もありがたいが、リリア様の魔法具で助かった者がいるのも事実だ!」

「なぜそれを確かめずに、彼女を悪者にしようとするんだ!」

 人々の目がエドワード王太子に向く。

 焦った表情のエドワード王太子は、ぎりっと歯を噛んだ。

「証明など、必要ない! 王宮が決めたことに従えばよいのだ!」

 しかし、その言葉が出た瞬間、場の空気が変わった。

 これまで王宮を信じていた人々の中にも、疑問が生まれる。

「それは……王宮の都合でしかないのでは?」

「本当に民のことを思っているなら、試すことを拒む理由はないはず……」

 ミレイナ王太子妃が、不安そうにエドワード王太子の袖を引いた。

「殿下……ここは、冷静に……」

「黙れ!」

 王太子の声が広場に響く。

 リリアは、静かに彼を見つめた。

「殿下、王としての本分を思い出してください。貴方が守るべきものは“王宮の権威”ですか? それとも“国民の信頼”ですか?」

「……っ!」

 エドワード王太子はリリアを睨みつけたが、何も言い返せなかった。

 民衆の目が、王宮の欺瞞を見抜き始めていた。

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