たった一つの居場所が失われても、細い糸を手繰り寄せて

青森りんご

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最終章:終幕への序曲

第三十話 暴かれた真実

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 王宮の大広間には、重い空気が漂っていた。

 並み居る貴族たちが息を潜め、前方に立つ人物を見つめている。

 ――監査官、グレゴール。

 彼は淡々と報告書を広げ、静かに口を開いた。

「まずはこちらをご覧ください。ミレイナ様が王宮の研究資金を横領し、それを私的に流用していた証拠です」

 場がざわめいた。

「これは……?」

 国王が書類を手にし、険しい表情を浮かべる。

「まさか、そんな……!」

 ミレイナは椅子から立ち上がり、狼狽した様子を見せた。

「違いますわ! 何かの間違いです! 私はそんなこと……!」

「まだ終わっておりません」

 グレゴールは冷静に続ける。

「次に、エドワード王太子殿下の行動についてですが、調査の結果、殿下が度々“妙な体調不良”を訴えていたことが判明しました」

 その言葉に、エドワードが僅かに顔を歪める。

「どういうことだ?」

 国王が鋭い視線を向ける。

「ある薬が使われていた形跡があります」

 グレゴールは新たな証拠を示しながら言った。

「これは、違法な媚薬の一種。服用を続けることで、特定の人物に対する依存を強める効果があります」

 場がさらに騒がしくなる。

「まさか、ミレイナが王太子を……?」

「ば、馬鹿な! そんなことが許されるはずがない!」

 貴族たちの間から怒りの声が上がった。

 ミレイナは青ざめた顔で、必死に弁明しようとする。

「そ、それは……違いますわ! 私がそんなことをするはずが……!」

「証拠があります」

 グレゴールが淡々と突きつけると、ミレイナの言葉は喉の奥に引っ込んだ。

「これは、あなたの侍女が証言した内容です。王太子殿下に薬を盛るよう指示を受けたと、詳細に証言しております」

「う、嘘よ……!」

 ミレイナの声は震えていた。

 エドワードもようやく事態の深刻さを理解し、蒼白になっていた。

「ミレイナ……お前、まさか……本当に俺に薬を……?」

「ち、違うのよ、殿下! 私はただ……!」

 必死に弁明しようとするが、誰も耳を貸さない。

 国王は重々しく息を吐き、厳しい目で二人を見据えた。

「ミレイナ。お前に弁明の余地はない。これだけの証拠がそろっている以上、相応の処罰を下さねばならん」

 ミレイナの顔から血の気が引いた。

「そ、そんな……!」

「エドワード」

 国王は次に息子へと視線を向ける。

「お前はどう責任を取るつもりだ?」

「……父上、私は……」

 エドワードは言葉に詰まり、誰もがその行く末を見守っていた。

 こうして、彼らの崩壊は始まったのだった――。

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