たった一つの居場所が失われても、細い糸を手繰り寄せて

青森りんご

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最終章:終幕への序曲

第三十一話 王太子の失墜

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 重苦しい空気が広間を支配していた。

 ミレイナの悪事が次々と暴かれ、王宮の貴族たちは呆れと怒りの表情を浮かべていた。

「こんな女に王宮の信用を損なわれるとは……!」

「今までどれだけの資金が私的に流用されたのだ……?」

「許される話ではない!」

 ざわめきが広がる中、国王は静かに立ち上がった。その威厳ある姿に、広間が一瞬で静まり返る。

「ミレイナ。お前は王宮の財産を横領し、さらに王太子に違法な薬を使い、その判断を狂わせた。この事実に弁明はあるか?」

「わ、私は……」

 ミレイナは必死に言葉を探すが、もう何も言い逃れることはできない。

 国王は一層厳しい表情を浮かべ、冷ややかに言い放つ。

「ならば、裁定を下す。ミレイナ、お前を貴族籍剥奪の上、国外追放とする」

「!!!」

 広間がざわめき、ミレイナは椅子から崩れ落ちた。

「いや……そんな、私はただ……! 殿下、お願いですわ! 私を助けてくださいませ!」

 ミレイナはエドワードの腕を掴み、涙を浮かべながら懇願した。

 しかし、エドワードは助けようとはしなかった。

 いや、助ける余裕すらなかったのだ。

「……ミレイナ、お前は俺を騙していたのか?」

 エドワードの声は震えていた。

「薬を使ってまで、俺を操ろうとしていたのか……?」

「ち、違いますの! 私は殿下を愛していたから……!」

「ふざけるな!」

 エドワードは彼女の手を振り払い、怒りと困惑の入り混じった顔で叫んだ。

「愛していた? それならなぜこんなことをした!? なぜ俺の判断を狂わせた!? なぜ、俺の未来をめちゃくちゃにした!?」

「……っ!」

 ミレイナの顔が絶望に染まる。

「エドワード、お前の処遇も決定する」

 国王の厳かな声が響く。

「これまでのお前の行動は、王太子としての自覚に欠け、国家を危機に晒したと言わざるを得ない。よって、お前を王太子の座から正式に剥奪する。」

 広間に衝撃が走る。

「!!!」

 エドワードの顔が青ざめた。

「……王太子の座を……?」

「そうだ」

 国王の声は冷徹だった。

「お前は自らの行動の愚かさを思い知るがいい」

 エドワードは言葉を失い、ただその場に立ち尽くしていた。
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