そして何もなかった

平 昌綱

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2年生のエピローグ

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 新学期を迎え、僕は2年生になった。クラス替えがあり、去年の仲間たちとはバラバラになった。それでも完全に関わりがなくなるわけではなく、廊下で顔を合わせれば言葉を交わし、放課後に少しだけ話すこともあった。ただ、去年のように常に一緒にいるわけではなくなり、距離が少しずつ開いていくのを感じていた。

 そんな中で、僕の中にはずっとRの存在があった。1年生の頃から気になっていた彼女。新しいクラスになっても、どこかで彼女を意識してしまう。目が合えば嬉しくて、話しかけられれば舞い上がる。けれど、それ以上の距離を縮めることはできなかった。1年生の頃、彼女にいいところを見せようと躍起になっていた自分を思い出す。その頃の僕は、今よりもずっと尖っていて、何かと目立とうとしていた。強がりで、誰よりも自分が一番でいたかった。その尖りを少しずつ削ってくれたのは、Rではなく別の彼女だった。

 彼女はいつも自然体で、僕の話に耳を傾けてくれた。無理に背伸びをしなくても、一緒にいるだけで安心できるような存在だった。でも、僕は彼女のことを本当に好きだったわけではない。自分にとって一番大切なのはRで、彼女は言ってしまえば「2番目に好きな人」だった。そんな言葉にするとあまりにも都合が良すぎるし、彼女に失礼だとも思う。それでも、彼女といる時間は確かに心地よく、気づけば彼女の前では自然な自分でいられるようになっていた。

 2年生の終わりが近づくにつれ、僕は焦りを感じるようになった。周りの友人たちは次々と楽しい思い出を作り、仲を深めていく。それに比べて、僕は空回りばかりしていた。文化祭や体育祭、修学旅行──どれも楽しかったはずなのに、どこか満たされない気持ちが残る。みんなが思い出を形にしていく中で、僕は何を残せるのだろうか。

 ある日、ふと気がついた。Rにいいところを見せようとしていた自分も、彼女の前で自然体でいられる自分も、本当はどちらも僕だった。ただ、僕はずっと「何者かにならなければならない」と思い込んでいただけなのかもしれない。2年生の僕は、何かになろうともがいて、結局なれずに終わろうとしている。

 気づけば、春がまた近づいていた。3年生になれば、さらに周囲との関係は変わっていくだろう。Rとの距離も、彼女との距離も、どうなっていくのかはわからない。でも、もう空回りしないように、少しだけ肩の力を抜いてみよう。そんなことを思いながら、僕は2年生の終わりを迎えようとしていた。
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