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ボケ老人と婆さんと課題
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僕は昔から小さなことをよく忘れる性格だ。宿題を家に忘れたり、教科書を教室に置いて帰ったり、時には靴を間違えたことだってある。そんな僕の性格を知り尽くした青子が、ある日つけたあだ名が「ボケ老人」だった。最初は「なんだよ、それ」と反発したけれど、よくよく考えるとそれはただの悪口だったんじゃないかと、今になって思う。
でも、負けず嫌いな僕が黙っているわけがない。「じゃあ、そっちはボロ婆さんだな!」と即座に言い返した。確かにちょっと言い過ぎたかなと思うけれど、あの頃の僕はそこまで深く考える余裕もなかった。
それからしばらく、僕たちはこの変なあだ名で呼び合うようになった。会えばすぐに火花が散るような、くだらない言い争いが日課になったのだ。
「おはよう、ボケ老人」と青子が教室に入ってくるなり言う。
「今日は早起きだな、ボロ婆さん」と僕も負けじと返す。
「宿題ちゃんと覚えてたんだ。偉いじゃん」と青子。
「ボロ婆さんは課題やってないのか? そっちがよっぽどボケてるな」と僕。
「いやいや、そっちの方が重症でしょ」と青子。
「俺、ちゃんと課題やってきたし」と僕がアピールすると、
「普段は私の方がしっかりしてるけどね」と彼女が自信たっぷりに返してくる。
「そうかな?」
「黙れ、ボケ老人。」
この応酬に終わりはない。どちらも譲る気など一切ないからだ。
そんな時、近くでこのやりとりを聞いていた友達がニヤニヤしながら割って入ってきた。
「おーい、老夫婦さんたち。静かにしないと体壊しちゃうぞ。」
僕たちはその言葉に一瞬だけムッとした顔をしたが、すぐにお互いの顔を見合わせてしまい、次の瞬間には吹き出して笑ってしまった。
「老夫婦ってなんだよ!」と僕が笑いながら抗議する。
「ほんと、失礼だよね!」と青子も笑いをこらえきれない。
でも、心のどこかでは「確かにそう見えるのかもな」と思っていた。喧嘩ばかりしているけれど、それが自然と二人の会話の形になっていて、クラスの中でもちょっとした名物のような存在になっていた。
こうして、くだらないあだ名を通じて繰り広げられる言い合いが、僕たちの日常だった。お互いの存在が特別だと意識していたわけではない。けれど、彼女とのこの関係は、確かに僕の高校生活の中で特別な時間だった。
いつも軽口を叩き合いながら、絶妙な距離感でお互いを認め合うような、そんな不思議な関係。何気ない日々の中で、彼女とのやりとりが僕の高校生活に小さな彩りを加えていたことに気づくのは、きっとずっと後のことだと思う。
今思えば、「ボケ老人」も「ボロ婆さん」も、あの頃の僕たちの素直じゃない気持ちの表れだったのかもしれない。たくさんの言い合いと笑いの記憶が、どこか暖かく心に残っている。
もしあの頃に戻れるなら、もう少しだけ優しくできたかな?なんて思うけれど、たぶんまた同じように軽口を叩き合っている気がする。
でも、負けず嫌いな僕が黙っているわけがない。「じゃあ、そっちはボロ婆さんだな!」と即座に言い返した。確かにちょっと言い過ぎたかなと思うけれど、あの頃の僕はそこまで深く考える余裕もなかった。
それからしばらく、僕たちはこの変なあだ名で呼び合うようになった。会えばすぐに火花が散るような、くだらない言い争いが日課になったのだ。
「おはよう、ボケ老人」と青子が教室に入ってくるなり言う。
「今日は早起きだな、ボロ婆さん」と僕も負けじと返す。
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「ボロ婆さんは課題やってないのか? そっちがよっぽどボケてるな」と僕。
「いやいや、そっちの方が重症でしょ」と青子。
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この応酬に終わりはない。どちらも譲る気など一切ないからだ。
そんな時、近くでこのやりとりを聞いていた友達がニヤニヤしながら割って入ってきた。
「おーい、老夫婦さんたち。静かにしないと体壊しちゃうぞ。」
僕たちはその言葉に一瞬だけムッとした顔をしたが、すぐにお互いの顔を見合わせてしまい、次の瞬間には吹き出して笑ってしまった。
「老夫婦ってなんだよ!」と僕が笑いながら抗議する。
「ほんと、失礼だよね!」と青子も笑いをこらえきれない。
でも、心のどこかでは「確かにそう見えるのかもな」と思っていた。喧嘩ばかりしているけれど、それが自然と二人の会話の形になっていて、クラスの中でもちょっとした名物のような存在になっていた。
こうして、くだらないあだ名を通じて繰り広げられる言い合いが、僕たちの日常だった。お互いの存在が特別だと意識していたわけではない。けれど、彼女とのこの関係は、確かに僕の高校生活の中で特別な時間だった。
いつも軽口を叩き合いながら、絶妙な距離感でお互いを認め合うような、そんな不思議な関係。何気ない日々の中で、彼女とのやりとりが僕の高校生活に小さな彩りを加えていたことに気づくのは、きっとずっと後のことだと思う。
今思えば、「ボケ老人」も「ボロ婆さん」も、あの頃の僕たちの素直じゃない気持ちの表れだったのかもしれない。たくさんの言い合いと笑いの記憶が、どこか暖かく心に残っている。
もしあの頃に戻れるなら、もう少しだけ優しくできたかな?なんて思うけれど、たぶんまた同じように軽口を叩き合っている気がする。
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