Epic

Epic⑫

「綾斗さん、電気つけっぱなしやだ…」
「だめ」

　制服が乱されていく。身体中が熱い。初めてじゃないのにすごく緊張する。こんなの知らない。

「ほんとに、恥ずかしいから…」

　綾斗さんの視線に捕らわれるとぞくぞくしてどうしたらいいかわからなくなる。

「楓を抱いてるって実感したいから消さない」
「……っ」

　あまりにじっと見つめられるので手で顔を隠そうとしたら綾斗さんに腕を掴まれがっちり阻止された。

「楓だって、暗い中で誰に抱かれてるかわかんないのやじゃない？」

　熱っぽい視線。その瞳にはまだ楓だけが映っている。

「それは……やです」
「でしょ。だから消さない」
「っ、あ…っ、っ！」

　胸の突起を舌で転がされて身体が跳ねてしまう。歯を立てると快感が鋭く背筋を駆け上がっていった。

「くそ、すげー悔しい」
「…？」
「楓、敏感過ぎ」

　肌の上を熱い手のひらが這っていく。肌をなぞられるだけで身体が震える。

「っ、…」

「俺のクセ、楓の身体に覚え込ませるから」
「あ、…っ！　ぁ…っ！」
「全部俺のものにするから」
「ん、っ！」

身体のあちこちに唇が触れて、臍の横で小さな痛みが走った。見ると赤い唇の痕が残っている。それだけでもぞくぞくする。こんな快感、全然知らない。

「うん…綾斗さんのものにして」

　楓の腰に触れる綾斗さんの手に指を絡める。

「綾斗さんのクセだけに反応する身体に、し…っあ！」

　言葉を紡ぎきる前に綾斗さんが楓の昂ったものを口に含んだ。ぬめる熱い口内。根元まで咥えられ、腰が揺れてしまう。

「あ、だめ…すぐ、イっちゃ…から…っ」

　淫猥な音が室内に響き、聴覚からも刺激される。ぢゅ、と吸われて頭の中が真っ白になった。

「っ、…ぅ…っ！」

　綾斗さんの口内に欲を放ってしまう。恥ずかしさよりも快感が勝り、綾斗さんの髪に力の抜けた指を挿し入れた。綾斗さんは口内に放たれたものをこくりと喉に通し、楓にキスをして舌を絡めた。

「わかる？　…楓の味」
「っ…！」

　ぞわぞわする。もう本当にどうしたらいいかわらかないくらいに快感が内で暴れ回る。つつ、と奥まった部分に綾斗さんの指が触れ、そっと挿入りこんだ。

「あ…あ…」

　快感が止まらない。まだ指だけなのに、狂いそうな快楽が楓を支配する。綾斗さんの指が楓の弱い部分に触れると声が抑えられなくなる。

「あっ、ぅ…ああ…っ！」

　綾斗さんは楓の弱い場所を繰り返し刺激する。頭がおかしくなりそう。

「も、むり…むりぃ…っ！」

　達しそうなところで綾斗さんの指が抜かれる。綾斗さんの熱い視線に捕らわれると身動きできなくなる。綾斗さんの昂りが楓の奥の部分に宛がわれる。楓が緊張するより早く、腰が進められた。

「っ、…！」
「楓…」

　奥まで綾斗さんでいっぱいになったところで唇が重ねられる。綾斗さんの背にしがみついて熱い舌を受け入れると心までいっぱいになる。理性への道が閉ざされ、楓は綾斗さんから与えられる快楽だけを感じ、そして全身で綾斗さんだけを、感じる。

「あやと、さ…っ！　あ、ぁ…っ！」

　もっと綾斗さんでいっぱいになりたい。綾斗さんだけを感じたい。楓から綾斗さんにキスをすると綾斗さんは楓の腰を両手で掴んで最奥を突いた。

「っ！　や、それだめ…っ！」

　奥まで綾斗さんの昂りに突かれ、楓は狂いそうな快感に息を詰まらせる。

「そこ、だめ…ぇっ」

　楓のそんな姿を綾斗さんは熱に浮かされたような瞳で見つめ続ける。その視線に捕らわれるだけで何もかもがわからなくなる。もっと満たされたい。もっと満たしたい。楓が綾斗さんでいっぱいになっているように、綾斗さんも楓でいっぱいになって欲しい。

「あやとさ…っ、あやとさ、ぁっ！」

　気持ちよすぎて怖い。このまま狂ってしまうんじゃないかと思うほどの快感の波が押し寄せる。綾斗さんはこれまで見た事のない、余裕のない表情をしている。その表情を見たら、ぞくりとまた快楽が湧き起こり、楓は限界に追い詰められる。

「っぅ、ああ…っ！！」
「…っく…」

　びくびくと身体が大きく震える。楓の腹に白濁が散るのと同時に綾斗さんも小さく身体を震わせた。その姿を見るだけでもぞくりすとする。

「あ…は、っ…ぁ…」

　身体に力が入らない。ぐったりとする楓に綾斗さんがキスをくれた。抱き締められると触れる肌が汗ばんでいて、ぴったりくっついて心地好い。

「あー、ほんと悔しい」
「？」

　綾斗さんが口を開く。

「…楓、よすぎる」
「そ、なの…」
「俺でしか感じない身体にしてやるから、覚悟しとけ」

　首筋を噛まれる。ぞわぞわする。どきどきする。なんだろう。嬉しいとか恥ずかしいとか通り越して、言葉だけで気持ちいい。

「じゃあ綾斗さんも、俺以外じゃだめになって…」

　綾斗さんの背に腕を回し、ぎゅっと抱き着く。綾斗さんは今度は鎖骨に噛み付いた。

「じゃあ楓はそんな俺にした責任、とり続けて」
「ん…」

　啄むようなキスが何度も落ちてきて、それから呼吸さえ呑み込まれるような深い口づけ。ぐっと抱き締められ、皮膚さえ邪魔に感じる。楓のそんな気持ちを読んだかのように綾斗さんは更にきつく楓を抱き締めた。