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この偶然を運命に①
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日曜日の靴屋さん。
スニーカーを手に取ろうとしたら同時にその靴に手を伸ばした人がいた。顔を見たらなんか…輝くイケメン。
「………」
「………」
暫し見つめ合って、どちらも手を下ろす。
「どうぞ」
「いえ、あなたが買ってください」
「いえいえ、あなたが」
イケメンさんに譲ると、相手も俺に譲る。俺はもう一度譲る。イケメンさんは考えた後、『それじゃあ…』と言った。
あのスニーカー、いいと思ったんだけどな。
イケメンさんが視線を下ろして、スニーカーの下に積まれた箱を見る。
「サイズはいくつですか?」
「27です」
「偶然ですね、俺もです。で、ここに27が二つあります」
「………」
このかっこいい人と同じスニーカー……。やめておいた方がいい気がする。
「やっぱりやめます…」
「そうですか。それじゃ」
イケメンさんは27の箱を一つ取ってレジに向かう。俺はもう一度スニーカーを見る。
気に入ったデザインなんだよな…前に来たときに試し履きしたら履き心地よかったから悩んで今日買いに来たんだけど……あのイケメンさんと同じか…。ハードルがぐっと高くなった。でもやっぱり欲しい。
俺も27の箱を取る。
「買うんですか?」
「!?」
見るとイケメンさんが戻ってきている。俺が頷くと、イケメンさんは箱を戻そうとする。
「やめるんですか?」
「……知らない誰かと同じっていうのは気にしてないつもりなんですけど、目の前で同じもの買う人がいるっていうのは、なんだか微妙で…」
わかる気がする。でも、この人が買うのをやめてくれるなら俺は気が楽になる。
「………」
イケメンさんはじっと俺を見て、スニーカーをもう一度見る。それからまた俺を見る。この視線はなんだ。まさか諦めてくれとか言わないよな。
「お、俺は買いますから!」
もうレジに行ってしまおう。買ってしまえば俺の勝ち。…別に勝ち負けなんてないんだけど。あの人は結局どうするんだろうと思いながら会計を済ませる。どうしても欲しいものを買ったときの満足感ってすごい。
会計を終えてなんとなく振り返ると、イケメンさんも会計をしている。見るとさっきの靴の箱。やっぱり買ったんだ…。
じっと見ていたら、会計を済ませたイケメンさんが俺を見た。
「買いました」
「はい」
なんとなくふたりで靴屋さんの出口まで歩く。
「それじゃ」
「はい」
イケメンさんが離れて別の店に入って行くのを見送り、俺も駅に向かった。
◇◆◇◆◇
土曜日、買ったスニーカーを履いて外出。
どこに行くわけでもなく散歩をする。用事はなかったけれど、このスニーカーが履きたかったから、天気もいいので出かけることにした。
近所のパン屋さんからいいにおいがするのでふらふらと入ってしまった。すると。
「あ」
「え」
この前のあの人がいた。しかもあの日のスニーカーを履いている。つまりお揃い。
「…いいにおいですよね」
当たり障りのないことを言ってしまった。
「はい…」
ちらりと俺のスニーカーを見てからイケメンさんが答える。
とりあえず偶然ってことで、気にせずパンを選ぶ。ウィンナーを使ったパンが好きだから取ろうとしたら横から同時に伸びる手が。
「………」
「………」
またですか。
イケメンさんと顔を見合わせてしまう。パンは二つある。一つずつ取ってトレーにのせる。
それから俺はフレンチトーストやツナパンなどをトレーにのせて会計。イケメンさんも会計をしている。俺を見て小さく頭を下げるので俺もぺこりと下げる。
「それじゃ」
「はい」
靴屋さんでと同じようにパン屋さんの前で別れる。
近所に住んでいる人なのかな、と思いながら俺は散歩の続きをした。
スニーカーを手に取ろうとしたら同時にその靴に手を伸ばした人がいた。顔を見たらなんか…輝くイケメン。
「………」
「………」
暫し見つめ合って、どちらも手を下ろす。
「どうぞ」
「いえ、あなたが買ってください」
「いえいえ、あなたが」
イケメンさんに譲ると、相手も俺に譲る。俺はもう一度譲る。イケメンさんは考えた後、『それじゃあ…』と言った。
あのスニーカー、いいと思ったんだけどな。
イケメンさんが視線を下ろして、スニーカーの下に積まれた箱を見る。
「サイズはいくつですか?」
「27です」
「偶然ですね、俺もです。で、ここに27が二つあります」
「………」
このかっこいい人と同じスニーカー……。やめておいた方がいい気がする。
「やっぱりやめます…」
「そうですか。それじゃ」
イケメンさんは27の箱を一つ取ってレジに向かう。俺はもう一度スニーカーを見る。
気に入ったデザインなんだよな…前に来たときに試し履きしたら履き心地よかったから悩んで今日買いに来たんだけど……あのイケメンさんと同じか…。ハードルがぐっと高くなった。でもやっぱり欲しい。
俺も27の箱を取る。
「買うんですか?」
「!?」
見るとイケメンさんが戻ってきている。俺が頷くと、イケメンさんは箱を戻そうとする。
「やめるんですか?」
「……知らない誰かと同じっていうのは気にしてないつもりなんですけど、目の前で同じもの買う人がいるっていうのは、なんだか微妙で…」
わかる気がする。でも、この人が買うのをやめてくれるなら俺は気が楽になる。
「………」
イケメンさんはじっと俺を見て、スニーカーをもう一度見る。それからまた俺を見る。この視線はなんだ。まさか諦めてくれとか言わないよな。
「お、俺は買いますから!」
もうレジに行ってしまおう。買ってしまえば俺の勝ち。…別に勝ち負けなんてないんだけど。あの人は結局どうするんだろうと思いながら会計を済ませる。どうしても欲しいものを買ったときの満足感ってすごい。
会計を終えてなんとなく振り返ると、イケメンさんも会計をしている。見るとさっきの靴の箱。やっぱり買ったんだ…。
じっと見ていたら、会計を済ませたイケメンさんが俺を見た。
「買いました」
「はい」
なんとなくふたりで靴屋さんの出口まで歩く。
「それじゃ」
「はい」
イケメンさんが離れて別の店に入って行くのを見送り、俺も駅に向かった。
◇◆◇◆◇
土曜日、買ったスニーカーを履いて外出。
どこに行くわけでもなく散歩をする。用事はなかったけれど、このスニーカーが履きたかったから、天気もいいので出かけることにした。
近所のパン屋さんからいいにおいがするのでふらふらと入ってしまった。すると。
「あ」
「え」
この前のあの人がいた。しかもあの日のスニーカーを履いている。つまりお揃い。
「…いいにおいですよね」
当たり障りのないことを言ってしまった。
「はい…」
ちらりと俺のスニーカーを見てからイケメンさんが答える。
とりあえず偶然ってことで、気にせずパンを選ぶ。ウィンナーを使ったパンが好きだから取ろうとしたら横から同時に伸びる手が。
「………」
「………」
またですか。
イケメンさんと顔を見合わせてしまう。パンは二つある。一つずつ取ってトレーにのせる。
それから俺はフレンチトーストやツナパンなどをトレーにのせて会計。イケメンさんも会計をしている。俺を見て小さく頭を下げるので俺もぺこりと下げる。
「それじゃ」
「はい」
靴屋さんでと同じようにパン屋さんの前で別れる。
近所に住んでいる人なのかな、と思いながら俺は散歩の続きをした。
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