モブは主役になれますか?

すずかけあおい

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モブは主役になれますか?⑲

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「いいんだな?」
「はい」
 室内に戻り寝室に入ったら、心臓が激しく脈打って壊れそうになる。ベッドに寝かされ、甘いキスが落ちてきて、互いを深く求めた。
「ん、ぁ……」
 椎自身驚くほどに甘えた声が出て、羞恥に頬を染める。そんな椎を見た潤理は瞳に情欲を宿らせた。熱いものをたたえた瞳に吸い寄せられるように椎から唇を重ねると、寝間着を脱がされる。潤理も寝間着を脱ぎ、引き締まった体躯が露わになった。
「椎、怖くないか?」
「……緊張してます」
「俺も」
 視線を絡めて微笑みあう。キスを交わして吐息まで吞み込まれるような舌の動きにぼうっとしていると、肌の上に潤理の手が這った。
「んっ」
 くすぐったいのに、大きい手が触れたところすべてに疼きが起こる。潤理は壊れものを撫でるような優しい手つきで椎に触れ、あますところなくキスを落としていく。
「あっ、あ……やだ」
 長い指が胸の突起をかすめ、ぴくんと身体が跳ねた。
「やだ?」
 そうではない、と視線をあわせて首を横に振る。かすめただけで背筋に淡い快感が灯り、驚いてしまっただけだ。
「嫌だったらすぐに言ってくれ」
「はい……あ、あぅ……」
 突起を指で転がされると、じんわりと熱い劣情が腰を重くする。両の突起をいじられ腰が震えたら、潤理がおもむろに片方の突起を口に含んだ。
「あっ」
 濡れた感覚に背が反った。刺激でぷくりと芯を持った尖りは容易に舌で弾かれる。片方は舌でいじめられ、もう片方は指でこよるようにこすられて、身体がじわじわと熱くなっていく。
 自分の吐く息が熱くてのぼせそうだ。縋るように潤理の髪に指をさし入れると、彼の顔があがった。自分が今どんな顔をしているかはわからないが、彼は視線を椎に留めて頬を紅潮させた。
「椎、すごい可愛い」
「可愛くな……っ、あっ……ん」
 潤理の言葉の魔法で、身体がどんどん火照る。肌に啄むキスを落としながら彼の顔の位置がさがり、椎は恥ずかしくて身を捩った。
「椎、この下着買ったのか?」
「えっ」
 なぜばれたのか、と違う意味で心臓が跳ねた。潤理は面白いものを見つけたように、下着のウエスト部分に指を引っかけて口角をあげる。
「今日のために?」
 こんなに頬が熱いのだから、きっと真っ赤だろう。椎の顔を見た潤理は困った様子で眉をさげた。
「いちいち可愛いな」
「なんでわかったんですか?」
「さっきシャワー浴びるのに椎が着替え持っていったとき、タグつきの下着が見えたから」
 本当に自分は抜けている。それだけ張りきっていたと言っているようなものだ。恥ずかしすぎて逃げ出したい。
「あの、それは」
「俺も楽しみにしてた。椎とこうするの」
「あっ……あ、……っ」
 下着を取り去られ、すでに形を変えたものが空気に触れる。指を絡められたら濡れた音がして、椎は耳を塞ぎたくなった
「椎」
「え、あ、ん……」
 キスが落ちてきて唇を啄まれる。それだけの刺激さえ、椎を火照らせるには充分だった。昂ぶりを扱かれながら悪戯のように唇を甘噛みされる。椎の心臓は激しく高鳴っておかしくなりそうだ。
 潤理の頬に手を添えると、彼は綺麗な笑顔を見せてくれた。それはどこかせつなくも見えて、椎の心臓をさらに暴れさせた。
「好きだ」
 耳に吹き込むように囁かれ、ぞわりと背筋に快感が滑りあがる。小さく身を震わせる椎を楽しむように何度も耳に吐息交じりの愛の言葉を囁く。そのたびに反応すると潤理は満足そうに口角をあげ、椎の顔を覗き込んだ。
「あ、あ……見ないで……っ」
 昂ぶりを扱く手の速度があがり、快感に溺れる表情を見られることが恥ずかしい。腕で顔を隠すが、すぐにはずされた。それでもなお顔を背けると、なだめるように首もとにキスが落ちてきた。
「椎、見せて」
「やだ……恥ずかしいです」
 頬がどんどん熱くなっていき、耳まで熱を持っているのがわかる。椎は諦めずに顔を隠そうとする。それを咎めるように、指先でしずくを零す先端のくぼみをなぞられて引き攣った喘ぎが飛び出た。
「潤理さ……っ、それ……っ」
「これ?」
「あ、だめ……っ」
 同じように何度もくぼみを指で撫でられ、腰が小刻みに震える。ずくんずくんと下半身の熱が中心で燻り、はしたなく揺れる腰を止められない。椎を追い詰めるように大きい手の動きがさらに速くなった。
「あ、だめ、いく……、あ、ぅ……っ」
 内腿が引き攣り、シーツを蹴る。椎の太腿にキスをした潤理が張り詰めた昂ぶりを口内におさめ、顔を上下させながら吸いあげた。
「ああっ……、ぅあ……っ!」
 深くまで咥えられて腰が大きく跳ねた。熱くぬめる粘膜に包まれて椎は欲望を放つ。口の中の飛沫を、潤理は躊躇いもなく喉に通した。
「ん、んっ……」
 鋭敏な身体を解放させるように、潤理は最後のひとしずくまで吸い取った。強烈な刺激に腰が何度も震え、椎の目尻から続けて涙が伝った。
 顔をあげた潤理は欲情に燃えた瞳を椎へ向ける。彼のうなじに手をまわして引き寄せると、唇が重なった。
 両足のあいだを撫でていた手が奥まったところへと滑り、窄まりのまわりをくるりとなぞる。力の入らない椎に確認するように彼が目を覗き込んでくる。緊張しながら、ひとつ頷いた。
 ローションをまとった指先が中に滑り込み、椎は眉を寄せる。痛みはないが違和感がすごい。円を描くように動く指に集中して異物感に耐える。
「痛くないか?」
「大丈夫です……」
「でも変な感じ?」
「はい」
 へその横に口づけた潤理が皮膚を軽く吸い、小さな痛みが走った。そこを確認するように見おろすと、唇の痕が赤く咲いている。思わずその色づきを指で撫でると、潤理が椎の手を取って指先にキスをした。王子さまのキスのようで、椎は恥ずかしくなった。
 中の指が増やされ、奥に進んだ。内壁をさぐるように指が動き、ぞわりと背筋が騒ぐような不思議な感覚が起こった。
「潤理さん……、そこ、なんか」
「ああ。ここな」
「なんか……変です……」
 同じところを撫でられるたびにぞわぞわがおさまらない。痛いのでも気持ち悪いのでもなく、なにかの前触れのような、得体の知れないものを引き連れてきそうな、そんな感覚だった。潤理が何度も撫でたり軽く押したりするうちに、身体の奥深くから言いようのない快感が湧き起こりはじめた。
「…っあ……ああ……っ」
 経験したことのない大きな波が椎を呑み込む。享楽に溺れる椎の全身に潤理の熱い視線が絡みついた。中でうごめく指は繰り返しそのところを刺激し、椎は指の動きのままに乱れてシーツにしわを作った。
「潤理さん……っ、だめ、そこ……っ」
「気持ちいい?」
 こくこくと何度も頷くと潤理は狙いを定めるように目を細めた。そんな表情の変化ひとつも美しくて一瞬正気に戻った椎だったが、すぐにまた快感の渦に巻き込まれた。
「もうだめ……っ、変になる……!」
「いいよ。変になれ」
「ああ……っ!」
 弱い部分をぐっと押されて目の前が白く瞬いた。彼の神秘的な黒い瞳に痴態を晒していることさえ気持ちよくなってくる。
「だ、め……いく……っ」
 もう限界だとシーツを握りしめるが、刺激はやんだ。中途半端に止められて劣情が体内で燻る。早くこの熱をなんとかしてほしくてねだるように潤理を見つめると、彼は椎の両足のあいだに身体を入れた。その頬は上気していて、大人の男の色気に拍動が激しくなった。
「潤理さん、早く……」
「煽るな」
「だって、早くほしいです」
 椎の両膝の裏に手を添えて足を持ちあげた潤理が、綻んだ窄まりに熱い塊があてがう。期待で胸が躍る椎の秘部を押し開き、内へと入り込む猛りの大きさに思わず眉をひそめた。
「大丈夫か?」
「はい……」
 頬を撫でられ、その手を捕まえて頬ずりをする。親指を口に咥えて軽く吸うと、潤理の瞳の奥の熱がいっそう燃えあがった。
「椎」
「え……、あっ」
「椎が悪いんだからな」
 噛みつくようにキスをされ、昂ぶりが奥へと進む。内側がいっぱいになったところで潤理の動きが止まり、また貪るキスで唇を塞がれた。
「んぁ……ふ、ぅ……ん」
 荒々しいのに丁寧に口内をすみずみまで愛撫するキスに、くらくらと眩暈さえ覚える。潤理の肌に触れて背中を撫で、しがみつくように力を込める。それを合図とするように潤理は腰を揺らめかせた。
「あ、あ……っ」
 自分の口から出る声があまりに濡れていて、恥ずかしいと思うのに抑えられない。彼の動きにあわせて声が押し出される。手を伸ばして潤理の頬に伝う汗を拭い、キスを贈った。
「潤理さん……」
 椎のひとつひとつの言動に潤理は優しい反応を見せてくれる。柔らかな微笑みは心を蕩かせた。
「椎」
「あ、ああっ……っ、だめ……そこ……っ」
 先ほどおかしくなったところを狙って動かれ、潤理の腕を掴む。濡れた音とともに律動が刻まれて、椎の下腹部がまた張り詰める。
 潤理の表情をもっと見たいのに彼の動きは椎を簡単に狂わせるので、それがままならない。乱れる椎を腕の中に捕まえながらひたすら追い詰める動きに酔う。
 視線が絡み、微笑みあったら潤理の動きが速くなった。最奥を穿たれて顎があがり、背が仰け反る。潤理の動きのすべてが、的確に椎を高めていく
「好きだ」
 脳が痺れるような感覚にひとつ身震いし、甘い言葉を受け取る。潤理の愛が嬉しくて、椎も同じように愛を返したいのに、快感の波に翻弄されてうまくできない。
「んっ」
 唇が重なり、少し離れてまた啄まれる。至近距離で微笑みを交わして潤理の背にまわした指先に力を込める。
 絶対に諦めたくないと思った彼の腕の中にいる。諦めたらそこで終わったけれど、自らこの人のところに戻ったことですべてが変わった。
 潤理の頬に触れてそっと撫でると、せつなげな微笑を浮かべた彼がその手を取る。手のひらにキスをされ、くすぐったくて椎も口もとが緩んだ。
「ああっ……!」
 もっとも深いところを穿たれ、視界が明滅した。潤理の動きに余裕がなくなっていくことが椎をどんどん熱くする。愛おしさの精いっぱいを込めて口を開いた。
「潤理さん、好き……っ」
 何度伝えても足りなくて、言葉を繰り返す。好き……好き――ただ潤理だけが好き。
 限界の淵まで追い込まれた椎がさらにきつく潤理の背に縋ると、彼はそれでいいと言うようにひとつ頷いてから動きを速めた。
 肌のぶつかる音が耳に響き、恥ずかしいのに潤理をもっと感じたくて、椎は自ら足を大きく開いた。彼を一番深くまで受け入れたい。
 その気持ちに応えるように潤理が椎の腰を掴み、貪欲に激しく求めてくれた。
「あ、あっ……ああっ!」
 意識が薄れるほどの衝撃に身体が強張り、腰の奥から熱い情欲がせりあがって昂ぶりが弾ける。潤理もまた椎の最奥をさぐり、深く穿って欲を解放した。吐精の余韻が残る弛緩した身体をしっかりと抱きしめられて、椎も彼の背に腕をまわした。
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