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それから
それから⑤
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「莉久」
綻んだ窄まりに熱いものが押し当てられ、耳もとにかすれた声が吹き込まれる。ゆっくりと腰を進める怜司の手を握り、力をこめた。入口や襞が押し開かれて、指よりずっと大きいものが滑り込む。息をついた怜司は、慎重に奥へと進んでくれた。
「怜司さん……」
「なに?」
「すごく好き」
目を見開いた怜司が長い腕で莉久を抱きしめる。その指先が少し震えていた。
「俺も、莉久が好き」
深く嘆息した怜司が、「入った」と教えてくれた。抱きしめたままの体勢でしばらく動きを止めた怜司は、莉久にたくさんのキスを降らせる。莉久からも頬にキスを贈ると、愛しい男ははにかむように口もとを緩めた。
「莉久、ありがとう」
なにが、と聞きたかったのに聞けなかった。怜司が腰を揺らめかせ、甘い快感に貫かれてしまったから。指でこすられたところを熱いもので抉られると、信じられないほど甘えた声が出た。
「あっ……あっ、ん、ぁ……っ」
浅いところで動いていた怜司が、徐々に深みをさぐる。脚が引き攣るほど甘やかな刺激に、切羽詰まった声が止まらない。思わずシーツを握りしめ、正気を失いそうになるのを必死で留めた。わけがわからなくなりそうな快感に呑まれ、全身が熱をもつ。
「怜司さん、だめ、気持ちい……っ」
最奥を穿たれ、痺れるような感覚が脳まで突き抜けた。怜司のうなじを撫でると、吐息を絡めるように莉久からキスをする。零れる唾液も気にせず唇を合わせ、怜司のすべてを受け入れた。
莉久の黒髪を撫でる怜司の手つきが、いつもどおり優しい。この手になにもかも委ねたい、と心の底から切望した。
「待って、そこ……、あっ」
肌の上を滑った熱い手が胸の尖りを転がした。触れられるだけでも腰が重くなるのに、口に含まれて甘噛みされ、大きく背が仰け反った。反対側は指でつままれ、同時に内奥をこすられる。いくつもの快感が重なっておかしくなりそうだった。
「怜司さん、ほんとに待って、また……っ」
「ああ」
「いっちゃう……っ」
脇腹が細かく痙攣し、熱く滾った欲望が腹に散った。弛緩した身体をきつく抱きしめられながら息を整える。中の怜司はまだ達していないのに抜こうとうするので、慌てて肩にしがみついた。
「やだ……。俺がいくだけじゃ終わらないって言ったんだから、怜司さんも」
「つらいだろ。俺はいいから」
額にキスをした怜司がなおも身体を引こうとするので、その腰に両脚を絡めた。
「怜司さんに俺の中でいってほしい……!」
目を見開いたあとに深く嘆息した怜司は、「ほんと無理」と呟いて莉久の腰を掴んだ。莉久が気持ちいいと言ったところを狙われ、すぐに熱がまた高まった。怜司の綺麗な顔がせつなげに歪み、汗が頬を伝っている。手を伸ばしてその汗を拭うと、指を絡めて手を握ってくれた。
「あっ、あ……んっ」
握った手に力をこめ、全身で怜司を感じた。深いところに先端が当たると腰が跳ねる。甘美な快感に酔い、さらに吐息が熱くなった。怜司がキスをくれるたびに、莉久と同じように熱い吐息が唇や頬に触れる。耳もとで愛を囁かれたら、目の前が白く瞬いた。
「ああっ……あ、ぅぁ……!」
どこをこすられても触られても気持ちいい。すべてが快感への梯子となり、莉久を乱した。
濡れた唇が押し当てられ、荒々しく舌が絡まる。口内を舐め尽くされて吐息を奪われた。ふたつの呼吸が混じり合い、莉久は夢中で怜司の髪に指をさし入れた。
「ん……、ふ、ぁっ、……っまたいく、いく……っ」
「早いな。俺もいきそう」
莉久の濡れた昂ぶりを怜司が扱く。導かれるままに腰の奥が重くなり、内腿が引き攣る。怜司の腰の動きも速まり、彼もまた限界が近いことがわかった。
「怜司さん、怜司さん……、好き……っ」
「莉久……っ」
勢いなく白濁がとろとろと零れ、身体が強張る。跳ねる腰を押さえた怜司が最奥を穿った。内で脈打つ熱に莉久はまた軽く達し、くらくらするほどの快感が次から次へと訪れて、もうついていけない。
甘く深い嘆息は同時だった。力の抜けた莉久に覆いかぶさった怜司が、口もとを緩める。
「莉久、ありがとう」
「さっきも言ってたね。なにが『ありがとう』なの……?」
隣に身体を倒した怜司が莉久と額を合わせる。
「俺と出会ってくれて、ありがとう」
そんなことを言ったら、莉久はどんな感謝の言葉を紡いでも足りないくらい怜司に感謝している。ひとりが怖かったときに手を差し伸べてくれたこと、暗い夜道でいつでも守ってくれたこと、ずっと支えてくれたこと、今そばにいてくれること――世界中の感謝の言葉を使っても、まだ足りないし表せない。
「好きだ、莉久。ずっと莉久といたい」
「うん。怜司さんとずっと一緒にいる」
互いにしがみつくように抱きしめ合った。
綻んだ窄まりに熱いものが押し当てられ、耳もとにかすれた声が吹き込まれる。ゆっくりと腰を進める怜司の手を握り、力をこめた。入口や襞が押し開かれて、指よりずっと大きいものが滑り込む。息をついた怜司は、慎重に奥へと進んでくれた。
「怜司さん……」
「なに?」
「すごく好き」
目を見開いた怜司が長い腕で莉久を抱きしめる。その指先が少し震えていた。
「俺も、莉久が好き」
深く嘆息した怜司が、「入った」と教えてくれた。抱きしめたままの体勢でしばらく動きを止めた怜司は、莉久にたくさんのキスを降らせる。莉久からも頬にキスを贈ると、愛しい男ははにかむように口もとを緩めた。
「莉久、ありがとう」
なにが、と聞きたかったのに聞けなかった。怜司が腰を揺らめかせ、甘い快感に貫かれてしまったから。指でこすられたところを熱いもので抉られると、信じられないほど甘えた声が出た。
「あっ……あっ、ん、ぁ……っ」
浅いところで動いていた怜司が、徐々に深みをさぐる。脚が引き攣るほど甘やかな刺激に、切羽詰まった声が止まらない。思わずシーツを握りしめ、正気を失いそうになるのを必死で留めた。わけがわからなくなりそうな快感に呑まれ、全身が熱をもつ。
「怜司さん、だめ、気持ちい……っ」
最奥を穿たれ、痺れるような感覚が脳まで突き抜けた。怜司のうなじを撫でると、吐息を絡めるように莉久からキスをする。零れる唾液も気にせず唇を合わせ、怜司のすべてを受け入れた。
莉久の黒髪を撫でる怜司の手つきが、いつもどおり優しい。この手になにもかも委ねたい、と心の底から切望した。
「待って、そこ……、あっ」
肌の上を滑った熱い手が胸の尖りを転がした。触れられるだけでも腰が重くなるのに、口に含まれて甘噛みされ、大きく背が仰け反った。反対側は指でつままれ、同時に内奥をこすられる。いくつもの快感が重なっておかしくなりそうだった。
「怜司さん、ほんとに待って、また……っ」
「ああ」
「いっちゃう……っ」
脇腹が細かく痙攣し、熱く滾った欲望が腹に散った。弛緩した身体をきつく抱きしめられながら息を整える。中の怜司はまだ達していないのに抜こうとうするので、慌てて肩にしがみついた。
「やだ……。俺がいくだけじゃ終わらないって言ったんだから、怜司さんも」
「つらいだろ。俺はいいから」
額にキスをした怜司がなおも身体を引こうとするので、その腰に両脚を絡めた。
「怜司さんに俺の中でいってほしい……!」
目を見開いたあとに深く嘆息した怜司は、「ほんと無理」と呟いて莉久の腰を掴んだ。莉久が気持ちいいと言ったところを狙われ、すぐに熱がまた高まった。怜司の綺麗な顔がせつなげに歪み、汗が頬を伝っている。手を伸ばしてその汗を拭うと、指を絡めて手を握ってくれた。
「あっ、あ……んっ」
握った手に力をこめ、全身で怜司を感じた。深いところに先端が当たると腰が跳ねる。甘美な快感に酔い、さらに吐息が熱くなった。怜司がキスをくれるたびに、莉久と同じように熱い吐息が唇や頬に触れる。耳もとで愛を囁かれたら、目の前が白く瞬いた。
「ああっ……あ、ぅぁ……!」
どこをこすられても触られても気持ちいい。すべてが快感への梯子となり、莉久を乱した。
濡れた唇が押し当てられ、荒々しく舌が絡まる。口内を舐め尽くされて吐息を奪われた。ふたつの呼吸が混じり合い、莉久は夢中で怜司の髪に指をさし入れた。
「ん……、ふ、ぁっ、……っまたいく、いく……っ」
「早いな。俺もいきそう」
莉久の濡れた昂ぶりを怜司が扱く。導かれるままに腰の奥が重くなり、内腿が引き攣る。怜司の腰の動きも速まり、彼もまた限界が近いことがわかった。
「怜司さん、怜司さん……、好き……っ」
「莉久……っ」
勢いなく白濁がとろとろと零れ、身体が強張る。跳ねる腰を押さえた怜司が最奥を穿った。内で脈打つ熱に莉久はまた軽く達し、くらくらするほどの快感が次から次へと訪れて、もうついていけない。
甘く深い嘆息は同時だった。力の抜けた莉久に覆いかぶさった怜司が、口もとを緩める。
「莉久、ありがとう」
「さっきも言ってたね。なにが『ありがとう』なの……?」
隣に身体を倒した怜司が莉久と額を合わせる。
「俺と出会ってくれて、ありがとう」
そんなことを言ったら、莉久はどんな感謝の言葉を紡いでも足りないくらい怜司に感謝している。ひとりが怖かったときに手を差し伸べてくれたこと、暗い夜道でいつでも守ってくれたこと、ずっと支えてくれたこと、今そばにいてくれること――世界中の感謝の言葉を使っても、まだ足りないし表せない。
「好きだ、莉久。ずっと莉久といたい」
「うん。怜司さんとずっと一緒にいる」
互いにしがみつくように抱きしめ合った。
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