今夜は酔わせて

すずかけあおい

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今夜は酔わせて⑦

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「瑛士、大丈夫か」
「……へーき」

 颯真に抱き締められて髪を撫でてもらったら幸せを感じた。俺も颯真に幸せを感じてもらいたくて、同じようにする。

「大阪って、なにで行くの」
「飛行機」
「休みには会いに来てくれる?」
「会いに来る」

 じっと颯真を見ると、微笑んでくれる。腰を撫でられて身体が跳ねた。

「腰、痛いね」
「痛いか。加減できなくて悪かったな」
「ううん。幸せだからいい」

 そういえば前のときはこんな腰の違和感とかなかった。ほんとに抱かれてなかったんだ…。

「颯真」
「ん?」
「意地悪」
「今更なに言ってんだ」

 優しく微笑む颯真。ずっと見ていたい。どきどきしながら颯真を見つめる。

「すげー顔してんな」
「なにそれ」
「めちゃくちゃ可愛い顔してる」
「それは…」

 颯真の頬に手を添えて、唇を重ねる。

「颯真に酔ってるからだよ」

 颯真が頬を染めて、俺から視線を逸らす。

「ほんと、可愛い過ぎんだろ」

 颯真の体温を覚えたくて抱きつく腕に力をこめると、気持ちが伝わったのか、颯真もきつく抱き締め返してくれた。

「……なんで返信くれなかったの?」
「瑛士に冷静になって欲しかったから」
「冷静だよ」
「そうだな。もっと早くこうしてればよかった」
「ほんとだよ、颯真の馬鹿」

 すぐにこの温もりから離れなくちゃいけない。でも、ここは俺だけの場所。

「いつでも夢中でいてもらえるように努力するから、ずっと俺に酔ってろよ」
「どうかな」
「そういうとこ、可愛いな…ほんと」

 優しく唇が重なった。
 ほんと、趣味悪い男。

「俺だって颯真を酔わせるから」
「望むところだ」

 するりと髪を指で梳くように撫でられる。
 颯真に髪を撫でてもらうととほっとする。
 俺からもキスをして、いつまでも抱き締め合った。



 おわり


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