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恋愛対象②
昨日、「俺じゃだめ?」なんて言ってしまったけれど、だめに決まってるよな……落ち込む。どんな顔で会えばいいんだろう。ていうかあんな告白の仕方はないだろう。最悪だ。
「……学校行きたくない」
でも行かなくちゃ。足が重い。歩いているはずなのに前に進んでいる感じがしない。ああ、今すぐ帰りたい。
「おはよう、理津」
「!」
駅で周助に会ってしまった。会いたいけれど会いたくなかった。
「お、おはよう、周助……」
「理津? どうした?」
どうした、って……なんかいつもどおり? 一緒に電車に乗るけれど、周助の様子に特に変わったところはない。
……そうか。周助は可愛い人が好きだから、恋愛対象じゃない俺が告白してもスルーされたのかもしれない。それなら、俺もいつもどおりにしないと。
うまくできているかわからないけれど、頑張って“いつもどおり”をやる。昨夜のテレビの話とか、宿題の話とか。……先輩の話は出なかった。
このまま俺の告白はなかったことになって忘れられていくんだな、と思ったらそれも寂しいけれど、でも仕方ない。恋愛対象じゃないってところから、始まるものも始まらないんだから。
学校に着いて靴を履き替えようとしたら、周助が上履きを落として俺のほうに転がってくる。
「わ!」
「て、手が滑った」
「びっくりした」
珍しい。
階段に向かう。
「うわ!」
「えっ!?」
周助が一段目で躓く。
「あぶな……」
「びっくりした……大丈夫?」
「……緊張しすぎてもう限界」
「緊張?」
「なんでもない」
先に階段を上がって行ってしまう周助。でもまたすぐ躓く。本当に大丈夫かな。
下校まで周助はずっとそんな様子だった。
帰宅して自室で一日の周助の様子を思い返し、うーん……と唸る。
「もしかして、スルーはされてない……?」
急に胸がどきどきし始める。
もしかして、もしかして……いや、そんなことない? ちょっとくらい、意識してくれている?
どきどきが激しくなってにやにやが止まらない。
翌日も周助は同じだった。その次の日も。
観察していたら、本人が言っていたように緊張している様子。
……少し落ち込む。俺の告白は間違っていたんじゃないか。友達でいられなくなるんじゃないか。自分の言ったことを後悔し始める。
周助は様子がおかしい。俺は落ち込んで溜め息ばかり。
そんな日が続いて、一週間が経った。
「話を聞きたい」
周助が真剣な表情で俺を自宅に誘った。俺は逃げ出したい思いで、でも逃げるなんてできないから頷いた。
周助の部屋で隣り合って座る。いつもと同じなのに、変に緊張してしまう。
「理津、ごめん」
「!!」
振られるのか……。そのために自宅にまで呼ぶ? 案外周助も残酷だな。その辺でぱぱっと言ってくれたらよかったのに。
「俺、ずっと自分の相談ばっかりで理津の相談に乗ってこなかった」
「え……?」
「一方的に自分のことばっかり相談して、理津の悩みを聞いたりとか、全然しなかった」
「……」
そういえばそうだっけ。
……相談に乗ってもらったところで、俺の気持ちは周助には言えなかったけど。だって、俺がそこまで悩むことって周助のことだけだから。
「だから、理津の話を聞きたい」
真剣な強い瞳にどきどきする。急にそんな風に言われても、俺もどうしたらいいかわからない。でも、周助が望むなら。
「……うまく話せるか、わからないけど」
「うん」
優しく微笑んでくれる周助に心臓がぎゅっとなる。好きだ、すごく好き。
「うーんと……俺が周助を好きになったのは、中二の校外学習のとき」
「そんな前?」
「うん」
周助がモテて不安だったこと。
告白をすべて断ってほっとしていたこと。
ずっと周助だけを見ていたこと。
ひとつひとつ丁寧に話を聞いてくれる周助に頬が熱くなる。思いつく限りの俺の好きな周助の話をしていると、徐々に周助の様子がおかしくなっていく。あっちを向いたりこっちを向いたり、上を向いたり下を向いたり。立ち上がろうとしてすぐ座ったり。謎な動きをする。
「周助……?」
呼びかけると、びくっと肩を上下させて俺を見る。
「えっ、あっ……あの」
「どうしたの?」
「あ、あ……あの……、ちょっと考えさせて……ください……」
「はい……」
「よ、よろしくお願いします……」
「……?」
なに……?
その後ずっと周助は壊れた状態で、突然赤くなったりもとに戻ったりまた赤くなったりを繰り返したり、謎な動きをして、かなり怪しかった。
夜、俺は周助が話を聞きたいと言ってくれたことが嬉しくて眠れず、ベッドでごろごろと転がっていた。
「周助、好き……」
幸せが一生分訪れた気分だった。
「……学校行きたくない」
でも行かなくちゃ。足が重い。歩いているはずなのに前に進んでいる感じがしない。ああ、今すぐ帰りたい。
「おはよう、理津」
「!」
駅で周助に会ってしまった。会いたいけれど会いたくなかった。
「お、おはよう、周助……」
「理津? どうした?」
どうした、って……なんかいつもどおり? 一緒に電車に乗るけれど、周助の様子に特に変わったところはない。
……そうか。周助は可愛い人が好きだから、恋愛対象じゃない俺が告白してもスルーされたのかもしれない。それなら、俺もいつもどおりにしないと。
うまくできているかわからないけれど、頑張って“いつもどおり”をやる。昨夜のテレビの話とか、宿題の話とか。……先輩の話は出なかった。
このまま俺の告白はなかったことになって忘れられていくんだな、と思ったらそれも寂しいけれど、でも仕方ない。恋愛対象じゃないってところから、始まるものも始まらないんだから。
学校に着いて靴を履き替えようとしたら、周助が上履きを落として俺のほうに転がってくる。
「わ!」
「て、手が滑った」
「びっくりした」
珍しい。
階段に向かう。
「うわ!」
「えっ!?」
周助が一段目で躓く。
「あぶな……」
「びっくりした……大丈夫?」
「……緊張しすぎてもう限界」
「緊張?」
「なんでもない」
先に階段を上がって行ってしまう周助。でもまたすぐ躓く。本当に大丈夫かな。
下校まで周助はずっとそんな様子だった。
帰宅して自室で一日の周助の様子を思い返し、うーん……と唸る。
「もしかして、スルーはされてない……?」
急に胸がどきどきし始める。
もしかして、もしかして……いや、そんなことない? ちょっとくらい、意識してくれている?
どきどきが激しくなってにやにやが止まらない。
翌日も周助は同じだった。その次の日も。
観察していたら、本人が言っていたように緊張している様子。
……少し落ち込む。俺の告白は間違っていたんじゃないか。友達でいられなくなるんじゃないか。自分の言ったことを後悔し始める。
周助は様子がおかしい。俺は落ち込んで溜め息ばかり。
そんな日が続いて、一週間が経った。
「話を聞きたい」
周助が真剣な表情で俺を自宅に誘った。俺は逃げ出したい思いで、でも逃げるなんてできないから頷いた。
周助の部屋で隣り合って座る。いつもと同じなのに、変に緊張してしまう。
「理津、ごめん」
「!!」
振られるのか……。そのために自宅にまで呼ぶ? 案外周助も残酷だな。その辺でぱぱっと言ってくれたらよかったのに。
「俺、ずっと自分の相談ばっかりで理津の相談に乗ってこなかった」
「え……?」
「一方的に自分のことばっかり相談して、理津の悩みを聞いたりとか、全然しなかった」
「……」
そういえばそうだっけ。
……相談に乗ってもらったところで、俺の気持ちは周助には言えなかったけど。だって、俺がそこまで悩むことって周助のことだけだから。
「だから、理津の話を聞きたい」
真剣な強い瞳にどきどきする。急にそんな風に言われても、俺もどうしたらいいかわからない。でも、周助が望むなら。
「……うまく話せるか、わからないけど」
「うん」
優しく微笑んでくれる周助に心臓がぎゅっとなる。好きだ、すごく好き。
「うーんと……俺が周助を好きになったのは、中二の校外学習のとき」
「そんな前?」
「うん」
周助がモテて不安だったこと。
告白をすべて断ってほっとしていたこと。
ずっと周助だけを見ていたこと。
ひとつひとつ丁寧に話を聞いてくれる周助に頬が熱くなる。思いつく限りの俺の好きな周助の話をしていると、徐々に周助の様子がおかしくなっていく。あっちを向いたりこっちを向いたり、上を向いたり下を向いたり。立ち上がろうとしてすぐ座ったり。謎な動きをする。
「周助……?」
呼びかけると、びくっと肩を上下させて俺を見る。
「えっ、あっ……あの」
「どうしたの?」
「あ、あ……あの……、ちょっと考えさせて……ください……」
「はい……」
「よ、よろしくお願いします……」
「……?」
なに……?
その後ずっと周助は壊れた状態で、突然赤くなったりもとに戻ったりまた赤くなったりを繰り返したり、謎な動きをして、かなり怪しかった。
夜、俺は周助が話を聞きたいと言ってくれたことが嬉しくて眠れず、ベッドでごろごろと転がっていた。
「周助、好き……」
幸せが一生分訪れた気分だった。
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