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恋愛対象③
「おはよう、周助」
「っ!」
「? 周助?」
「……あ、ああ……おはよう……」
視線を逸らされる。周助の態度がぎこちない。
なんで?
「周助……?」
あからさまに俺から視線を逸らす周助に、心が固まる。
もしかして昨日の話がまずかった……?
……もし、友達でいるのも嫌だと思われていたらどうしよう。
ショックで目の前が真っ暗になって立ち尽くしてしまう。周助は俺を見ない。
「……周助……」
「っ……!」
名前を呼ぶと、周助はびくっとする。明らかに様子がおかしい。
昨日話したなにかがまずかったんだ。きっと、なにかが周助には無理だったんだ。どうしよう……話さなければよかった。
「……迷惑かけてごめん」
「え……」
「ごめん!」
泣きたくなってその場から走り去る。もう消えたい。告白なんてするんじゃなかった。最初から恋愛対象じゃないってわかっていたんだから、諦めるべきだったんだ。それなのに俺は……なんてばかなんだろう。
どこに行くでもなく、廊下を走る。注意されたけどお構いなしに走った。
「理津、待って!」
「!?」
なんで追いかけてくるの!?
と思っていたら周助に捕まった。校舎の端で手首を掴まれてしまった。
「なんで……」
「……」
「周助……?」
「……今日もうち来て」
真剣な表情の周助に不安になる。本当に友達でいられなくなるのかもしれない……。頷けない俺を、周助は強い視線で見つめていた。
学校帰りに昨日と同じように周助の家に寄る。周助はずっと黙ったまま。
「……ごめん」
周助の部屋に入った途端、謝られた。怖い。
「理津、友達やめよう」
「……」
やっぱり、そういう話だ。泣きそう……だけど泣いちゃだめだ。もともと俺が告白なんてしたのが悪いんだから。そう思って涙を堪えていたら、周助に手を握られた。温かい手の感触にどきりとする。
「俺、理津にどきどきしてる」
「……?」
「俺、可愛い男の人が好きだった」
「……知ってる」
だった、って今もそうだろう。だから俺は恋愛対象じゃない。落ち込んで視線が足元に落ちる。
「……俺の話をする理津、すごく可愛い」
「は?」
「俺の名前を呼ぶ理津、誰よりも可愛い」
「……」
周助がなにを言ってるのかわからない。可愛い? 俺が? 目がおかしくなったか。
「でも、可愛いから理津がいいんじゃない」
「……言ってることがよくわからないんだけど」
周助がちょっと笑って、それからまた口を開く。
「最初は理津の気持ちに全然気づいてなかったから戸惑ったけど、理津が俺のことたくさん好きだって思ってくれてるのを知って、嬉しかった」
「え……」
「理津の気持ちが嬉しくて……人を好きになるのって見た目じゃないんだって、恥ずかしいことに昨日気づいた」
嬉しかった……? 無理だったんじゃないのかな。だから様子がおかしかったんじゃないの?
「俺も理津をたくさん喜ばせたいって思った」
どういう意味……? 周助の言ってることが全然わからない。
俺が疑問符だらけになっていると、周助に抱き寄せられた。心臓が大きく飛び跳ねる。
「理津にどきどきしちゃうの、昨日からずっと止まらないんだよ」
なにこれ、なにこれ! どういうこと!?
心臓がものすごい勢いで脈打つ。
「周助……? 俺、状況がまったくわからないんだけど……。周助の様子がおかしかったのは、俺が無理だったからじゃないの?」
周助が首を横に振る。
「違うよ。どきどきしすぎて、どうしたらいいかわからないから困ってたんだ」
「えっ」
そうなの!?
「理津、ずっと隠してたんだよな。言えない状況を俺が作ってた。片想いが辛いの、俺だって知ってる。俺なんて三か月くらいだけど、理津は三年だもんな」
「……でも、周助を好きでいられる時間はずっと幸せだよ?」
「すごいな、理津は。それに比べて俺はばかだな……理津は友達だって思ってた。こんなに俺を想ってくれてたのに」
よしよし、と言うように髪を撫でられて心臓が暴走してしまう。このままじゃ心臓が壊れる。でも、やめないで。
「こんなに心臓ってどきどきするのかってくらい、理津のこと考えるとどきどきする」
「……俺だって周助にどきどきしてる」
「すごい嬉しい」
ぎゅっと抱き締められて、おずおずと周助の背中に軽く手を回してみる。制服越しに触れた身体が見た目よりしっかりしていて、血液が沸騰してしまいそう。
「理津、友達以上になろう?」
「……ほんとに?」
「ほんとに」
こんな夢みたいなこと、あるんだろうか。視界がじわじわしてくる。
「俺、周助の恋愛対象になれるの……?」
少し身体を離して周助の顔を見上げて聞くと、優しい笑みが返ってきた。
「もうなってる」
隣で見ていられるだけでいいと思っていたのに、周助の心に触れることができた。
友達を超えられる日がくるなんて思わなかった。
おわり
「っ!」
「? 周助?」
「……あ、ああ……おはよう……」
視線を逸らされる。周助の態度がぎこちない。
なんで?
「周助……?」
あからさまに俺から視線を逸らす周助に、心が固まる。
もしかして昨日の話がまずかった……?
……もし、友達でいるのも嫌だと思われていたらどうしよう。
ショックで目の前が真っ暗になって立ち尽くしてしまう。周助は俺を見ない。
「……周助……」
「っ……!」
名前を呼ぶと、周助はびくっとする。明らかに様子がおかしい。
昨日話したなにかがまずかったんだ。きっと、なにかが周助には無理だったんだ。どうしよう……話さなければよかった。
「……迷惑かけてごめん」
「え……」
「ごめん!」
泣きたくなってその場から走り去る。もう消えたい。告白なんてするんじゃなかった。最初から恋愛対象じゃないってわかっていたんだから、諦めるべきだったんだ。それなのに俺は……なんてばかなんだろう。
どこに行くでもなく、廊下を走る。注意されたけどお構いなしに走った。
「理津、待って!」
「!?」
なんで追いかけてくるの!?
と思っていたら周助に捕まった。校舎の端で手首を掴まれてしまった。
「なんで……」
「……」
「周助……?」
「……今日もうち来て」
真剣な表情の周助に不安になる。本当に友達でいられなくなるのかもしれない……。頷けない俺を、周助は強い視線で見つめていた。
学校帰りに昨日と同じように周助の家に寄る。周助はずっと黙ったまま。
「……ごめん」
周助の部屋に入った途端、謝られた。怖い。
「理津、友達やめよう」
「……」
やっぱり、そういう話だ。泣きそう……だけど泣いちゃだめだ。もともと俺が告白なんてしたのが悪いんだから。そう思って涙を堪えていたら、周助に手を握られた。温かい手の感触にどきりとする。
「俺、理津にどきどきしてる」
「……?」
「俺、可愛い男の人が好きだった」
「……知ってる」
だった、って今もそうだろう。だから俺は恋愛対象じゃない。落ち込んで視線が足元に落ちる。
「……俺の話をする理津、すごく可愛い」
「は?」
「俺の名前を呼ぶ理津、誰よりも可愛い」
「……」
周助がなにを言ってるのかわからない。可愛い? 俺が? 目がおかしくなったか。
「でも、可愛いから理津がいいんじゃない」
「……言ってることがよくわからないんだけど」
周助がちょっと笑って、それからまた口を開く。
「最初は理津の気持ちに全然気づいてなかったから戸惑ったけど、理津が俺のことたくさん好きだって思ってくれてるのを知って、嬉しかった」
「え……」
「理津の気持ちが嬉しくて……人を好きになるのって見た目じゃないんだって、恥ずかしいことに昨日気づいた」
嬉しかった……? 無理だったんじゃないのかな。だから様子がおかしかったんじゃないの?
「俺も理津をたくさん喜ばせたいって思った」
どういう意味……? 周助の言ってることが全然わからない。
俺が疑問符だらけになっていると、周助に抱き寄せられた。心臓が大きく飛び跳ねる。
「理津にどきどきしちゃうの、昨日からずっと止まらないんだよ」
なにこれ、なにこれ! どういうこと!?
心臓がものすごい勢いで脈打つ。
「周助……? 俺、状況がまったくわからないんだけど……。周助の様子がおかしかったのは、俺が無理だったからじゃないの?」
周助が首を横に振る。
「違うよ。どきどきしすぎて、どうしたらいいかわからないから困ってたんだ」
「えっ」
そうなの!?
「理津、ずっと隠してたんだよな。言えない状況を俺が作ってた。片想いが辛いの、俺だって知ってる。俺なんて三か月くらいだけど、理津は三年だもんな」
「……でも、周助を好きでいられる時間はずっと幸せだよ?」
「すごいな、理津は。それに比べて俺はばかだな……理津は友達だって思ってた。こんなに俺を想ってくれてたのに」
よしよし、と言うように髪を撫でられて心臓が暴走してしまう。このままじゃ心臓が壊れる。でも、やめないで。
「こんなに心臓ってどきどきするのかってくらい、理津のこと考えるとどきどきする」
「……俺だって周助にどきどきしてる」
「すごい嬉しい」
ぎゅっと抱き締められて、おずおずと周助の背中に軽く手を回してみる。制服越しに触れた身体が見た目よりしっかりしていて、血液が沸騰してしまいそう。
「理津、友達以上になろう?」
「……ほんとに?」
「ほんとに」
こんな夢みたいなこと、あるんだろうか。視界がじわじわしてくる。
「俺、周助の恋愛対象になれるの……?」
少し身体を離して周助の顔を見上げて聞くと、優しい笑みが返ってきた。
「もうなってる」
隣で見ていられるだけでいいと思っていたのに、周助の心に触れることができた。
友達を超えられる日がくるなんて思わなかった。
おわり
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