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自分勝手な恋⑧
「靖司さん?」
「ユキに会いたくて来てみた」
「待って、すぐ席用意するね」
「ありがとう」
俺のバイト先の定食屋に靖司さんが来たので、驚いて持っていたダスターを落としてしまった。二人がけのテーブルに案内してメニューを出す。
「俺もユキと同じところでバイトしたいな」
「でも靖司さん、大学も自宅もこことは全然方向違うよね?」
「うん……引っ越そうかな」
メニューを見ながら呟く靖司さんに少し笑ってしまう。
「バイトするために引っ越すの?」
「違う。ユキと一秒でも長く一緒にいるために引っ越すの」
「愛されてるなあ、俺」
「そうだよ、愛してるよ」
ふざけて言ったのに真顔で返されて、どうしたらいいかわからなくなってしまう。頬が熱くて、同時に脳裏に過ったのが、拓斗は変なところで恥ずかしがるからこんなことさらっと言えないな、という考えでどきりとする。
「ユキ、なにか考えてた?」
「えっ……なにも?」
「そっか」
おてもとを靖司さんの前に置こうとした手をそっと握られて、またどきりとする。先程の悪さをしたような後ろめたい「どきり」ではなく、今度は心臓が甘く高鳴った音。
「バイト、何時まで?」
「あと一時間で交代」
「じゃあ待ってるよ」
「ありがとう」
もう拓斗のことは忘れたはずなのに、忘れられたはずなのに、ふとしたときに思い浮かぶのは靖司さんではなく拓斗。そんな自分が嫌になってきて、靖司さんと別れたほうがいいんじゃないかと思うこともある。でもそういうときに限って靖司さんは俺の心を読んだかのように「大丈夫だよ」と言う。どれだけその言葉に救われているか――。
「ごめん、お待たせ」
「お疲れさま」
店の裏口から出て、表で待っていてくれた靖司さんのもとへ駆け寄ると、頭をぽんぽんとされた。
「……」
拓斗も陽太くんによくこうやってしているな、と頭を撫でられながら考えてしまう。
「まっすぐ帰る?」
「うん、あのさ」
「……?」
珍しく言葉を濁す靖司さんに首を傾げると、熱い瞳でじっと見つめられた。
「ユキの部屋、行ってもいい?」
「え……」
「嫌だったらそう言って。無理強いもしないけど、俺は……ユキがすごく欲しい」
「えっと……」
それはつまり、そういうこと……? 手を取られ、ぎゅっと握られる。俺は嫌だと思っていない、……のに、交錯する思いの中に拓斗の影が交じる。
「……うん。いいよ」
その影を追い払うように靖司さんの瞳を見つめ返したら抱きしめられた。
「ごめんね、ユキ」
「なんで?」
「やっぱり無理強いしたかな、って思って」
「そんなことない」
靖司さんの手に触れ、目を閉じてそっと深呼吸をすると、瞼に柔らかいものが触れた。
「……?」
「優しいね、ユキは」
目の前に靖司さんの整った顔があり、今の柔らかい感触が唇だとわかって頬がかあっと熱くなる。瞼にキスなんて恥ずかしくて顔を伏せると頬を両手で包まれた。
「ユキ……」
顔を少し上げて見ると、柔らかい笑顔が俺に向けられている。それがゆっくり近づいてきて、瞼を下ろそうとしたら視界の端に拓斗がいた。
「え……」
幻覚かとそちらを向くと、外灯の明かりの下に本当に拓斗がいる。その隣には陽太くんもいて、こちらをじっと見ている。
「靖司さ……」
「ユキ」
「あ……」
少し強引な動きで顔を正面に戻され、唇が重なろうとしたと同時になにかが俺の身体をうしろに引っ張った。
「え……」
見ると拓斗が俺を抱き寄せていて、靖司さんから無理矢理引き離されたようだ。その行動がわからなくて拓斗を見上げると、拓斗も自分のした行動がわからないという表情で、明らかに戸惑いを見せている。
「拓斗……?」
「……悪い」
突き放すように肩から手を離され、拓斗が陽太くんのもとに戻る。呆然とした様子の陽太くんの肩を抱いた拓斗がこちらに背を向け、来た道を戻って行く二人の姿を俺は見つめる。
「ごめん、ユキ……」
「……」
「やっぱり今日はまっすぐ帰るよ」
「……」
どうしよう、靖司さんの言葉が聞こえないくらい心臓が高鳴っている。もう遠くなった背中。俺の肩はまだ先程の力強さを覚えている。
「……俺こそごめん」
「ユキ?」
「本当にごめん。別れてください」
靖司さんに深く頭を下げる。
「どうして?」
「やっぱり拓斗を忘れられない」
「それでもいいよ。ユキがいればそれでいい」
両肩に手を置かれ、顔を上げると怖いくらい真剣な表情をした靖司さんが俺をまっすぐ見ている。
「俺が、それじゃだめなんだ。どうしても……俺は拓斗が――」
ぺちん、と軽く頬を叩かれ、切ない笑顔に胸が痛くなる。
「悔しいし、腹が立つけど」
「靖司さん……」
「絶対幸せにならないと、本気で殴るから」
「それは……わからない」
だって拓斗が俺を受け入れてくれるとは思えない。もしも受け入れてくれたとしたら、それは陽太くんから奪うことになるわけで、幸せになれるなんて思わないほうがいい。
「努力して。精いっぱいで幸せになろうとして」
「靖司さん……」
「そこまで好きなら、思いきり当たって砕ける勢いで行け」
一度ぎゅっと抱きしめられ、それからとん、と肩を押された。
「だめだったときには慰めてあげるから」
「……うん」
「ありがとう、ユキ」
「お礼を言うのは俺のほうだって」
「ううん。俺はユキといられて幸せだった。たとえユキにはなんでもない時間でも、俺には宝物だよ」
「そんな……」
俺も幸せだったし、靖司さんは幸せにしてくれた。それなのに俺が求めたのは、結局拓斗。宝物だなんてそんな風に思ってもらえるほど、俺はきちんと靖司さんを幸せにできなかった。
「ほら。二人が行っちゃうから、早く」
「う、うん……」
「頑張れ、ユキ。泣いて戻ってきていいからな」
靖司さんを置いて拓斗を追いかける。一度だけ振り返ったら、泣き出しそうな顔で笑みを作ってこちらに手を振っていた。
最低で最悪だ。俺は自分勝手で、人を傷つけて、それでも拓斗が欲しい。拓斗が好きになってくれた俺ではなくなってしまったから、きっとこの気持ちは受け入れてもらえない。
「幸尚、幸尚、遊ぼう」
「たっくん、ユキでいいよ」
「ううん。幸尚は幸尚だから」
幼稚園のとき、拓斗はそう言って俺をずっと幸尚と呼んだ。俺の名前の漢字を練習して書いて見せてくれたりもした。
「じゃあ、ぼくもたくとにする」
「なんで?」
「だって、たっくんかっこいいから」
「そうかな」
「うん。すごくかっこいい」
俺が「たくと」と呼ぶと拓斗は恥ずかしそうに笑って、その笑顔がきらきらしていた。
「三組にかわいい女子がいて、好きになった」
「ふうん」
「拓斗は好きな子いないの?」
「俺は幸尚が好き」
「俺?」
「うん」
そうだ……小学生の頃にはもう拓斗は俺が好きだと言ってくれていた。そのときは拓斗の「好き」の意味がわかっていなくて、首を傾げたっけ。俺が、かわいいからと女子を好きになった軽い「好き」よりも、それはずっと深い気持ちだったに違いない。
「幸尚が好きだ」
あの日の告白で俺は驚いたけれど、昔から拓斗はまっすぐだったじゃないか。ずっと俺を好きだと言ってくれていた。
「ユキに会いたくて来てみた」
「待って、すぐ席用意するね」
「ありがとう」
俺のバイト先の定食屋に靖司さんが来たので、驚いて持っていたダスターを落としてしまった。二人がけのテーブルに案内してメニューを出す。
「俺もユキと同じところでバイトしたいな」
「でも靖司さん、大学も自宅もこことは全然方向違うよね?」
「うん……引っ越そうかな」
メニューを見ながら呟く靖司さんに少し笑ってしまう。
「バイトするために引っ越すの?」
「違う。ユキと一秒でも長く一緒にいるために引っ越すの」
「愛されてるなあ、俺」
「そうだよ、愛してるよ」
ふざけて言ったのに真顔で返されて、どうしたらいいかわからなくなってしまう。頬が熱くて、同時に脳裏に過ったのが、拓斗は変なところで恥ずかしがるからこんなことさらっと言えないな、という考えでどきりとする。
「ユキ、なにか考えてた?」
「えっ……なにも?」
「そっか」
おてもとを靖司さんの前に置こうとした手をそっと握られて、またどきりとする。先程の悪さをしたような後ろめたい「どきり」ではなく、今度は心臓が甘く高鳴った音。
「バイト、何時まで?」
「あと一時間で交代」
「じゃあ待ってるよ」
「ありがとう」
もう拓斗のことは忘れたはずなのに、忘れられたはずなのに、ふとしたときに思い浮かぶのは靖司さんではなく拓斗。そんな自分が嫌になってきて、靖司さんと別れたほうがいいんじゃないかと思うこともある。でもそういうときに限って靖司さんは俺の心を読んだかのように「大丈夫だよ」と言う。どれだけその言葉に救われているか――。
「ごめん、お待たせ」
「お疲れさま」
店の裏口から出て、表で待っていてくれた靖司さんのもとへ駆け寄ると、頭をぽんぽんとされた。
「……」
拓斗も陽太くんによくこうやってしているな、と頭を撫でられながら考えてしまう。
「まっすぐ帰る?」
「うん、あのさ」
「……?」
珍しく言葉を濁す靖司さんに首を傾げると、熱い瞳でじっと見つめられた。
「ユキの部屋、行ってもいい?」
「え……」
「嫌だったらそう言って。無理強いもしないけど、俺は……ユキがすごく欲しい」
「えっと……」
それはつまり、そういうこと……? 手を取られ、ぎゅっと握られる。俺は嫌だと思っていない、……のに、交錯する思いの中に拓斗の影が交じる。
「……うん。いいよ」
その影を追い払うように靖司さんの瞳を見つめ返したら抱きしめられた。
「ごめんね、ユキ」
「なんで?」
「やっぱり無理強いしたかな、って思って」
「そんなことない」
靖司さんの手に触れ、目を閉じてそっと深呼吸をすると、瞼に柔らかいものが触れた。
「……?」
「優しいね、ユキは」
目の前に靖司さんの整った顔があり、今の柔らかい感触が唇だとわかって頬がかあっと熱くなる。瞼にキスなんて恥ずかしくて顔を伏せると頬を両手で包まれた。
「ユキ……」
顔を少し上げて見ると、柔らかい笑顔が俺に向けられている。それがゆっくり近づいてきて、瞼を下ろそうとしたら視界の端に拓斗がいた。
「え……」
幻覚かとそちらを向くと、外灯の明かりの下に本当に拓斗がいる。その隣には陽太くんもいて、こちらをじっと見ている。
「靖司さ……」
「ユキ」
「あ……」
少し強引な動きで顔を正面に戻され、唇が重なろうとしたと同時になにかが俺の身体をうしろに引っ張った。
「え……」
見ると拓斗が俺を抱き寄せていて、靖司さんから無理矢理引き離されたようだ。その行動がわからなくて拓斗を見上げると、拓斗も自分のした行動がわからないという表情で、明らかに戸惑いを見せている。
「拓斗……?」
「……悪い」
突き放すように肩から手を離され、拓斗が陽太くんのもとに戻る。呆然とした様子の陽太くんの肩を抱いた拓斗がこちらに背を向け、来た道を戻って行く二人の姿を俺は見つめる。
「ごめん、ユキ……」
「……」
「やっぱり今日はまっすぐ帰るよ」
「……」
どうしよう、靖司さんの言葉が聞こえないくらい心臓が高鳴っている。もう遠くなった背中。俺の肩はまだ先程の力強さを覚えている。
「……俺こそごめん」
「ユキ?」
「本当にごめん。別れてください」
靖司さんに深く頭を下げる。
「どうして?」
「やっぱり拓斗を忘れられない」
「それでもいいよ。ユキがいればそれでいい」
両肩に手を置かれ、顔を上げると怖いくらい真剣な表情をした靖司さんが俺をまっすぐ見ている。
「俺が、それじゃだめなんだ。どうしても……俺は拓斗が――」
ぺちん、と軽く頬を叩かれ、切ない笑顔に胸が痛くなる。
「悔しいし、腹が立つけど」
「靖司さん……」
「絶対幸せにならないと、本気で殴るから」
「それは……わからない」
だって拓斗が俺を受け入れてくれるとは思えない。もしも受け入れてくれたとしたら、それは陽太くんから奪うことになるわけで、幸せになれるなんて思わないほうがいい。
「努力して。精いっぱいで幸せになろうとして」
「靖司さん……」
「そこまで好きなら、思いきり当たって砕ける勢いで行け」
一度ぎゅっと抱きしめられ、それからとん、と肩を押された。
「だめだったときには慰めてあげるから」
「……うん」
「ありがとう、ユキ」
「お礼を言うのは俺のほうだって」
「ううん。俺はユキといられて幸せだった。たとえユキにはなんでもない時間でも、俺には宝物だよ」
「そんな……」
俺も幸せだったし、靖司さんは幸せにしてくれた。それなのに俺が求めたのは、結局拓斗。宝物だなんてそんな風に思ってもらえるほど、俺はきちんと靖司さんを幸せにできなかった。
「ほら。二人が行っちゃうから、早く」
「う、うん……」
「頑張れ、ユキ。泣いて戻ってきていいからな」
靖司さんを置いて拓斗を追いかける。一度だけ振り返ったら、泣き出しそうな顔で笑みを作ってこちらに手を振っていた。
最低で最悪だ。俺は自分勝手で、人を傷つけて、それでも拓斗が欲しい。拓斗が好きになってくれた俺ではなくなってしまったから、きっとこの気持ちは受け入れてもらえない。
「幸尚、幸尚、遊ぼう」
「たっくん、ユキでいいよ」
「ううん。幸尚は幸尚だから」
幼稚園のとき、拓斗はそう言って俺をずっと幸尚と呼んだ。俺の名前の漢字を練習して書いて見せてくれたりもした。
「じゃあ、ぼくもたくとにする」
「なんで?」
「だって、たっくんかっこいいから」
「そうかな」
「うん。すごくかっこいい」
俺が「たくと」と呼ぶと拓斗は恥ずかしそうに笑って、その笑顔がきらきらしていた。
「三組にかわいい女子がいて、好きになった」
「ふうん」
「拓斗は好きな子いないの?」
「俺は幸尚が好き」
「俺?」
「うん」
そうだ……小学生の頃にはもう拓斗は俺が好きだと言ってくれていた。そのときは拓斗の「好き」の意味がわかっていなくて、首を傾げたっけ。俺が、かわいいからと女子を好きになった軽い「好き」よりも、それはずっと深い気持ちだったに違いない。
「幸尚が好きだ」
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