キミのすべては俺のもの

すずかけあおい

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(6)残酷な優しさ ◇侑大視点◇①

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俺には春臣はるおみという幼なじみがいた。

名前の通り、俺にとっては春の優しい陽射しのような存在で春臣が存在するだけで心に光が灯った。
そばにいると心地好くて、ずっとそばにいたいと思っていた。

侑大ゆうだい

春臣に名前を呼ばれる度に心が弾んだ。
幼い頃から春臣だけが好きだった。
周りはみんな、春臣も異性を好きになる。
でも俺にはずっと春臣だけだった。

自分がゲイだとはっきり自覚したのは高校卒業後だった。
女性を恋愛対象として見る事が全くできない。
自分はおかしいのかもしれない、そう思って俺はその事を隠し、誰にも言わなかった。
大好きな春臣にも、何も言えなかった。

春臣とは小中高と同じ学校に進んだけれど、大学は別々になってしまった。
同じ大学を受験したけれど、春臣が落ちて俺だけが受かったから。
春臣は滑り止めで受けた別の大学に通う事になり、俺は春臣と一緒だからという理由で選んだ大学でひとり、どう過ごせばいいのかわからなくて辛かった。

でもそんな時にも春臣は俺を励ましてくれた。
学校が違っても幼なじみの繋がりは切れずにいたのが嬉しかった。

「俺、春臣が好き」

大学卒業の時に気持ちを封じ込めていた心の箱から想いが溢れて我慢できず、本人に告げた。
春臣の表情がすっと冷めたのがわかった。

「何それ、気持ちわりい。俺の事そんな目で見てたの?」

返ってきたのは拒絶だった。

そのまま春臣は俺から離れて行った。

俺は春臣の影から逃げるようにひとり暮らしを始めて、大学時代からバイトをしていたの社員になった。
バイトでずっと一緒だった同い年の安藤あんどうも同じ時期に社員になったのもあり、距離が近くなった。
安藤が俺を『マユ』と呼ぶと心がほっとして、心のしこりが溶けていくようだった。

でも俺の恋愛対象が男だという事は黙っていた。
せっかく仲良くなれたのに、また去って行かれるかもしれないから。
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