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(6)残酷な優しさ ◇侑大視点◇②
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◇◆◇
「マユ?」
「え…、安藤?」
いつも行くバーのクリスマスパーティに行くとそこに安藤がいた。
そこはゲイバーのママが二号店として経営している、ノンケも女性もゲイかバイの男と一緒に来ればOKというバーだから安藤がいたからって別におかしくないのだけれど、パーティに招待されたのはほとんどがゲイかバイの常連客だと聞いている。
そうじゃなくても安藤はゲイかバイの知り合いがいるという事だ。
「マユも招待された?」
「安藤も…? え、安藤ってゲイなの?」
口に出してから失敗したと思った。
でも安藤は全く気にした様子ではない。
「ん? 俺、バイなんだ。言ってなかったけど」
「そ、か…」
突然緊張し始める。
身近に男を恋愛対象として見る男がいたなんて気がつかなかったから。
いや、安藤は自分がバイだと言っただけで、俺を好きだと言ったわけじゃないんだからそんなに緊張する事はない。
でも、安藤なら俺が好きになっても『気持ち悪い』という理由で拒絶しないだろうと考えたらどきどきした。
安藤とふたりきりになるなんてよくある事なのに。
「マユはゲイなの?」
「そう。俺も言ってなくてごめん」
「なんで謝るの? 別に言わなきゃいけない事じゃないし。隠したかったら隠していいよ。俺だって言ってなかったし」
「あ、そか」
「そーだよ」
無邪気に笑う笑顔が優しい。
仕事抜きの安藤はこんな風に笑うのか。
ずっと見ていたいなと思ったらまたどきどきした。
それから何か特別な話をしたってわけじゃないけど、仕事を完全に抜きでプライベートの他愛ない話をずっとした。
でもその全てが特別に感じるほどの居心地の良さだった。
俺は、この人かもしれない、と思った。
何が“この人”なのかはわからないし、何をどう説明したらいいのかもわからないけれど、俺の欠けた部分にぴったりはまった気がして心臓が高鳴る。
安藤と一緒にいたいな、と思った。
安藤と付き合いたい、と。
◇◆◇
安藤と話し続けているうちに気がついたら始発の時間になり、仕事もあるので安藤とふたりでバーを出た。
冷たい手を握り合って駅まで歩く。
どきどきを通り越して安心感に包まれる。
「マユ、俺と付き合わない?」
とても自然に安藤は俺に言った。
「俺も安藤と付き合いたいって思った」
迷う事なく答える。
それがとても自然な形に感じたから。
握り合った手にぎゅっと力がこもって、心を返すように握り返した。
駅についても手を離したくなくて離れたくなくて、いつまでも改札に向かえない。
安藤も同じ様子だった。
でも仕事に支障が出るとよくない。
「安藤、今日早番だし…そろそろ」
「ん」
そっと手を離すと外気が急に冷たく感じた。
じっと安藤を見つめると、その視線に気づいたのか安藤も俺を見つめる。
どちらからというわけでもなくゆっくり唇が重なった。
安藤とずっと一緒にいたい、そう思った。
付き合い始めてからすぐに一緒に暮らし始めた。
安藤…要が隣にいるのが俺の当たり前になっていく。
春臣の影やしこりが消えていくのを感じた。
しばらくしてナミが加わり、更に生活が賑やかになった。
「マユ?」
「え…、安藤?」
いつも行くバーのクリスマスパーティに行くとそこに安藤がいた。
そこはゲイバーのママが二号店として経営している、ノンケも女性もゲイかバイの男と一緒に来ればOKというバーだから安藤がいたからって別におかしくないのだけれど、パーティに招待されたのはほとんどがゲイかバイの常連客だと聞いている。
そうじゃなくても安藤はゲイかバイの知り合いがいるという事だ。
「マユも招待された?」
「安藤も…? え、安藤ってゲイなの?」
口に出してから失敗したと思った。
でも安藤は全く気にした様子ではない。
「ん? 俺、バイなんだ。言ってなかったけど」
「そ、か…」
突然緊張し始める。
身近に男を恋愛対象として見る男がいたなんて気がつかなかったから。
いや、安藤は自分がバイだと言っただけで、俺を好きだと言ったわけじゃないんだからそんなに緊張する事はない。
でも、安藤なら俺が好きになっても『気持ち悪い』という理由で拒絶しないだろうと考えたらどきどきした。
安藤とふたりきりになるなんてよくある事なのに。
「マユはゲイなの?」
「そう。俺も言ってなくてごめん」
「なんで謝るの? 別に言わなきゃいけない事じゃないし。隠したかったら隠していいよ。俺だって言ってなかったし」
「あ、そか」
「そーだよ」
無邪気に笑う笑顔が優しい。
仕事抜きの安藤はこんな風に笑うのか。
ずっと見ていたいなと思ったらまたどきどきした。
それから何か特別な話をしたってわけじゃないけど、仕事を完全に抜きでプライベートの他愛ない話をずっとした。
でもその全てが特別に感じるほどの居心地の良さだった。
俺は、この人かもしれない、と思った。
何が“この人”なのかはわからないし、何をどう説明したらいいのかもわからないけれど、俺の欠けた部分にぴったりはまった気がして心臓が高鳴る。
安藤と一緒にいたいな、と思った。
安藤と付き合いたい、と。
◇◆◇
安藤と話し続けているうちに気がついたら始発の時間になり、仕事もあるので安藤とふたりでバーを出た。
冷たい手を握り合って駅まで歩く。
どきどきを通り越して安心感に包まれる。
「マユ、俺と付き合わない?」
とても自然に安藤は俺に言った。
「俺も安藤と付き合いたいって思った」
迷う事なく答える。
それがとても自然な形に感じたから。
握り合った手にぎゅっと力がこもって、心を返すように握り返した。
駅についても手を離したくなくて離れたくなくて、いつまでも改札に向かえない。
安藤も同じ様子だった。
でも仕事に支障が出るとよくない。
「安藤、今日早番だし…そろそろ」
「ん」
そっと手を離すと外気が急に冷たく感じた。
じっと安藤を見つめると、その視線に気づいたのか安藤も俺を見つめる。
どちらからというわけでもなくゆっくり唇が重なった。
安藤とずっと一緒にいたい、そう思った。
付き合い始めてからすぐに一緒に暮らし始めた。
安藤…要が隣にいるのが俺の当たり前になっていく。
春臣の影やしこりが消えていくのを感じた。
しばらくしてナミが加わり、更に生活が賑やかになった。
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