囲いの中で

すずかけあおい

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ふたりで

ふたりで⑤

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衛介の呼吸が耳に響く。
身体が熱い。

「尚紀…」
「うん…」
「俺のものになれ」
「……うん」

じっと顔を見られた後、鼻をつままれた。

「…これ、どういう意味?」
「『馬鹿』って意味だ」
「俺、衛介のものになるのに?」

ぱっと手が離される。

「ほんとに意味わかってるのか」
「わかってる」
「じゃあ、どういう意味か言ってみろ」
「衛介も俺のものになるってことでしょ?」

そういう意味じゃないの?
そうじゃないなら悲しい。

「あながち間違ってない」
「つまり?」
「…もう、俺の囲いで生きなくていい」

心臓が凍ったかと思った。
呼吸も止まる。

「…えい、すけ…」
「尚紀?」
「やだ…嫌だ…」

涙がぼろぼろ落ちていく。
伝っていく涙を衛介が指で拭ってくれるけれど、追いつかない。

「これからは一緒に、ふたりで考えていこう」

また息が止まった。
それは、どういうこと?
唇が重なる。

「俺は、衛介だけのものじゃなくなるの?」
「違う」
「じゃあなに?」
「尚紀のことをふたりで考えて、俺のことをふたりで考えるんだ」
「…? 意味がわからない」

俺のことや衛介のことをふたりで…?

「大丈夫。わかるようにしてやるから」
「細かく砕いて説明してね」
「そうじゃない」

優しい微笑み。
そうじゃないって言う割には嬉しそうだ。

「実践で教えてく」
「お手柔らかにお願いします」
「そんなことしてたら一生が終わる」

そんなに難しいの?
厳しくされるのは苦手だな。

「心配するな」
「優しくしてね?」
「それは約束できない」

ええ…。

「……ごめんな、尚紀」
「なにが?」
「友達、欲しかっただろ」
「ううん? 衛介がいればそれでよかったよ」

ぎゅっと抱き締められて、俺も抱き締め返す。
肌が触れ合うと気持ちいい。

「…そういう尚紀にしたのは、俺だ」
「そうだね」
「だから、一生かけて責任をとる」

切ない表情。
胸が苦しい。

「そんな顔、しないで」

キスをすると、衛介が微笑んでくれた。
やっぱり衛介はこうやって優しい顔をしているのがいい。

「大丈夫。俺、衛介が好きだよ」
「俺も尚紀が好きだ…苦しいくらい、好きだ」

好き。
それでいい。
それがいい。
そうじゃないと嫌だ。

「……衛介、もっと強く抱き締めて」

衛介が望むこと。
俺。
俺が望むこと。
衛介。

衛介の腕の中でそっと瞼を下ろした。
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