《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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一章 契約と回帰

三十六話

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ソラは二階層へ降りると、まず地面に残る足跡を確認した。
しかし一階層とは違い、ここまで来ているパーティはまだ少ない。足跡はまばらで、どれが安全なルートか判断するのは難しくなっていた。

「前みたいに安全な道は選べないかな……」

ソラが呟くと、ファラが「だいじょーぶ!ファラたち、もう慣れてきたでーす!」と無邪気に笑い、他の3人も釣られてクスリと笑う。

だが、その直後だった。

――ぬるり。

薄青いゼリーのような物体がソラ達の前に転がり出る。
スライムだ。それも二匹。

(来た……!)

全員に緊張が走る。パーティでの魔物との戦闘は初めてだ。パーティ全員が一瞬硬直する。
ソラは胸の鼓動を押さえながら、ほんの一瞬で状況を整理し仲間に指示を飛ばした。

「ファラは俺と一体を!もう一体はボッケ!倒す必要はない、注意を引くだけでいい!
リンとマルコは周りの警戒と援護をお願い!」

返事が揃う。
ソラとファラは同時に駆け出した。

「いっくでーす!」
ファラが手裏剣を放つ。鋭い銀色の軌道を描いてスライムに突き刺さったが、弱点であるコアまでは届かない。

スライムがファラに意識を向けたその瞬間――

「任せろ!」

ソラが間合いを詰め、勢いのある踏み込みから鉄剣を振り下ろした。振動を吸収するゼリーの身体を押し潰すように、剣がコアへ届く。

――パリン。

透明な破片が飛び散り、スライムは形を失った。
ソラは息を整えつつ、即座にボッケの方を確認する。

見ると、ボッケは盾を大きく振りかぶってスライムを叩きつけて動きを止め――
「はぁッ!」
その隙に力任せの突きを叩き込む。

こちらもコアを破壊し、スライムが崩れ落ちる。

「周囲に他の魔物はいません…!」リンの報告に、マルコも「こっちもクリアだね!」と続く。

一瞬、静寂が訪れた。
そして――

「よっしゃあああ!!」
「やったぁぁぁ!!」

全員が自然と笑い、ハイタッチを交わした。
初めてのパーティ戦闘を無事勝ち抜いた喜びが全身から溢れ出す。

「ボッケすげぇ……一人で倒し切ったのか」
「なに、そこまでじゃない」
と、ボッケは照れながら鼻をこすった。

逆にボッケとリン、マルコ、ファラはソラに向き直る。

「ソラの指示、助かったでーす!」
「的確でした…!動きやすかったです」
「ソラ君の判断力、まさに名君主のような采配だったよ!」

ソラは耳まで赤くなりながら「は、恥ずかしいからやめてよ……」と笑った。

だが最後にボッケが、少しだけ表情を引き締めて言う。

「でも、まだダンジョンの中だ。気を抜かずにいくぞ」
全員が真剣に頷き、再び歩き始めた。

その後、二階層ではスライムに二度遭遇したが、一匹ずつだったため最初の戦闘よりも余裕をもって勝てた。
仲間としての呼吸も少しずつ合い始め、会話も自然と増えていた。

「スライムの動きは単調でわかりやすいな」
「ま、まだ緊張はしますけど……慣れてきました……」
「ファラもスキルを使って戦いたいでーす!」

そんなふうに笑い合いながら、一時間ほど歩き回ると――

ぽっかりと開いた大きな穴の前に辿り着いた。
そこは、三階層へ降りる階段だった。

「見つけたな!」
ボッケが喜びの声を上げる。

みんなの額には汗がうっすら滲んでいたが、誰一人として弱音を吐かなかった。

「行こう!ここまでも順調にこれたんだ。きっと大丈夫だよ」

リンの言葉に皆頷いて次の階層へと進む事を決め、ソラ達は3階層に足を踏み入れた。

三階層へと足を踏み入れた瞬間、ソラ以外の四人は思わず息を飲んだ。

洞窟のようだった一・二階層とは打って変わり、眼前には一面の草原が広がっていた。天井は見えない。代わりに本物さながらの青空が、どこまでも広く続いている。

「すごい……」
リンが呆然と呟き、瞳を輝かせる。
「うわぁ……ここ、ホントにダンジョンの中ですか……?」
ファラも同じくぼんやりと空を仰ぎながら、草をむにむにと踏んで感触を確かめていた。

ダンジョンの特殊構造――内部に別世界のような環境が広がることがあるのは座学で学んでいても、実際に目の当たりにするとやはり迫力が違った。

そんな四人の間で、唯一ソラだけは落ち着いていた。
前の人生で何百回も同じような光景を見てきたからだ。

「みんな、ここで一度休憩しない?」
三階層へ降りてすぐ、ソラは提案した。

「……は? 休憩? ここで?」
ボッケが眉をひそめる。

ソラは周囲を見渡しながら続けた。
「だいぶ歩いたし、二階層では戦闘もあった。みんな疲れてるはずだ。それに……」

風が吹く。草が波のように揺れた。

「ここは見通しがいい。敵が近づいてきてもすぐ気づける。安全に休むなら、今が一番いいと思う」

その言葉に四人は互いの顔を見合わせた。気持ちは前へ進みたい。しかし自分の身体はすでに汗ばんでいる。心も緊張で張りつめたままだ。

「……たしかに、ちょっと休みたいかも」
リンがぽつりと言い、それを合図に全員がうなずいた。

「よし、じゃあ休憩しよう」

ソラはアイテムボックスから大きめのレジャーシートを引き出し、手際よく地面に広げた。さらに水筒とタオルを人数分取り出し、それぞれに手渡す。

「ソラの持つアイテムボックスはやはりダンジョンで必要なスキルだな」
「ソラ君もアイテムボックスも大活躍だね!」

ボッケとマルコが感心して声をあげる。

みんなはそれぞれタオルで汗をぬぐい、水筒の水を飲んだ。冷たい水が喉に流れ込み、じんわりと身体に広がっていく。

「あー……生き返る……」
ボッケがごくりと飲んで空を見上げた。
普段ぶっきらぼうな彼ですら、思わず緩んだ顔を見せてしまうほど気持ちよかった。

しばらくして――

「ソラ君、私のカバン出して欲しいです」
リンがそっと声をかけてきた。

「あ、うん」
ソラはアイテムボックスに手を入れ、すぐにリンのカバンを取り出した。

リンはその中から、丁寧に包んだお弁当を取り出し、恥ずかしそうに微笑む。
「みなさん……よければ、食べてください」

「リンの手作りですか!?」
「リン君の作る料理はさぞうまいに決まっている!」
ファラとマルコが即座に食いつく。

配られたお弁当をひと口食べた瞬間、全員の顔が輝いた。

「……やっぱりうまい!!」
「……!!」
「リン君……君は天使か……?」
「リンの料理は、魂のオアシスですっ!」

ボッケまで無表情のまま何度も頷きながらかき込んでいる。

リンは頬をほんのり赤く染め、「よかった……」と小さく呟き、嬉しそうに笑った。

草原に穏やかな風が吹く。陽光は優しく、疲れた体を包み込んだ。

何組かのパーティが前を通り過ぎていったが、ソラ達は焦らなかった。
先を急ぐより、確かな一歩を積み重ねること。それがこの実習で一番大事なことだとソラは知っていた。

ゆっくりとした時間が流れ、気付けば一時間が経っていた。

ソラは立ち上がり、みんなを見る。
「そろそろ行こうか。次の階層を探そう」

「おう!」
「うん! 行こう!」
「ファラも元気全開ですよー!」
「僕も準備万端だ!」

全員が元気よく返事をし、レジャーシートを片づけアイテムボックスに仕舞い歩き出す。

広い草原を見渡し十分ほどで次の階層へとつながる階段を見つけた。

「行くよ、みんな」
「もちろんだ!」

こうしてソラ達五人は、いよいよ四階層へと足を踏み入れた。
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