5 / 12
運営会社の対応
しおりを挟む俺が運営に電話を掛けると、コールから数秒後に女性の声が聞こえて来た。
最初は落ち着いた対応だったが、俺が要件を伝えると、いきなり慌てだした。
『責任者に電話をお繋ぎ致します!しょ、少々お待ち下さい!』
慌て方を見る限り、やっぱりヤバい案件っぽいな……俺は責任者に繋がれるまで大人しく待つ事にした。
──そして数分後…
待たせるにしては長過ぎる時間が経過した後で、ようやく責任者らしき人物が出る。
「あ~お電話変わりました、大原と申します」
やや気怠そうな声だが、それでいて緊張感が漂ってくるような…?
俺は掻い摘んで事情を説明した。
何処にも載っていないキャラを召喚してしまった事、しかもやたらキャラが強すぎる事。
大原さんはうんうんと話を聞いている様だったが、やはり何処か辛そうに感じる。
もうほんとにヤバい案件に巻き込まれてるな、これ。
そして、俺が状況説明を終えたあと、大原さんは徐にこんな事を提案した。
「あの……無理だとは思いますけど……そのキャラ、回収してもよろしいでしょうか?もちろん、タダでとは言いません!お詫びはさせていただきますので、どうか!」
電話越しからでも頭を下げているのが分かる。
──そして俺の選択は決まって居た。
「もちろん良いですよ」
「やっぱりダメですよね……最強キャラですもんね……って!いまオッケー言いましたか!?」
騒がしい人だな……
俺としては、ヤバい事に巻き込まれたく無いし……何より、こんなチートキャラ引いたら、俺が楽しみにしていた高難易度としてのゲームを楽しめなくなる。
むしろ、補填までしてくれて回収してくれるなら実に有り難い。
「実は僕って、高難易度だからこのゲームを始めたんですよね。なので、彼女の様なチートキャラを引いたら、高難易度としてこのゲームを楽しめなくなってしまうんですよ」
大原さんも大人しく俺の話を聞いてくれている。俺はこのまま続けて言った。
「なので、回収して貰えるなら逆に嬉しいですね……あ、代わりにもう一回引かせて下さいね?」
すると、大原さんはそれはそれは安心した様に深い息を溢す。
「ありがとう~…彼女を引いたのが貴方で良かったわ~…ぐすんっ」
「えぇ…泣いてんすか?」
回収できて泣くほど嬉しいならどうしてこんなキャラを作ったとか、いろいろ聴きたい事もあったけど面倒くさいし、聞かなくていいか。
──という訳で、名前が自由に決められるゲームの筈なのに、最初からフェイルノートなんて大それた名前が決まっているチート少女。
彼女の処遇が決まり、向こうで回収処理を行なっている時だった。
電話越しの大原さんが慌ただしくなる。
「あ、あれ?おかしいな?……えいっ!……あれ?回収出来ないんだけど?」
「回収出来ないってどういうことですか?」
俺は意味不明な言葉に疑問を投げ掛ける。
すると、大原さんは動揺しながら、逆に疑問を投げ掛けて来た。
「あ、あの~……碇様。何か妨害されてます?」
「そんな訳無いでしょ……早く回収して新しいキャラ引きたいんですけど」
それを聞いて大原さんはますます慌て出す。
「それが、回収出来ないんですよ!」
「……ウソでしょ?」
大原さんはこの後も、いろいろ試してる様だが、何の成果も無いようだ。
俺もいろいろ端末を弄ってはいるが、プロの大原さんでダメなら素人の俺でどうこう出来る筈もない……
……俺と大原さんがどうしたもんかと途方にくれていると、椅子に座ってジッとコチラの様子を伺っていたフェイルノートが、立ち上がり此方へと歩いて来た。
何事かと思い、俺は彼女の方に視線を向ける。
そして俺まで十分に近付いて来た彼女は、俺と電話の向こうに居る大原さんに対してこう言った。
「さっきから回収を試みているようじゃが……全て無効化しておるぞ?」
「「………ん?」」
俺と大原さんは同時に唖然とした声を発してしまった。
今この子、何て言ったんだ?
そして、俺が言葉を掛けるよりも早く、電話越しの大原さんがフェイルノートに対して疑問の声を掛ける。
「フェイルノートちゃん!?い、今のはどういう意味かしら……?」
「うむ、妾は既に、この冬彦を主と認めておる。故にお前に回収されるつもりは無いぞ?」
「え?そ、そんな事出来る訳無いでしょ…?」
「…?いや?妾にはできるぞ?」
何だって…?
俺も……そして恐らく電話越しの大原さんも開いた口が塞がらない。
二人して唖然とフェイルノートの言葉を聞いていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる