ワールド・オブ・オンライン 〜ガチャで引いたチート少女……現実世界にまで来ないでくれる?〜

リョウタ

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「つまりどういう事なのですか…?」

大原さんがフェイルノートに問い掛けている。

なんでプログラム相手に敬語なんだ?と言いたいとこだけど、これだけ得体が知れない相手だと敬語にもなると言うものだろう。
……いや、じゃなくて、貴方が造ったんでしょ?

そして俺と大原さんの疑問に答えるように、フェイルノートは口を開いた。

「うむ…大原。お主は妾にいろいろなプログラムを組み込み過ぎだわ……お陰でインプットされていない自我というモノを宿してしまったのじゃ」

「え?意味が解らないんですけど?説明雑過ぎません?詳しく教えてくれます?」

俺もそう思う。自我が生まれるまでの過程を知りたい。

この疑問に対して彼女は──

「さぁ?」

と一言で済ませるのだった。
あ、大原さん少しイラついてんな。

それにプログラムに自我?
一応、最近のAIやNPCは人間の思考なみに賢い筈だが、所詮はプログラムに過ぎない。
生物の様に自ら考えて行動するなんて事は出来ない筈だ。

こいつは違うって言うのか…?

「つまりどうゆう事?」

堪らず俺から質問する。
俺の問いに対しては、大原さんの時とは違い『う~ん』と唸りながら真剣に考える。その上でこう答えた。

「分かり易く言うなら……そうじゃのう……妾はいま、ワールド・オブ・オンラインのゲーム内には居るが、このゲームのシステムとは全く別の存在なのじゃ。極端な話じゃが、立場的にはプレイヤーに近いぞ?」

「え?じゃあフェイルノートちゃん、完全にシステムとして独立しちゃったって訳?!」

「妾は主人と話したいのじゃが……まぁ良い。妾はこのゲームのシステム外なんじゃ。だから妾に干渉出来んじゃろう?──もっとも、このゲームが無くなれば、家が無くなって少々面倒な事になるんじゃがの」

「貴女は私が造った筈よね!?なんで私が干渉出来なくなってんの!?」

「むっふっふ…!身の丈を大きく超えたモノを造るのは、人間の得意分野では無いかのう?」

「うぐっ…!なんて的を得た鋭い言葉…!」

なんかヤバい会話してんな、この二人。人間がどうとか……哲学かな?
俺はゲームに詳しいってだけで、こういったシステムとかに詳しく無いぞ…

そして俺をほっぽらかして二人は会話を続けて行く。


──10分後~

「──という訳じゃ……悪いのう、大原。其方の帰還命令には従えん」

「さ、さいですか…」

電話越しでも、大原さんが大きく項垂れているのが分かる。どんな会話をしたのか後で聞いてみるとするか。

通話は終わった様で、フェイルノートは受話器から耳を離し、俺の方に視線を向けてニッコリと微笑む。
見た目はほんと可愛い……けど性能がな……

そして、俺を見つめていたフェイルノートは、俺に対してこんな事を言いやがる。

「──ああ、それと例え主人様でも、妾を棄てる様な命令を下せばそれには従わぬでのう」

「さ、さいですか…」

俺は大原さんと同じ様に肩を落とし、大きく項垂れた。
というか開口一番がそれか!……何て我儘な奴だ。


俺はフェイルノートから電話を受け取り、一旦、彼女の側を離れて大原さんと二人で話をする。

「なんてもん作ってんすか…!」

「まぁ……宜しく頼む……」

この大人ぁ……何が宜しく頼むだよ!

「話が違うじゃないですか!必ず回収するって言いましたよね!?NSNに晒してますよ!?」

「……うわ~んっ!ごべんなざい~…!だっで、どれだけ言っても言うこと聞いてくれなぐで…!」

えぇ……何でオレ大人の女性にガチ泣きされてんの?泣きたいの俺なのに?

「判りましたから!お、落ち着いて下さい…」

それを聞いて大原さんはゆっくりと泣き止むと、恐る恐る訪ねて来た。

「………NSNに晒さない?」

「……はい」

それを聞いた彼女は途端に明るくなる。現金な人だな……大人ってほんと汚い。


「それで?どういう話になったんですか?」

「それが、フェイルノートちゃん、一度召喚したのが碇様なので、もう生きるも死ぬも主人次第じゃ、とか言って聞く耳持たなくて……」

「それにしては、さっき棄てるって言っても、それには従わないとか言ってましたよ?」

「えぇ……我儘過ぎる……」

「本当にね」

彼女は一度だけ気を紛らわす為の咳払いをする。そして話を続けた。

「それにね?システムとして独立したのなら、過ごし易い電脳空間を作成するから、そこで暮らさない?……って提案もしたのよ」

彼女は大きく息を吐いた。
俺もここで話が途切れてしまったので、何かやばい事を言ってくんじゃないかと思い、続きを聞くのが怖くなる。
でも自分の事だから聞かなくてはならない。

「そしたら我儘姫は何と?」

「我未来、主人と共にあり……………だそうです」

「お、おぉぉう……」

なんて忠誠心……そしてめっちゃ迷惑。
それに、何でもかんでも俺の名前を出せば良いとおもってないか?あの吸血鬼…

俺が視線を向けると、フェイルノートは嬉しそうに手を振って来る。
いや、めっちゃ可愛いけど。性能が。

「碇様。大変申し訳ないのですが、しばらく様子見という形で対応願えないでしょうか…?もちろん、補填はしっかりしますし、彼女がもしゲーム内で問題を起こしても全て不問にして揉み消しますので、どうか!」

……よほど切羽詰まっているのだろう、恐ろし程に誠意が伝わって来る。
ここまでされたら引き取らずおえない。まぁそのうち絶対回収してもらうけど。

俺が解りましたと了承すると、大原さんは心底安心した様なリアクションを見せた。


──そして、俺は見逃さなかった……
大原さんが『ゲーム内で問題を起こしても全て不問にして揉み消す』
この言葉を聞いたフェイルノートがニヤリと笑った表情を。

そして同時に悟った──


───ああ、コイツなんかやらかすな、と。



──ふぅ~……大原さんとの通話を終えた俺は、溜息を吐きながらフェイルノートの下へと戻る。さっきから俺も大原さんも溜息ばっかだな。

歩み寄る俺を見てフェイルノートは嬉しそうにこう言った。

「話はもう良いかのう?では行くぞっ!冒険の始まりじゃ!……実は楽しみにしておるのじゃ、くふふっ」

え?めっちゃ仕切って来る……何なのコイツ?俺に引き当てられた程度の分際で…。
俺は無性に腹が立ってフェイルノートを睨み付けるが、彼女は顔に『?』を浮かべる。
ウザカワかよ…

ていうか、フェイルノートって名前、中二っぽくって嫌なんだが…?

「フェイルノートって名前、変更出来る?名前は自分で考えたい派なんだけど」

「無理なのじゃ。というか名前に文句を付けるなんてマナー悪いぞ?」

「マナー以前に、これは名前をプレイヤーが付けるゲームだからね!?」

「だから妾はこのゲームとは無関係言っておろうに…」

ロリっ子はやれやれと首を振りながらこんな事を言い出した。

「………」

やべぇ…怒りで血管切れそう。
──いかんいかん、呑まれるな。

そうだ!ここは心を鬼にして言っておかなければ駄目な事がある。そう!どうしてもハッキリさせなくてはイケナイ事だ!

「これだけは言っておくけど、主人は俺だからな!勝手すんなよな!」

俺は怒った感じで言ってやった。
この言葉に対してフェイルノートは胸を張り、堂々とこんな事を言った。

「お断りなのじゃ」


……えぇ…なんなんコイツ…。




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