普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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1章 五人の勇者

傷だらけの勇者

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~橘雄星視点~

僕は今とても嫌な気分でいる。
何故ならこの世でもっとも嫌いな奴と、なんとこの世界でも一緒になってしまったんだ!!


そいつの名前は松本孝志。
顔はそこそこで、運動神経もまぁまぁでありふれた普通の男だ。

だが僕にはただ一つ、どうして許せない事がある。
それはテストだ…!在ろう事かこの男、毎回テストの順位が僕とたった一つ違いなのだ…!もう狙っているとしか思えない。
俺は一日でも早く、奴より上の順位になりたいと言うのに……クソッ!!
僕の唯一の欠点である頭脳がちょっぴりだけ平凡なところと張り合ってくるのだっ!

しかも僕は今まで幾度も奴と競い合ってきて、一度しか奴を上回ったことがない。
その時だって風邪で休んだ時だった……!あんなのはノーカンだっ!実力で勝てなければ意味がないっ!

そしてついさっき、更に許せない事があった……それは穂花についてだ。

優しい穂花は一人で孤独に嘆いてる哀れな松本孝志に声を掛けてやっていたのだ。
そんなヤツに構う必要は無いぞ穂花ッ!どのみち俺が後で何か言うつもりだからねっ!
あまり長く話をしても勘違いしそうだったので二人を引き剥がした。

そうそう、その時にわざと名前を山本と呼んでやったぜ。
僕に名前を覚えて貰えていない事をさぞ悔しがるかと思ったがヤツはそのまま山本で通しやがった!!
逆にしてやられた気分だ……松本で合ってるよな?俺が奴の名前を間違える訳ないんだが……?

このやり取りだけでもムカつくのに、この愚か野郎は既に勘違いしてしまったらしく、穂花の事をなんと穂花と呼び捨てで呼んでいた。
少しは出来るヤツかと思ったがやはりとんでもない愚か者だったようだ。

別れ際に誤って彼の事を松本と呼んでしまい、僕とあろうものが珍しく動揺するが、奴はそんな僕を無視してどこかへ行ってしまった。
ほんとにどこまでもムカつく奴だな。まだ言ってやりたいことが山ほど有ると言うのに……!!


───────────


そして穂花を救出した僕たちは松本から離れたところでアリアンに向き合っていた。

何やらステータスとスキルの詳細を説明していたが、そんなことは正直どうでも良い。
僕は彼女を喜ばせるため彼女に手を差し出した。


「昨日僕の事は覚えて貰えたけど、僕にも君の事を覚えさせてね。改めてよろしく、アリアン」

「………」


照れた彼女は躊躇い、いつまでも手を差し出してこない。
僕はそんな彼女に気を使い、自分から彼女の手を握ってあげた。

彼女はあまりの事に唖然としていたが、安心して欲しい、僕はよっぽど綺麗な子が相手じゃないとこんな事はしない……君が特別なんだ。

更に僕は敬愛の意味も込めて彼女の手の甲へ口付けをしてあげた。


彼女はあまりに嬉しかったのだろう。
キスをした直後は微動だにしなかったのだが、少し時間が立つと薄っすらと笑みを浮かべ始めた。

とりあえずこの子は僕のハーレム決定な。



「では訓練を始めるまず橘雄星からだ、前に出ろ、武器は剣だ、私も剣だ、位置につけ」

彼女はまくし立てる様に早口でそう言った。


ハハ、まるで動揺が隠せてないや!
由梨も美咲もむくれた顔で僕を見ないでくれよ。
穂花に至っては僕から目を逸らす始末だ。
そんなに他の女の子と仲良くしてる僕は見たく無いのかい?

でも慣れて貰わなくては困るよ?これからどんどん増えていくんだからさ。


「じゃあ行くよアリアnーー」

ビュンッ!ボガッ!


「うぇぁぶっ!!」

戦闘訓練開始合図と共にアリアンは目にも止まらぬ速さで突っ込んできた、そして……あろうことか彼女は僕の顔面目掛けて木刀を強く叩きつけたのだっ!


「が…ぁぁ……ぶっ……」

痛い痛い痛すぎる!鼻血がいっぱい出てくるっ…!


「お、お前……ふ、ふざぇ…フザげるな……何してぐれでるんだ、僕の顔にぃっ!」

「安心しろ、死にさえしなければ傷は直ぐに癒える。精神的なダメージはそのままだがな!!」

今度は右腕に思いっきり打ち付けてくる。


「ぐぎぃっ!」

「この腕か!この腕か?!ええ?!さっき私の腕を掴んだのはこの右腕だな!!」

そして何度も何度も同じ場所を執拗に狙って攻撃してくる。

死ぬほど痛いっ!
一撃目で確実に骨が折れているだろう、その上で更に今度も骨折箇所を狙ってくる!し、死んでしまう!


「「雄星!!」」

初めはあまりの出来事に動けずにいた由梨と美咲だったがやっと状況を理解したのか、雄星を庇う様にアリアンに立ちはだかる。


「はっ!お前たち如きが障害になる訳はないだろう!」

アリアンは二人の間を簡単に抜けて僕へ攻撃を続ける。


「ちょ、ちょっと!あんた意味分かんないんだけど!」

「い、いやぁ!ゆ、雄星!!」

「ハハハハハ!傷は治ると言っているだろう!!」

アリアンの笑い声がこだまし、幾度となく攻撃を喰らい続けた雄星はいつのまにか気を失っていた。


─────────


目が覚めると見知らぬ天井が目に入った。
どうやらあのまま気絶してしまったらしい。

「「雄星!」」

由梨と美咲が同時に声を掛ける。どうやら二人とも心配でずっと付き添ってくれていた様だった。
穂花が居ないのが気になったが、僕が傷ついたことで穂花も心に傷を負って立ち直れないのかしれない。
ただでさえ松本に酷い目に遭わされていたんだっ!
……可哀想に。


しかし本当に傷は残って居ないみたいだった。
痛みもほとんど残っていない。本当に良かった……


──だからといってあの女がやった事は許せる事ではない!


「なんだあのふざけた女はっ!」

思わず声に出して悪態をついてしまっていた。

僕に対してこんな仕打ちをしてくる女がいるなんて!
あっちの世界だったら回復できずに下手したら死んでるところだぞ!

由梨と美咲も「そうだ」と言って首を縦に振った。


もうあんな女要らない!
あんな頭のおかしい女には絶対に二度と近づかない。

僕はそう心に誓った。


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