普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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5章 明かされる真実と『狂』の襲撃者

タカシキラー

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俺は城の中に足を踏み入れた。
入城直前、アルマスからバカにされて心に深い傷を負うものの、鋼の意思で何とか立ち直ることが出来た。

……俺も成長したもんだ………ふっ。


『──孝志、ちょっと良い?』

「ぬほぉうっっ!?」

突如鳴り響いた脳内音声に、俺は仰け反りながらマヌケな声を上げてしまう。
これはテレサだな、良い加減慣れないと……前言撤回、俺って成長してないわ。

そして、体をくねりながら奇声を上げる俺を、アルマスは怪訝な表情で見つめてくる。

そして一言

「…………おもしろーい」

と拍手しながら感情の無い声で言う。


「別に笑わせるつもりで言ってないからな?……そんな気を遣って笑いました、的な笑いは止めて!」

俺は強く詰め寄るが、アルマスは優しい表情で諭してくる。

「……大丈夫。たとえ世界が敵になっても、私は貴方の味方ですからね…?」

……ここでちゃんと訳を話して弁明しなくては、頭がおかしくなったと思われそうだな。


「違うんだよ、ほら、今俺ストーカー被害にあってるって言ったじゃん?その子が直接脳内に語り掛ける能力が有って、それでいま急に話掛けられたからビックリして声を上げただけで、だから俺がおかしくなった訳では無くて、なんというか──」

冷静に言い訳をしている最中、アルマスは答弁を遮る様に俺の肩に手を置いてきた。

「……マスター……そんな必死こいて言い訳しないでも何となく事情は察してました……だから落ち着いて、ね?」

必死こいてだと?
……いや、確かに冷静ではなかったかも知れない。
俺は息を吐いて気を落ち着かせた。


「ふぅ~……なんか恥ずかしいところ見せちゃったな」

「ほんとにね」

「……そんな事ないですよ、って言って」

「甘えるな」

「ぐっ…!厳しい…!」


って、そんな場合じゃなかった!

テレサを放置したままなのを思い出し、アルマスに背を向けて念話に返事を返す。

「ごめんテレサ、ちょっとヤバい奴に絡まれて……それでどうした?」

背後でアルマスから刺す様な視線を感じるが、気にしない事にする。
まぁヤバい奴なのは事実だし?嘘は言ってねーよ。

『全部聴いてたんだけどなぁ……それにストーカー被害って……そんな言い方しなくてもいいじゃんか……むぅ~~』


……まさか全部聴かれてるとは。
いや、念話繋がってたんだから聴かれて当然か。
テレサがムクれた様に話すので、俺は素直に謝る事にした。
彼女には出来るだけ誠実に対応したい……冗談も真に受けちゃうしね。


「テレサ……言い方が悪かったです。ストーカーを提案したのは俺なのに……ごめんなさい」

テレサからは見えていないだろうが、俺は頭を下げて謝罪の言葉を口にした。

すると、頭を下げている俺の側に、ニコニコしながらアルマスが近づいてくる。

「ちゃんと謝れたね!」

クソうぜぇ。


アルマスとこんなやりとりをしていると、念話越しのテレサから笑い声が聴こえて来た。

『……ふふ、冗談で言ったんだよ?それと、孝志には少しおかしな所があるって、ちゃんと分かってるから気にしてないよ……うん、そう言うところも全部大好きだよ』

「あ、ありがとう」

あまりのストレートな愛の告白に、俺は思わず顔を紅くする。
俺が女性とのやり取りで顔を紅くした回数はこれまでの人生で三回……相手は全部テレサだ。

しかし、それでもまだ言い足りないらしく、テレサは更に気恥ずかしい言葉を畳み掛けて来る。

『そ、それに、ずっと一緒に居たいって言うんだから、た、孝志も僕のこと大好きだよね…?』

「いや、あの」

『じょ、冗談だから!僕なに言ってるんだろう……うわぁ恥ずかしいこと言っちゃった……えへへ』

この一言が止めとなり、俺は大きく息を吸い込んだ。
そして口に出さず腹の中に溜め込んできたある言葉を叫んだ。

「可愛いすぎだろぉーーーっっ!!」

『ン?……ドウシタ……マツモトタカシ……ナニカ……トラブルカ?』

念話中の俺を気遣い立ち止まってくれているハルートが、叫ぶ俺に心配の声を掛けてくれる。

それに対して俺はごめんなさいとジェスチャーで謝った。


──てかヤバいな……決して悪い意味じゃないけど、テレサが絡むとなんか冷静で居られていない気がする。
突然発狂するなんて普段の俺ならしない筈なのに。
ある意味、テレサは俺にとって天敵と呼べる存在なのかも知れない。

『可愛い過ぎって……孝志は本当に僕を喜ばせる事しか言わないよね……嬉しい』

もうええちゅうねん。

「あんまり可愛い事を連発すると、耐性ついちゃうから気を付けてね」

『………?』

ごめん、耐性なんてつきそうにないわ。
『………?』すら可愛いんだもん。


『話を脱線させてごめんよ……ここからが本題なんだけど、どうやら僕は結界の中には入れないみたいなんだ。──正確には入れるけど、この結界の維持者に気付かれずに入るのが不可能かな……だから僕は外で待つ事にするよ』

「……あ……」

イチャついてる場合じゃ無かった。
ここに来て俺は自分の認識の甘さを実感した……本当にアルマスの言った通りだと。

ダメ元で結界の維持者……アレクセイと言う人にテレサの呪いを説明して、その上で中に入れて貰えないかお願いしてみるか。


──それと、城に帰ったらどうしようか?
信頼できる人間に事情を話して助けて貰うか……

俺は今夜テレサに会う時、真剣に彼女との今後について考える事に決めた。

「ごめんテレサ、考えが甘くて。この屋敷の管理者に話してみるから、一旦、結界の外で待っててくれないか?」

『うん。まぁダメでも創作スキルで家を創れるから、そこで寝泊まりするよ。近くに居れないのは寂しいけどさ』

創作スキルだとぉ?
いや、あえて突っ込むのは辞めておこう。


「──じゃあマスター、話が終わったのなら行きましょう。私も口添えしますから。ですが、呪いの有効距離には気を付けてくださいね」

俺の言葉を聞いていたアルマスも助言の言葉を掛けてくれた。

「おう、解った──じゃあテレサ、後で連絡するから、少し待ってて」

『うん、わかった。バイバイ』

「お、おう、バイバイ」

最初はテレサがどもり気味な喋りだったのに、いつのまにか口調が逆転してしまった様だ。


──テレサと一時的な別れを済ませて前を向くと、呆れた表情でこちらを見るアルマスとガッチリ目が合った。

「いつもそんな甘々なやりとりを行なってるんですか?」

「いや、向こうの声は聞こえてないだろ」

「マスターの表情を見れば何と無く解りますよ」

「では先へ進むぞ!ハルート!案内してくれ!」

『アルマストノ…ハナシハ…イイノカ?』

「オーケーだ」

言い訳のしようもない俺は、不満そうなアルマスを余所に、ハルートに先へ進む様に促すのだった。


────────


「ここから先の通路は狭いので、ハルートさんは通れませんね。では、ここからは私が案内しますので、あとは任せて下さい」

『リョウカイダ…アルマス……デハマツモトタカシ……アトデナ』

「はい、ではハルートもまた後で」

俺は挨拶をしてきたハルートと挨拶を交わした。

因みに、ミーシャは途中からハルートが担いでおり、そのままの流れで連れて行った。


それからは客室を目指して、大人しくアルマスの後を付いて行くのだった。



…………ん?いや、ちょっと待てよ?


フッと、俺はテレサの言葉を思い返してみた。

『孝志には少しおかしな所があるって、ちゃんと分かってるから』


もしかして、俺ってテレサに変な奴だと思われてるの?






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