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5章 明かされる真実と『狂』の襲撃者
アレクセイ
しおりを挟むアルマスは俺を客室らしき場所へ案内した後、アレクセイと言う男性のエルフを呼びに行った。
あまり俺から離れて遠くに行く事はできないらしいが、この城内くらいなら大丈夫な様だ。
アルマスの行動が、まるで我が家に客を持て成す様で少し違和感が有ったが、考えてみると彼女はこの城の住人だったのだから、あながちおかしな行動では無いのかも知れない。
でも二人で来たんだから、一緒にもてなして貰おうぜ?と言うかさっきから置いてきぼりにされて少し寂しい。
……しかし、まさかアルマスから客人扱いを受ける時が来るなんて、思いもしなかったぞ。
因みにアルマスが居なくなり、前マスターが死去した後、この城には、アレクセイと呼ばれる400歳を超えた男性エルフと、年齢の概念が無いと言うハルート……この2人のみが暮らしているんだとアルマスが言っていた。
直接観てない癖に良く言うぜ……と最初は思ったが、広い城内を移動したにも関わらず、使用人などに一度も出会わなかった。
掃除とか大変では無いかと思ったが、掃除や城の維持は魔法で補っているらしい。
外装もそうだが、かなり広い場内も綺麗に完備されているので、よほど優れた魔法なのだろう。
──そしてこの待合室に到着するまでに城内を歩いて来た訳だが、城の内装が何処と無く、ラクスール王国で暮らしている宮殿にソックリだった。
この客室に飾ってある歴代のお偉いさんの肖像画なんかも、宮殿で見覚えの在るものばかりだった。
ドヤ顔でキメ顔の肖像画が多かったから、良く覚えている。
もし、俺が小学校低学年くらいの時に転移していたら、画鋲で眼球にイタズラをしていた事だろう。
それは兎も角、この場所を訪れてからアルマスに聞きたい事がいくつも出来た。
俺はてっきり前マスターが死去してからアルマスはそのマスターの元を離れたと思っていたが、どうやら生きている間にそのマスターの元を去ったらしい。
加えて道中のアルマスとハルートの会話を聞く限り、数百年ぶりがどうとか話していたので、それも気になった。
何故なら、アルマスは俺が2人目のマスターと言っていたので、俺のスキルになるまでの間、数百年の空白が出来る事になる。
だとするとアルマスはその間、何をしていたのだろうか?
そして、一番不思議に思ったのは、ハルートが松本と言う苗字に反応した事だ。
これに関しては推測不能で意味不明。
あえて言うなら、松本という苗字の勇者が昔いたとかくらいの想像しか出来ない。
これらの疑問には、これからアルマスがアレクセイさんと一緒に答えてくれるらしいが、他にも女神の事とかも詳しく聞きたいので、腹を割って話して貰いたい。
でもあれから色々考えたが、やっぱりアリアンさんが女神だと言う事は未だに信じがたい。
──そして数分程時間が経った頃、扉の外から2人分の足音が聞こえて来た。
音はまだ遠いが、アルマスがアレクセイさんを連れてきたんだろう。
ハルートはデカすぎるという事で、ハルートの為に広く作ってある玄関にて別れた。
なので、この二つの足音はアルマスとアレクセイさんで間違いない。
足音がだんだん近付き、どちらかがドアノブに手を掛けたのが見て分かった。
……そこで、俺はこの世界に来てからこれまで出会ってきた人物達を脳裏に思い浮かべる。
──俺は本当に様々なジャンルの【個性的】な人たちと出会って来たんだな……
まずは、脳内システムが故障してしまい、コミュニケーションに取りずらい事が多い、偶にオカンモードのアルマス。
威圧感たっぷりで、何ちゃって無能なゼクス国王。
腹黒で口の悪くブラコンなマリア王女。
ムカつく女だったが、実はツンデレで大勢の前で告白くしてきた、情緒不安定なネリー王女。
ノリが非常に軽くめちゃくちゃ強いのだが、若干ナルシストな剣帝ユリウスさん。
三十歳を超えているにも関わらず未だ中二病……拗らせ魔術師のオーティスさん。
子供の癖に、俺の事を舐め腐っているヴァルキュリエ隊のクソガキ共。
マリア王女から俺の悪口を吹き込まれているであろうシャルちゃん王女……いやこの子はいいか。
めちゃくちゃ可愛いいのだが、俺に依存している若干ヤンデレ気質な不幸少女のテレサ。
俺を酷い目に合わせおきながら、弱くなった癖に調子に乗ってるミーシャ。
そしてアリアンさん。
中にはブローノ王子やダイアナさんみたいに素晴らしい人間性の人も居るけど、それは極一部。
正直、ヤバい連中はもうお腹いっぱいだ。
そろそろまともな人間が増えても良い頃だと、心から思っている。
ドアが開かれた瞬間、俺は強く目を瞑ったり、そのまま心の中で念を唱える……まともな人でありますように、と。
そして覚悟を決め、ゆっくりと目蓋を開ける。
瞼を開いた俺の瞳に映し出されたのは、とても品の良い服装で物腰の柔らかそうな人だった。
年齢は400歳を超えていると聞いていたので、年老いたエルフの姿を想像していたが、どう見ても三十代。
長く伸ばされた生成色の髪に、綺麗で整った容姿。
この世界は男前が多い印象だが、その中でも圧倒的に美男子だと思う。
そんなとんでもない色男は俺と目が合うと、優しそうな笑顔を浮かべてくれた。
俺はアレクセイさんに挨拶するべく、座っていた椅子から立ち上がった……そして心から思う。
──ああ、良かった……凄くまともそうな人で良かった、と。
「──あらまやだ!貴方が松本孝志ね?アルマスから話は聞いたわよ~!!うぅ~ん……近くで見ると話で聞くよりずっと可愛いわね~!凄く好みよ~、食べちゃいたい……うふ♡」
……………一番やべぇヤツだったわ。
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