普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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6章 勇者と、魔族と、王女様

最悪な再会

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──シーラを救い出し、城へ戻って来たら再び厄介事に巻き込まれてしまった。
どうやらこの世界は1日だって俺を休ませるつもりが無いらしい。
テレサと出会ったのは昨日で、アッシュとフェイルノートと戦ったのも昨日の出来事なんだけど……魔族共はもっと大人しくしてくれよマジで。

そして細長くおっかないガイコツと、その他二人が膝を折ってなんか忠義的なのをやり出した直後、おばあちゃんは俺の抱きかかえているシーラの存在に気付いたみたいだ。
その傷だらけの姿に驚き、慌てた様子で近付いて来た。


「──え!?ティフ……じゃなくて、シーラさんっ!?」

どうやら知り合いである事は間違い無いらしい。
連れて来て問題ないみたいだ。
子供相手に敬語なのは少し気になったが、そもそもコスプレ趣味のおばあちゃんの考えが、常人の俺なんかに理解できる訳がない。

俺は心配そうに駆け寄って来たおばあちゃんに、抱きかかえていたシーラを優しく手渡した。


「おばあちゃん、怪我してるみたいだから丁重にね」

「孝志ちゃん……怪我人には優しいのね」

「怪我人に優しく無かったら屑じゃない………ん?」

「どうしたの孝志ちゃん?急に険しい表情でおばあちゃんの事を見て……はっ!?まさか禁断の──」

「今、怪我人『には』優しいって言ったよね?それどう言う事?『には』ってなに?」

「ア、アレクセイ!!シーラさんが怪我してるわ!直ぐに治療に取り掛かるわよ!」


──孝志に睨まれた弘子は慌ててシーラを受け取ると、アレクセイと一緒に城中へ逃げる様に入って行く。
まさに電光石火の早技……戦闘でもないのに大したモノだ。


「………………」

どいつもこいつも指摘したら毎回誤魔化しやがって……
なんで素直に謝れないだよ、俺なら悪いことしたらちゃんと謝るのに……たぶん。

それに一つ思ったけど、何かおばあちゃんに不良だと思われてないか?
おばあちゃんやアルマスの行いが悪いから厳しい態度で接してるだけで、俺は普通に良い子なんだけど。

先生にも真面目な子だねっていつも言われてるし。
まぁ奴らの前では思いっきり人格偽ってるけど……だって先生に良く思われた方が進学とか有利じゃない?

いろいろと負に落ちないが、シーラの事はおばあちゃんが何とかしてくれるだろう。
取り敢えず、今は目の前にある問題を的確に片付けるとしよう。


──孝志は厄介そうなガイコツの男の方を向いた。


「え~と、アルベルトさんでしたっけ?」

「はい。ですがアルベルトと呼び捨てで構いません」

「わかった。敬語は使わない様にするよ……それはそうと帰ってくれる?」

「「「えぇぇ!!?」」」

前振りの無い突然なぶった斬りに、思わず重ねて驚きの声を上げた元十魔衆の三人。
ミイルフ、サイラムの二人はどうしたモノかとオロオロするのだが、アルベルトは腐っても元十魔衆を取り纏めていた者。
気持ちをなんとか持ち直し食い下がる。


「いえいえそう言う訳にはいきません!なにが在ろうと貴方は主人です!なので主人を置いて行くことなど出来ません!」

「滅茶苦茶言ってるね君。その主人になるのが嫌だから帰って欲しいんだけど?」

「何故でしょう!?私の能力を疑って居られるのでしたら、これからしっかりと結果を残してゆきます!」

「よしっ!では主人として命令する、大人しく帰って、あと君見た目怖いし」

「そ、そんなっ」

孝志に一切の迷いは無かった。
歓迎するつもりは微塵もない。
出会い頭に忠誠心を示す三人に対し、迷惑そうな態度を隠さず直球で断りを入れる。

ミイルフとサイラムは魔王テレサの様子が知りたくて来ただけなので、追い返された場合は仕方ないと考えていたのだが、完全に仕えるつもりだったアルベルトは必死だった。
身も心も魔王軍を裏切った立場的に追い返されたら非常に困るのである。


──因みに弘子は居なくなったが、アルベルト達と一緒にやって来たアルマスとアリアンは、魔族達が孝志に攻撃を仕掛けた場合に備えて戦闘体勢である。
孝志に対して友好的なアルベルト達相手でも、抜かりなく眼を光らせていた。

そんな二人の姿を目にし、普段はともかくこういう時は本当に頼れる存在なんだと孝志は改めて認識するのであった。



──だが、その時である。

アリアンを目に移した瞬間、孝志の目を通じ黙って状況を観察していたテレサから驚嘆な声が上がった。


『え……う、そ……ア、アリアン……』

「テレサ、どうした?」

午前中の訓練は孝志のプライバシーに気を遣い、監視は控えていたので、テレサは今が初めてアリアンを目にした瞬間となる。

テレサのこれまでの人生で、アリアンは自身の友達となってくれた数少ない存在の一人だ。
顔を見られるまでの短い付き合いではあったが、共に苦楽を共にした気心知れた仲間……だった。

再び会えて懐かしい気持ちと嬉しい気持ちが湧いてくる反面、また拒絶されてしまう事の恐怖心がある。
自分の醜さがまた彼女を傷付けてしまうのではないか?

──そんな不安が大きかった。

なんせ今はその醜さに加えて、周囲を恐怖に陥れる呪いまで発現してしまったのである。
あの時がダメなら、今の自分を受け入れて貰える要素がまるで見当たらなかった。

それに、もしかしたらアリアンの中では自分は消し去りたい存在で、もう既に自分の事など忘れてしまってるのではないか?
そんな考えも脳裏に浮かぶ。
拒絶も怖かったが一番嫌なのはやはり、自分の存在自体を忘れられてしまっている事だ。


『…………ッッ』

だからテレサは、恐怖のあまり震えながら念話を切断してしまった。
初めて孝志との通話を勝手に切ってしまったのだ。


「……え?テレサ?……おーい!」

唐突に切られた孝志は再びテレサに声を掛けるも、彼女からのは返答は無かった。
テレサの事情の知らない孝志は、何かやらかしてしまったのではと焦りを見せ始める。



すると、孝志が何度も口にしている『テレサ』の名前を聴いたアリアンが大きな反応を見せるのだった。


「──ッッ……テレサ……だと……?」

「ッッ人間!貴様なんのつもりだっ!?」

テレサと言う言葉を聴き、アリアンは平伏しているアルベルト達と孝志の間に割り込んだ。
その非礼な行動にアルベルトは抗議するも、今のアリアンの耳にはこれっぽっちも入らなかった。


「……ッ!?アリアンさん?」

これまで冷静だったアリアンの異様な行動に、魔族だけでなくアルマスも驚きを露わにし、孝志はビビる。

そして彼女は眼を見開いたまま孝志の肩を掴むと、ガクガク揺らしながらある事を尋ねる。


「おいっ!!孝志!!テレサと言ったなっ!?いま一緒に居るのか!?教えてくれ!!」

「ゔえぇぇッッ!!?」

手加減されており揺らす力はそれ程でも無かった。
しかし、目を見開き自分を見つめるアリアンの形相が怖かったようだ。
孝志は揺らされるのとは別の意味でもガクガクと震え出す。

それを観ていたアルマスは孝志の心情を察し止めに入る。

「──アリアンさん、マスターが驚いてます……というより、本当にどうされたのですか?」

「あ、ああ……済まない孝志……少し取り乱してしまったようだ……許せ」

アリアンは深呼吸して息を整える。
狂人にしては珍しい光景だ。

「いえ……ですけど本当にどうされたんですか?」

「いや……もう大丈夫だ、アルマス──それから孝志、一つ確認したい。そのテレサとは魔王テレサか?」

この問い掛けに孝志は気持ちを落ち着かせ答える。


「はい、そうですが?……彼女がどうされましたか?」

「……彼女と話せないか?さっきから念話を繋げて居るんだろう?」

「あ、はい……でもなんかアリアンさんを見た瞬間、念話が途絶えたんです」

この言葉を聞いてアリアンは大きく肩を落とした。


「…………そうか。やっぱり恨まれて居たか……ごめんよテレサ、あの時は本当にごめん。どうか許してくれ……」

念話を切っている為、テレサに声は届いていない。
それでも彼女は謝罪の言葉を吐き出す様に口にした。

孝志としても驚きを隠せない。
何たってあのアリアンが、今まで見せた事も無いような悲しげな表情で項垂れているのだ。
彼女に人間らしい感情が備わっていた事実も孝志には驚きだったが、それと同じくらいテレサとアリアンの過去に何かあったのかも気になった。

しかし、第三者の自分が無闇に聞いてもいい話とも思えず、孝志も黙りこんでしまうのだった。


──アリアンは項垂れ、孝志は困り果て、アルマスも同じように困惑し、テレサは逃げ出してしまった。
場には何とも言えない気不味い空気が流れる。

一方で自身の状況に全く進展のないアルベルトはそんな空気など読まず、先程の会話の続きを始める様に口を開き始めた。


「──ところで、主人よ、我らはどの様に行動致しましょう?」

「え?行動?…………いや、まぁ取り敢えず詳しく聞こうじゃないか!」

この場に居合わせた孝志とアリアン以外の者達は、空気を読めと言いたげにアルベルトを見るが、居心地の悪い状況から抜け出したかった孝志にとっては有難い助け舟となる。


「はい!では詳しく話を致します。我軍の魔王を手中に収めた孝志様は、これからどの様に行動されるおつもりなのですか?……やはり覇道を極めますか?それとも圧倒的な戦力差で魔王軍と徹底抗戦されますか?」

「え……?穏やかじゃないんだけど?……てか話を聴くだけで君たちを受け入れたわけじゃないからね?──それと覇道も行かないし、魔王軍とも戦いません」

孝志はアルベルトからのあり得ない二つ選択肢に、呆れたように否定的な言葉を返した……が、何故かアルベルトは『おおっ!』と言って嬉しそうにしている。


「なるほど……要するに、私が想像もつかないような目的がお有りだと仰るのですね!?実に素晴らしいッ!!やはり貴方に仕えるのは間違いでは無かった……!!」

いや、何もかもが間違いだらけなんだが?
魔王軍って組織はあれだな……まともな奴が居ない組織だろ。

しかもさっきから仕えている感じで話してるけど、俺を主人だと前提で話すの辞めてくれる?
俺が嫌と言っても聞かないのに忠義とか言うなし。

まぁ誰がなんと言おうとコイツらには帰って貰おう。
なんでこんなに俺を買ってるのか知らないけど、あんまりしつこいと上司のテレサに告げ口するからな。

これ以上ヤバい奴はもうほんと勘弁。
ガイコツには悪いけど、今の俺はどんな事を言われても君を受け入れる事は無いだろう。

こんなに慕ってくれてるのに、ごめんよ。


「──それにしても、主人よ……実際にお目に掛かると凛とした顔立ちをしてらっしゃる」

「……おっ?」

「……?どうされましたか?」

「いや…………他にも言う事はないか?」

「ええもちろん。わざわざ口にする程では無いことですが、主人様は知的な雰囲気を漂わせておりますね。脳ある鷹は爪を隠すとは良く言いますが、脳が有りすぎると隠す事が出来ない様ですね……そのような叡智溢れる方にお仕え出来るとは……光栄であります!!」

「…………アルベルトといったかね?」

「はい」

「これから宜しく頼む」

「勿論ですとも!!」

アルベルト……か。
見た目怖いけど人を見る目は確かなようだ。
俺の優秀差を即座に見抜き、それを褒め称えるとかやるやん。

正直、見た目がエゲツないし、言うこと聞かないからヤバい奴だと思ったけど全然良い奴。
アルベルトはすげぇ良いヤツ、うん、これはもう受け入れるしかない。
このアルベルトとなら上手くやって行けそうだ。


──そして側に居たミイルフとサイラムも、孝志の受け入れの言葉を聞いて嬉しそうにしていた。
この二人の目当ては孝志と言うよりテレサなのだが、彼を評価していることは間違いない。


「……マスター、いくらなんでもチョロいですよ」

「なんだよ、気分良いのに茶々いれんなや」

「いえ、明らかに煽てじゃないですか、それを間に受けるヤツがありますか。マスターはそんなに叡智溢れてないでしょ?」

「お前なんなのマジで?」

「いえ奥方様っ!煽てではありません!本心です!魔王テレサをも屈服された主人の手腕に感服しているのですっ!」

「貴方は黙ってなさいっ!!!孝志と話してる時に邪魔されるのが何より腹が立つのよッッ!!…………え?今なんて言ったの?」

「主人の手腕に感服しております」

「違うもっと前よ」

「……え~と……奥方様?」

「お、奥方……」

「違うのですか?貴方のような湖の妖精と見間違える程に美しい女性なら、孝志様とお似合いだと思いましたが」

「孝志とお似合い……?私が……?」

「ええ、間違いなくそう見えます」

「…………ふふ……くひひ……ふふ……」

「なにコイツきもっ」

孝志は思わず声を出してキモがる。


「──ゴホンッ!なるほど、貴方は確かアルベルトと言いましたね?」

「はい」

「これから孝志を宜しくね。私は宜しくしないけど。あらでもよく見たら良い骨格じゃないですか貴方」

「おおっ!ありがとうございます!こちらこそ宜しくお願いしますっ!」


アルマスは孝志以外から見た目を褒められても、別に何とも思わない。
孝志と自分がお似合いだと言われた事と、第三者の目からそう観られてた事が何よりも嬉しかったのであった。


──かなり曲者な孝志とアルマス。
その両者からまさかの高評価をアルベルトは貰った。
孝志は見た目を褒めらえれるのが好きで、アルマスに関してはとにかく孝志との関係を認めて貰える事が嬉しいのだ。

その証拠に二人とも満面の笑みである。


「──それで主人よ、実は一つお聞かせしたい情報があるのですが……」

「なんだ、言ってみろ」

「はい……実はラクスール王国付近に配置していた魔物達から先ほど仕入れた情報なのですが──どうやらラクスール王国を覆っていた結界が、何らかの理由で破壊された様なのですが」

「ん?結界?」

孝志は王国が結界で覆われていた事すら知らなかったので反応に困ったが、とにかくヤバそうなのは理解した。
そしてアルマスに至っては、王国の事に興味が全く無いのでどうでも良い話だと聞き流している。
仮にラクスール王国が5分後に滅ぶと知っても何とも思わないだろう。

それは彼女が冷酷では無く、ラクスール王国が弘子にした仕打ちを根に持っているからに他ならない。
弘子とアルマスは転移する以前から些細な事で喧嘩する間柄だが、それも仲が良すぎるから出来ること。

自ら手を降す気はないにしても、親友を酷い目に合わせた王国をアルマスは弘子以上に恨んでいるのだ。


「──ちょっとマジイミフ!そんな話聞いてないんですけどマジないわ」

「ミイルフの言う通りでござる。なぜ黙って居られたのだ?」

ただ、これに関してはミイルフとサイラムも初耳らしく、微妙な反応の孝志と無関心なアルマスと違って両者驚きの声を上げた。


「いや、少し前に入った情報だ。話すタイミングが無かっただけだ……と言うより、孝志様を説得してた時は黙り込んでた癖に、話が纏まった途端になんだね君達はッ!?」

「「…………」」

「ほらすぐそうやって黙るッ!!ありがとうやごめんなさいが言えないのかお前たちは!?」

「あざっす」

「済まぬでござる」

「舐めてるのか!?俺は十魔衆二位だぞ!?元魔王を除けばNo.2の実力者だぞッ!?勝負するか!!きっと私が勝つぞ?!」

「うわぁ~イキリだしてウザいんですけど、マジウケる」


急に仲間割れを始めた魔族達。
しかし孝志はアルベルトに対して親近感を覚えた。
何故なら自分もさっき全く同じ事を思ったからである。

ただ面倒くさいので止めには入らず、言い合ってる様を黙って見届ける事にした。



「──アルマス、いや、湖の妖精さん……なんか盛り上がってんな」

「少し放って置きましょう、爪を隠せない鷹志」

「そうだな、それより──」

孝志はアリアンの方に目を向ける。
王国の危機的情報が耳に入らないほど肩を落として項垂れる剣聖アリアン・ルクレツィア。

彼女は酷く落ち込んで居た。
それのキッカケはテレサである事は間違い無さそうだが、第三者の自分が二人になにが有ったの孝志には聴き辛かった。


──テレサとアリアンさんの両方を知ってる身としては、アリアンさんは故意に誰かを傷付ける人では無いし、テレサも余程のことが無い限り逃げ出すような子じゃないと確信出来る。

……多分だけど、かなり間の悪い感じですれ違っているんだと思う。


………………

………………

…………これはアレだな。
俺が二人の間を取り持った方が良さそうな感じか。
両方とコンタクトが取れるのは俺だけだし。

アリアンさんは滅茶苦茶怖いけど……でも死ぬほど怖いってだけで嫌いだと思った事はない。
だから、自分に出来る事なら助けてやりたいな……後、ついでに恩も売っときたい。

……ま、少し頑張ってみるか。


「──アリアンさん、王国で何かあった様なので、それがハッキリするまでは無理ですけど、それが終わったら一度テレサと話してみませんか?僕が仲介しますよ?」

「……テレサと?──それにさっきから気になってたが、孝志は……その……テレサと顔を合わせても平気なのか?」

「あ、はい。なんか顔を観ても大丈夫みたいです。多分、自分の潜在能力が凄いんだと思いますけど」

「その可能性は大いにあるな、ふふ、お前はしっかりした男だからな」

「え?……そ、そうですか?」

「私は嘘は付かないぞ?」

「……ありがとうございます」

え?もしかして俺って期待されてたりする?
いや、普通に嬉しいんだけど。


「──そうか……テレサと顔を合わせてもお前は大丈夫なのか……彼女にとって救いとなっている事だろう」

「そうでしょうかね?」

「ああ……それに、今も落ちこんでる私を慰めようとしてくれてるんだろ?」

「いや、まぁ」

「……お前は良い男だ。色んな者を観てきた私が、それを保証しよう」

「……どうも」

直接言われると本当に恥ずかしい。
でも、アリアンさんのこういう真っ直ぐなところが結構好きなんだ。
訓練さえ無ければ弟になってあげても良いのに。


「僕としても、落ち込んでるアリアンさんは観たく無いです。いつもみたいに元気に僕を引っ張って下さい」

「ハハハハッ!!!じゃあ次の訓練はもっと元気に行う事にしよう!」

……え、この人マジでなんなの?もうワザとだろ絶対。こんなの完全に慰め損じゃん。
いつもこんな感じで落として来るから、俺に怖がられるだよ。


「──そう困った顔をするな。そのうち慣れるさ」

「…………ソウデスネ」

するとアリアンは孝志へ近付き、彼の右手を自らの両手で固く握り締めた。


「──孝志、後でテレサに合わせてくれ……それから…………本当にありがとう」

「…………はい」


アリアンさんは目に薄ら涙を浮かべながら満面の笑みを浮かべていた。
それ程までにテレサの事を思っていたのだろう。

さっきは慰め損だと思ったけど、案外、そんな事もない様だ。




──アリアンの笑顔を観て孝志は確信した。




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