普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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6章 勇者と、魔族と、王女様

おいしい場面で狙ったように現れる男

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「──あっ」

「ふぇぇ???」

転移装置で王宮内の適当な場所へ転移した。

そしたら

なんと

マリア王女が居るでは有りませんか。
いきなり知り合いに出会えるなんて超ラッキー!やっぱアレだね、日頃の行いが良いからこういう幸運に恵まれるんだよ!いつもありがとう俺!

俺は自分に感謝しつつ腹黒王女へ近付いた。
……え?でもなんか涙目じゃない?どうしたん?


「お久しぶりですマリア王女。でも泣きそうですがどうしました?あっ、もしかしてアクビ我慢してますか?王族っていろいろ我慢しなきゃいけなくて大変っすね」

「──ぷっ……その敬語を使いつつも失礼な物言い……ふふっ……本物の孝志様ですね……数日ぶりです」

状況を全く理解出来てない癖に、相変わらずな孝志の物言いに我慢出来ず、気が付くとマリアは吹き出してしまった。
まさかこんな状況下で笑い出すなんて、マリア自身もビックリしている。
魔物が止まっているのも有るが、松本孝志が現れただけでこの場に安心感が生まれていた。


「ダークエルフに連れ去られたと聴いて心配してました。元気そうで良かったです」

「…………」

「どうしましたか?」

「いえ……メイドさんが一緒だと良い王女演じてるのでやっぱり腹黒だなぁ~と」

「なんですってっ!?しばくわよっ!?」

「すいませんでした……え?しばく?」

あっ、そう言えばマリア王女ってエセ日本人だったな。

「って、和んでる場合じゃないわ!そもそもどうやって此処に!?」

もう素を隠そうとしないのな。
でもこの女、こっちがタメ口だとキレるから酷いんだよ。

それにどうやって来たかって?


「オカマに送って貰いました」

「本当に何事ッ!?それとオカマって実在するの!?」

「するよ。俺も出会ってビックリしたからな」

「はぁ?なんでタメ口なのかしらぁ?」

「え?本当にキレるの?……タメ口はだめですか?」

「だめよ」

ほんと理不尽……もう人間が怖い。


「……何なんすか?わたしキレそうよ?」

「え……口調がオカマになってる……?」

「あ、やべ」

アレクセイさんの口調が移ったみたい。
でも相変わらずフェアじゃないな、自分は結構な言葉遣いの癖に俺には敬語で話せとか。


「ふふ」

「あん?」

俺が理不尽さに嘆いていると、マリア王女は唐突に笑い出した。

今のはもしかして馬鹿にした笑いだろうか?
だとしたら王族の間には実に素晴らしい教育が行き届いてるようだ。もちろんブローノ王子以外。


「貴方とこうしたやり取りが出来るなんて……さっきまで死んだものと諦めてたから嬉しくて笑ってしまったわ……グス……」

今度は涙目じゃなくて泣いてる。
いや、もしかしてふざけてはいけない状況なのかな?一応、何が有ったのかは聞いておこう。


「あの、本当に何が有ったんですか?」

「……え?……貴方が助けてくれたのでしょう?」

「………………ワッツ?」

「うざっ…………って、え?本当に違うの!?このタイミングに現れて!?嘘でしょう!?」

──マリア王女は、俺の背後を見ながら意味不明な事で驚いている。
相変わらずな女だと思いながら振り返ってみると、そこには剣を振り上げた姿勢で停止するドラゴンのように見える変な奴が居た。


「もしかしてリザード○ンですか?」

「ドラゴンナイツよ」

やべぇ……強そうなネーミング。
あっ、でも離れた位置にも同じのがもう一体居る、更にもっと離れた所にもボロボロの奴が一体居る。
強そうだからレア敵かと思ったけど、いっぱい居るからただの量産型の雑魚やんけ、しょーもな。
アッシュにでもやられてまえ。

背後を確認した後で、俺はもう一度マリア王女の方を向いた。


「…………なんですかあのドラゴン?」

「本当に貴方が魔法で止めたんじゃないのねっ!!?」

「ははは、ないない!!敵の動きを止める魔法とか無理ですから!自分みたいなへっぽこぴーにそうなヤバい魔法使える訳ないっすよ!あははは!!」

「……いや、え……?そんな楽しそうに自分を卑下にしなくても……」


──貴方にも良い所がたくさん有るわよ。
教えてやろうかしら?とにかく良い男よ、貴方は……は、恥ずかしいので絶対に言わないけどっ。


しかし、アホほど和やかな雰囲気とは裏腹──このときライラとケイトは、孝志と一緒に次元の裂け目から現れたアルベルトとアッシュから片時も目を離せなかった。
二人は勇者と共に現れた、ドラゴンナイツが下っ端に思える程の驚愕な化け物に額から大粒の汗を流して怯えている。

尚、アルベルトは混乱を防ぐ為、骸骨の姿から眼鏡を掛けた三十歳程の細身な男性に姿を変えている。
アッシュは変装せずとも人間らしい見た目の筈だが……それでもやはりライラとケイトみたいな実力者には魔族だとバレてしまうのだ。

その怯えっぷりはアッシュが身動ぎするだけでビクッと震え上がる程だ。
マリアは孝志に気を取られていて、二人の様子には気付いて居ないようだ。

そんな二人を見兼ねたアルベルトは、主人がやり辛くならない様にライラとケイトに声を掛けた。


「──安心しろ、人間。我は魔族だが敵ではない。今は孝志様の忠実な僕である」

「了解しました……」
「……はい」

どうせ戦いになっても勝ち目なんて全くないのだ。
それなら勇者と一緒に来たんだし、魔族の言葉を信じる事にしよう。
二人は孝志をダシにした上手い言い訳をつくるのであった。


「え?ま、魔族?どういうこと?」

アルベルトから魔族の単語を聞いてようやくマリアは反応する。
実に能天気だ。ライラとケイトはそれどころではないと言うのに。


──そしてもう一人の魔族……アッシュはと言うと、此処に来た瞬間から目線はずっとドラゴンナイツ向けていた。
戦闘特化の種族はこういうとき頼れる。


……ライラ達に声を掛けた後で、アルベルトは離れた所のドラゴンナイツへ向け、手作業のように簡単な動作で魔法を放った。


「──ダークネス」

闇属性中級魔法の詠唱破棄。
無詠唱だと威力は格段に落ちる。
それでもアルベルトが放てば相当な威力となる。

放たれた黒い球体に触れたドラゴンナイツは跡形も無く消滅した。
消失系魔法の性質上、爆発音などはなく、テレビの電源でも切るかの様に呆気なく消失する。


アッシュも二体の敵をいとも簡単に料理した。


そんな光景をマリアは唖然と見守っていた。
まさかこんな化け物達を連れて来たとは思いもしてなかったからだ。


──まさか簡単に片付くなんて…………って


「孝志様っ!!出口はこっちよ!!」

倒した後、何事も無かったかように城の奥へ進もうとしたらマリア王女に呼び止められた。
……そう言えば、転移して来た理由をまだ言ってなかったな。


「こっちの道であってますよ」

「え?」

「おれ……いえ、自分は戦闘中の勇者たちを助けに来たんですから」

マリア王女の安全は確保できた。
後は城の人達と中岸さんを保護しないとな。
橘と奥本は……まぁついでで助けるか。


勇者達が戦闘中だったのを思い出し、孝志は先を急ぐ事にした。


「待ちなさい」

「え、急いでるのですが……?」

「私も同行します」

「……ぇぇ~」

するとマリアは一歩前へ出た。
メイド二人が止めに入るも、マリアは孝志に着いて行く気満々である。


──止めても聞かなそうだな……まぁ別にいいか。
当初の予定より人が増えたけど、人数が多いと橘達の意識が俺に向かない可能性高いし。



マリアに加えて、ライラ、ケイト。

計6人のパーティーで孝志は城の奥へと進んで行く──







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