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7章 普通の勇者とハーレム勇者
アダム 〜テレサ視点〜
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~テレサ視点~
「えへへ……夢じゃないんだ……現実なんだ……!」
初めて出会った時からずっと大好きだった人。周りの人は見る目ないみたいだけど、僕から見ればこの世で一番カッコいい、王子様みたいな男性だよ。
そういうのに興味ないし、憧れてもなかったけど、実際に王子様が目の前に現れると胸が熱くなったよ。女の子達が憧れるのも分かるなぁ。
でもそれすらも僕にしてみればオマケかな?
僕には孝志が側に居てくれたら何だっていいよ。孝志は自分しか僕の呪いに耐性がないから、それで好きだと勘違いしてるだけって謙遜してたけど、勘違いしてるのは孝志なんだよね。
僕は仮面を取って孝志に顔を見てもらえる前からもうメロメロだよ。孝志に出会う前はお父さんが一番カッコいい男の人だったけど、今じゃ二位だよ圧倒的に。
「あ、そういえば忘れてた……」
昨日は会いに来てくれる約束だったのに、結局来てくれなかったんだ。事情は知ってるから疲れてたんだとは思うけど……えへへ……ちょっと意地悪しちゃおっかなぁ?
昨日来てくれなかったから寂しかったって……そんな風に冗談で怒ろう!!
最後に話してから2時間くらい経ってるし、もう話も終わってると思う。
まぁ寂しかったのは事実だし?何より孝志とお話しする口実になるんだから良いよね!
「あ~……ん、んん!!」
──テレサは軽く咳払いをし、念話で孝志に話し掛ける。その表情は本当に嬉しそうなモノだ。
両親が死んでからテレサは一切笑わなくなってしまった。だがそんな少女が再び笑顔を取り戻した。孝志と出会ってから今日まで、彼女は今までの不幸を払拭するかのように幸せな出来事の連続。彼が側に居てくれる限り、テレサが塞ぎ込む事など決して無いだろう。
「──わぁ!孝志!……ビックリした!?」
えへへ……驚かせちゃった……ビックリした孝志は可愛いからなぁ~………って、ア、アレ?
何の反応も無いんだけど……それに、孝志の映像も見れなくなってる……え、どうして?
──も、もう一度……
「孝志!!」
…………
………え?な、何で?どうして?
………ダメだ、どうやっても映像が映らない……!!孝志に言われて普段は映像をオフにしてるんだけど……それで魔力を使い過ぎたのかな……?
いや僕に魔力切れなんて無いし……じゃあ一体どうして?……ど、どうしようどうしよう……!!
──テレサは困惑する。顔は真っ青に染まり、周囲を行ったり来たりと動揺が隠せない。
しかし、無理もない。いつも近くに感じ取れた筈の愛する者の気配が……まるで感じられなくなってしまったのだ。テレサの焦りと言ったら想像を絶するモノだろう。
それでもテレサは諦めず、何度も孝志へ念話を繋ごうと試みる。それを16回程繰り返した頃、ようやく、孝志と繋がることに成功する。
テレサは安心感で胸を撫で下ろし、『良かった』と呟きながらその場に座り込んだ。
しかし……そんな安心感も束の間。
思ってもみなかった事態が発生する──
「……良かった……ねぇ孝志、聞いてよ。今念話が壊れてたみたいで、何度も試してたんだよ……不安だった……もし孝志と話が出来なくなったらと思うと──」
『しつこいよ?気安く何度も話掛けないで貰えるかな?』
「……!!……だれ!!?」
『うるさい……耳障りだよ、君の声は』
「…………」
孝志じゃない。だけど映像に映ってるのは孝志。
それでも絶対にあの人は孝志なんかじゃないよ!!
孝志はあんな冷たい事言わなし、あんな喋り方もしない!!
違う……別の誰かだ!!
声は同じ、姿も全く同じだけど、それ以外は孝志と何もかもが違うんだ……!!僕が孝志を間違えたりするもんかッ!!
「君は誰!?どうして孝志の中に居るの!?」
テレサの悲痛な問い掛けに孝志に似た誰かが不敵に微笑みながら答えた。
『ふふ。僕を孝志だと勘違いすれば、もっと簡単に話が進んだと言うのに……面倒だねまったく』
「僕の質問に答えて欲しい。君は誰?」
ほんの数秒の間を置いて男は答えた。
『──僕の名前は【アダム】。君に折り入って頼みがある』
「アダム……?」
『そうだね、君みたいな怪物と言葉を交わす気はないから単刀直入に言わせてもらおう──』
「………!!」
孝志そっくりな人物の自分を否定する言葉に表情を歪ませるテレサ。しかし、そんな彼女を一切気遣う事なく、男は話を続ける。
『松本孝志を誑かすのは止めてくれるかな……?──彼は、僕が英雄にする男だ』
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