187 / 217
7章 普通の勇者とハーレム勇者
仮眠
しおりを挟む「……はぁぁあ~~っ」
「でっかいアクビねマスター……迷信だと幸せが逃げてくらしいわよ?」
アクビをしていたら、アルマスに意味不明な突っ込みを入れられてしまった。流石にもう抱き着いては居ないが、今も至近距離はキープしてる。
「いやもう迷信って言ってんじゃん……あと、アルマスが一緒だと俺はそれだけで幸せなのさ」
「嘘でも嬉しいわ♡」
もちろん嘘……いやまるっきり嘘って訳じゃないけど。アルマスは今の冗談を聞いて嬉しそうに笑ってたが、直ぐに心配そうな目で顔色を伺ってくる。
「疲れてるでしょ?少し休んだら?」
「いやオカンか」
「ブワァッ……今までで言われた中で一番嬉しいわ……お母さんだなんて嬉しい。アルママと呼んで良いのよ?あ、お母さんと一緒にお昼寝する?一生贅沢させてあげるからその代償として結婚しちゃダメよ?」
「お前『オカン』の一言で良くそこまで話を膨らますことが出来るよな」
「どうして出来るのか……分かる?」
面倒くさいなぁ……あーでも、そう言えばアルマスって最初こんな感じだったわ。
最近はおばあちゃん関連で結構シリアスな話が多かったけど、これがアルマスなんだよな。偶にはコイツのバカ話に付き合ってやるか。
「お母さんぼく分かんない」
「ふふ、じゃあママがヒントあげるっ!『あ』から始まる言葉よ」
「ア、アア、アリアンさんッッ!?」
「ううん、全然違うの。答えは『愛してる』からよ」
「そうか」
「……途中までノリノリだったのに、急に冷めるの辞めて欲しいわ」
「付き合い切れんわやっぱり……俺どうかしてた」
「え?私ってそんなに酷いの?」
俺は眉間に人差し指を当て目を瞑る。もう完全に寝不足のテンションだな。
──その様子にはアルマスも気が付いてる様だ。
「まぁ冗談はさておき……マスター、本当に休んだ方が良いですよ?クソみたいな連中のクソみたいな会議に巻き込まれてクソ大変だったでしょうし」
「まぁ……そうだな……クソクソ言い過ぎだぞ?」
しかし、アルマスの言った通り死ぬほど眠い。きっと今までの疲れが累積して溜まってたんだろう。
基本は人任せのつもりだったけど、一応は頑張るところは自分なりに頑張って居たからな。
とにかくこの世界に来てから気疲れが凄い。
それと昼間からぐうたら寝る事に抵抗がある訳ではない。休日だと思えば良いのだから……ただ心配事があって、それが気になって気になって仕方がないんだ。
(テレサ……どうしたんだろう?)
朝話してからそれ以降ずっとテレサと連絡が取れない。こっちから呼び掛けても応答すら無いのだ。ハッキリ言って異常だ……いつもなら1時間おきに何かしら話し掛けてくれるのに。
「……夕方まで眠ってから、様子を見に行くか……」
「え?夕方までアルマスと一緒に寝るって?」
「耳垢詰まってんの?」
「うん、だから……掃除して?ね?」
「………うぜぇ」
アルマスが膝の上に寝転がろうとして来たので、孝志はチョップを御見舞いしようと構える。
「失礼するわね~」
だが孝志がチョップをかます直前……部屋を出ていたアレクセイが帰って来る。
弘子から連絡があり出て行ったのだが、何やら神妙なその様子に、孝志はおばあちゃんの身に何か有ったのかと心配した。
「アルマス……ちょっと良いかしら?一緒に来て貰える?」
「もうっ!孝志との時間を邪魔しないでよっ!オカマの分際でっ!」
「あららん?もしかしてケンカ売ってるぅ~?──なんてふざけてる場合じゃないわ……来てアルマス」
アルマスもその尋常ならざる様子に渋々頷く。
「分かったわ……もっと孝志を味わいたかったのに」
「いやもう俺のこと充分味わい尽くしてるだろ?」
「……まだまだ足りないわよっ!身体中を舐めま……まぁ良いわ」
アルマスは孝志の隣を陣取っていたソファーから重そうに腰を上げ、アレクセイと部屋を出で行こうとした。
「身体中を舐めま…………何だ?最後まで言ってけよなぁおい!」
「孝志……いえマスター。私は今からこのオカマと話があるから、少しの間だけ外に出るけど……冗談とか抜きで本当に休みなさい。疲れてるみたいだから」
「突っ込みを流すなや……まぁわかった。でもずっとベタベタして来たアルマスに疲れてるみたいとか言われたくねぇーわ!」
「………言えてる」
「こ、殺してぇ~」
アルマスは何度も振り返りながら部屋を出て行った。
少し離れるだけで大袈裟な奴だ。
でもたった1日離れてただけでこの有様なんだ……数年単位で離れ離れになったら、一体どうなってしまうんだろうか?……考えるだけ恐ろしい──もう寝よ。
──孝志はベッドの上で横になり寝る体勢を整える。蓄積させた疲労のおかげで目を瞑れば一瞬で眠りに落ちそうだ。
…………
…………
しかし、脳裏をとてつもなく嫌な予感が過ぎり、孝志はベッドから跳ね起きる。そしてその予感とは夢の中で出会った正体不明のドッペルゲンガーについてだ。
「……今まで全く姿を現さなかったのに、急に出て来たって事は何か企みがあるはずなんだよな……超眠いけど、少し対策を立てるとするか──念の為にな」
孝志はベッドから立ち上がり部屋を出る。
あの男が仕掛けて来そうな事を予想し、たった今考え付いた対策を実行するために孝志は動き出した。
今から行う対策……それがもし適切だったとしても、それをドッペルゲンガーに『見られて』いたらもう意味がない。これは一種の賭けなのだ。
「……アイツが常時監視してないことに賭けよう。まぁ大丈夫だろ?──何たって俺には【豪運】のスキルが付いてるんだからな!」
さっきまで存在を忘れてたけど。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる