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7章 普通の勇者とハーレム勇者
アレクセイの聞いた話
しおりを挟む「だがじぃ~……べろがいだい~……」
「人の顔をずっと舐めてるからだろ」
本当に前の時も思ったけど、たった1日合わなかっただけで大袈裟過ぎるんだよ。
「でも、マスターもアレクセイも酷いわよ。事前に教えてくれても良かったのぃ~!」
「それに関してはごめんアルマス……あれ?舌は治ったの?」
「ううん、そもそも痛くなかったわよ?愛し過ぎる孝志の顔を舐めてどうして痛めると言うの?心配されたくて痛いフリをしたのに、あんまり反応が良くなかったから演技を辞めたわ」
こ、こいつよくもまぁ堂々と、舐めやがって……!!舐められてたけど更に舐めやがって……!!
「……むしろ舐められ続けた俺の顔の方が痛いわ」
「えぇ!?それは大変っ!!痛いの痛いの飛んでけ……ってしましょうか?私のベロで」
「お前は頭がおかしいのか?」
やめよう。相手にするだけバカだせ。
なんせアルマスだもんな。後は孝志呼びなのか、マスター呼びなのか何方かに統一してくれます?
「ではアレクセイさん、今度こそ手筈通りにお願いします」
俺はバカの相手を辞めて、一緒に作戦を立てたアレクセイさんと話す事にする。
目的とは至って簡単で、アレクセイさんの転移魔法でテレサの居る場所へと送って貰うこと。
遠くへ転移させるには数十時間置きの回数制限があるらしいが、ある程度の近場なら簡単に行き来する事が出来るらしい。
ただ、その為に専用の装置が必要らしいのだが、それの所有者がアルマスになって居たので、アルマスとの合流を待つ必要があったのだ。
──しかし、どうしてだろう……?この2丁目オカマ、凄く難しそうな顔してるんだが……?
「………孝志ちゃん、魔王テレサと話をしたら、此処に戻って来るんでしょ?」
「あ、はい。一時的に抜けても、脱獄するつもりは有りませんからね」
そんな事をすればマリア王女やアリアンさんでも庇えきれないだろう……流石にラクスール王国には居られなくなる。おばあちゃんの城に住むつもりでも、仲違いをする気は無いからな。
「ん……孝志ちゃん。魔王テレサと話した後は、もう戻らない方が良いかも知れないわね」
「………え?」
「………ああーまた孝志の顔ペロリたくなって来た……」
「「アルマスちょっと黙って」」
「はい」
アレクセイさんは理由を説明してくれた。気配を隠して潜んでいる間に、俺のドッペルの動向も観察してくれたみたいだ。そしてアレクセイさんが語ってくれた内容は、まさに驚愕すべきものだった。
それはドッペルの名前が【アダム】である事と、俺を英雄に祭り上げようとしてる事……そして、ティタノマキアという怪物と、シャルちゃん王女について話してくれた。
どれも驚愕の内容で驚きを隠せなかったが、ずっと右腕に抱き着いてるアルマスのアホ面を見て俺は気持ちを持ち直した。その顔があまりにアホなので思わず頬に触れると、顔を真っ赤にして喜んだ為、アレには二度と触らないと心に誓った。
「恐らく、この城にいても孝志ちゃんにとって危ない事しかないわよぉ?……魔王テレサと話した後は遠くへ逃げるのが無難だと思うわ」
アレクセイさんがいつになく真剣な物言いだったので、俺も真面目に悩んだ。
アダムの目的は気持ち悪かったが、何よりも驚かされたのはシャルちゃんについての事だ。全く見破れなかったし、あの子供らしさが嘘だと思うとゾッとする。
王女三姉妹の中ではマトモだと思ってたのに、まさか一番の地雷だとは夢にも思わなかった。
「ラクスールの王女って呪われてるんっすかね?」
「……この国の王族なんて所詮はそんなモノですよマスター。流石は弘子を追放した連中の血族です」
「まぁそう言うんじゃないわよアルマス。第一王女と第三王女はともかく、第一王子と第二王女は悪くないと思うわよ?どちらかが王位を継げば、かなり王国も良くなると思うしぃ?」
アルマスはそんな事はあり得ないと鼻で笑うが、俺はアレクセイさんの言う通りだと思った。
たしかにブローノ王子以外はマトモではない……けど、悪い人達では無いし、何よりも優しい人達だ。
その中にはネリー王女も含まれている……シャルちゃん王女は流石に厳しいかも知れないけど、この国の王族は信頼している。
「……ただ今は孝志ちゃんを護らないとねぇ?あのティタノマキアと第三王女は危険よ……全知全能は厄介だから、直ぐにでも逃げないとダメねぇ~」
「うん、そうしましょう──でも弘子の城にも今は行けないし……どこに逃げれば良いのかしら?」
そうか……アレクセイさん、おばあちゃんの城が何者かに襲撃されたから、しばらくは帰らない方がいいって寝る前に話してくれたっけな。
いやそもそも逃れられんのか?
「逃げると言っても何処へ逃げんのよ?全知全能とか訳分からんチートスキル持ってんだろ?それ使われると逃げ場がないじゃん……第一、俺達がこんな会話をしてることもバレてんじゃないのか?」
それが疑問だった。だが意外にもアレクセイさんは冷静だ──その理由が今から明かされる。
「……恐らく、そのアダムと第三王女が使う【全知全能】は名前負けした不完全なモノよ」
「え……?不完全?」
「私くらいに長生きしてると、色んな知識が身につくんだけど……話を聞く限り、あの二人が使う全知全能には効果の発揮する条件があるわ」
……条件か……それって何だろう?俺は黙ってアレクセイさんの話に耳を傾ける。
「彼女等のスキルは、知りたいと思った事象を無条件で読む事ができないの。だから全く予想も出来ない、なんのヒントも無いような物を探すことも出来ない──それに加えて同じ能力者同士の思考は読み取れないわ。だから孝志ちゃんは大丈夫なの……ま、私とアルマスの思考を読まれたらマズイけど、第三王女は私たちを知らないし、直ぐにどうこうと言う話にはならないと思うの」
……そうだよな?アレクセイさんに気付かない位だし、全知全能と呼べるほど万能という感じでも無さそうだ。でもそうなって来ると問題なのがアダムだ……アイツには全部聞かれてそうだけど?なんせ俺だしな。
「それってアダムに聞かれたらどうしようも無いですよね?」
「あん、その辺も大丈夫よ?今回、孝志ちゃんの身体を乗っ取るのにも相当無茶をしたみたいだし、しばらくは出て来れないと言ってたわよ?表に出て来れなければ、幾ら凄いスキルを持ってても怖くないわ」
「そうですか……じゃあ本当に、シャルちゃんから逃ればどうにかなるんですね?」
だけどアレクセイさんはこの問いに渋い顔を見せる。
「でもね~?何処へ行けば良いのかしらねぇ~?出来れば弘子のところに行きたいけど、彼女の周りも安全じゃないし……」
「大丈夫ですよ」
「え……?」
俺にはアテがあった。
今から俺は王国を裏切る事になる。だからこそ最適な逃げ場所がある。裏切り者には裏切り者を当てれば良いだけの話だ。
そう、頼れるのは同じ裏切り者という立場の……あの若干ナルシストの入った最強のおっさんだ。
しかし、今はそれも後回しだ。
これも大事な話で間違いないけど、今は何より最優先にしなくてはダメな目的がある。
「……とりあえずアレクセイさん、早くテレサのところへ行きましょう。あまり待たせたくありません」
「分かったわ。私たちは近付けないから、少しだけ離れたところで待ってるわね?」
こうして三人はテレサの元へと向かった。
「ねぇ、もう一回だけペロってして良い?なんか頭がさっきからガンガンしてるのよ……」
「………中毒症状出てんじゃんか」
普通にこえーよ……
もしかして俺の皮膚からそういう成分出てる?
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