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しおりを挟むフェリクスの部屋は先程までいた部屋よりも狭かった。
(僕的にはこっちの方がなんだか落ち着くな)
前世の部屋よりは少し広めだが、王族という割には質素な部屋で落ち着いた雰囲気を感じた。あんなに我儘で横暴な人間なのにね。
「もう休むから他のことをやりに行っていいよ」
「畏まりました。ごゆっくりお休み下さい」
「うん。おやすみ………………さて」
1人になったところでフェリクスというキャラクターについて思い出そう。
名前はフェリクス・エリューベル。この国の第4王子でこのキャラクターは物語の中盤あたりで主人公たちの敵として登場する。そしてアレクシスに倒される。
フェリクスが周りの人達から嫌われている理由は我儘で横暴な人間だからというのもあるが、最初からこんな性格だったわけではない。もともとは気弱な性格だった。これは物語の中では登場しなかった情報で、フェリクスに転生したからわかること。
フェリクスの記憶をたどってみると、最初はなぜ自分が嫌われているのかがわからず周りの人間に好かれようと努力していた。しかしある時兄たちに言われてわかった。自分の見た目が家族と違っているから嫌われているということを。
改めて説明すると、この国の王族は代々赤髪が産まれてくる。フェリクスの髪色はホワイトピンク。王家に嫁いで来るもの以外では、フェリクスだけが違う髪色なのだ。
それが原因でフェリクスの母親は不貞を疑われた。幸いなのは王に一番寵愛されていたため処刑は免れたことだ。だが母親は精神を病んでしまい、部屋から出ることができなくなってしまった。
最初は悲しさと申し訳なさで部屋に閉じこもっていたフェリクスだったが、次第に何故という疑問に変わってきた。何故髪の色が違うだけでこんなに嫌われなければいけないのかと。
その日からフェリクスは周りの人間に好かれる努力をやめた。そして我儘ですぐ癇癪をおこすようになった。そうすると周りの人間が構ってくれることに気づいたから。
『こんな簡単に周りの人が僕を見てくれる!嬉しい!』
こんな感じで我儘で横暴なフェリクスが出来上がったのだ。
次は何故敵として物語に登場したのかということについてだが、主人公たちのラスボスは魔王だ。聖女と呼ばれる人間を中心としたパーティーを組み、魔王を倒すという王道物語。当然魔族も存在する。その魔族に唆され、フェリクスは敵となった。簡単に整理するとこんな感じ。
(魔族の仲間にならなければ殺されることは無いのだろうけど、物語には強制力というものがあるかもしれないから……)
だから僕は何もしない。どのような結末になろうと受け入れる。そう決めたのだ。
(考えすぎて頭が疲れた…そろそろ休むか)
そうして僕は少し広めのベットに入り、意識はゆるやかに闇へと溶けていった。
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