精一杯のエゴイスト

宮内

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「遅れてごめん。」
「全然、大丈夫。久しぶりに駅ビル見てた。」
「いいものあった?」
なぜか恥ずかしくてスカートの事が言ええず、若いねとごまかしてしまった。うっかりそこで立ち話を始めそうになる私を和泉は促した。
「行こう。もう待っているはずだから。」
待っている?誰が?今日は二人じゃないの?久しぶりに気心知れた友人に会えた楽しさが困惑に変わった。
状況把握ができないまま促されるお店の方に進んだ。店は駅から少し離れた歓楽街にある、和風のダイニングバーで金曜日ということもあり店内は賑わっていた。和泉は店内を見まわし、目当ての人物を見つけて手を挙げ、進んでいった。
そこには、私たちと年の変わらない三十代前半の爽やかな男性がワイシャツノーネクタイ姿で二人座っていた。店に着くまでに、前からいいかなと思っていた人にやっと声をかけられて今日に至ること簡略的に聞いた。その程度の話なら近場の知り合いを誘ってほしい。うっかりそう漏らした私をまじまじと見つめ
「結構、本気なのよ。信用できない人を誘ってうっかり持って行かれたらどうするのよ。」
背丈こそ同じぐらいだが、色白で柔らかい雰囲気の彼女は言われなければ二十代半ばぐらいに見える。少し明るめの胸元までの髪をハーフアップにして毛先を巻いていた。すっきりした、うすいいブルーの細身のシャツに白のパンツ。露出は少ないが色白さも手伝って実に女性らしい雰囲気だった。対する私は、緩く結んだ髪は美容院までの限界を間近に控えた感じだし、二年目の白のカットソーに先ほど買ったスカート。せめて化粧ぐらい治したいと途中のトイレで大急ぎで化粧直しをした。その間にも、和泉の意中の人の情報を聞きながら釘を刺される
「よく、こんな好条件な上に私の好みのタイプの人が残っていてくれたと思うの。佐和とは好みが違うから、ないとは思うけど、岡山さんだけは譲れないから。」
珍しくギラギラと力む和泉に、何の説明もなしに他人を呼んだ飲み会にまずむっとしていた私は
「相手が私を選ぶって選択肢はないわけ?」
とちょっと意地悪に聞いてみると私を上から下まで一瞥したのちに、
「ないこともないか。」
正直さや率直さは彼女の好ましい魅力の一つだが、まったく失礼な奴だ。
「相変わらず、正直ね。」
笑うと
「佐和は、自分を解放した方がいい。大学生の頃のあなたはこの上なく魅力的だった。今も人としては十二分に魅力的だけど、女はちょっと休憩長すぎなんじゃない?」
十五年近くの付き合い。彼女の言葉はずっしり響いた。私の中の恋愛女子は四年前でストップしている。
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