精一杯のエゴイスト

宮内

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 席に着くと、和泉のお目当ての岡山さんがすぐに
「お疲れ様。店すぐわかった?」
爽やかなのに少しワイルドな感じのいかにも、モテそうなイケメンでまさしく和泉の好みど真ん中だった。
「大丈夫でした。お待たせしてしまってごめんなさい。」
和泉が少しおもねって話しかけながら座る。
「全然。お疲れ様。ごめん待てなくて先に飲んじゃった。」
「全然です。」
「とりあえず何飲む?」
和泉は彼らの飲み物を眺めてから
「どうする?ビールでいい?」
普段は一杯目から焼酎なのに。これは本気なんだろうか。そんなことを考えながらうなずいた。
「じゃあ。ビールで。」
「了解。食べ物あんまり頼んでないから、頼もうよ。」
そう言いながら彼は店員を呼びつつ私たちにメニューを差し出した。和泉は私との間にメニューを置きながら、目新し創作メニューをさして
「これとかどう?」
私は、正直なんでもよかった。だし巻き卵と焼き鳥で飲めるのだ。私たち二人は学生の頃からお酒が強い方で、いつも最後まで酔わずに残るタイプだった。店員に私たちのビールと自分たちのビールそして和泉が選んだかわいらしい名前の料理を注文した彼はこちらに向いてにこりと笑い
「飲み物も来てないけど自己紹介しますか。」
と続けた。その言葉に和泉はうなずき、私は遠くに彼をみた。
爽やかなイケメンは岡山基樹と名乗り、勤務先の地方に少ない超大手企業に勤務していること。私達より2歳上であることを告げた。そして、隣の男に体を向けた。会社の同期だと紹介された隣の男は岡山さんとは違い、快活さはないが、岡山さんよりも線の細い優男でさらさらと長めの前髪をわずらわしそうにかきあげながら、名前を告げた。仕事の時は別として、私はコンパや飲み会の自己紹介の雰囲気が苦手だ。こんな気まずい沈黙ならふらっと話しかけられた隣の席のサラリーマンにしょうもない相槌を打つ方がずっと気楽だ。しかし、隣のやる気の同級生はたびたびうなずきながら話を聞き意気揚々と自己紹介を始めた。そして、私のやる気のなさを察したのか私の自己紹介もしてくれたので「こんばんは。」とだけ頭を下げた。私は仕事以外では決して愛想のよいほうではない。対して、和泉はニコニコかわいらしく笑いながら相槌や質問をして会話を盛り上げていた。私って、本日の引き立て役にまさにぴったり。そこまで和泉がねらったのかはわからないが本当に適役だった。そう思うと急におかしくなり、届いたビールをグイグイあおりあっという間に飲み干して二杯目を頼んだ。
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