根雪の証

宮内

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 気がつけば朝になっており、いつの間にか夫は寝室からいなくなっていた。
慌てて身支度を整え食卓に向かう。痛む下半身を庇いながら食堂に着くと既に夫は出かけた後であった。
義母に小言をいいただいた後、私は慌てて朝食を取りいつもの家政を行う。
 
ただの役目を果たした夜に過ぎなかったのだろう。
しかしその晩、夫は私に初めて土産を買って来た。
 
それは銀細工の髪留めで一粒の真珠がついている大ぶりなものであった。
髪が細く毛量も多くない私にはおおよそ似合わず、お礼を申し上げた後しばらく見つめていると
「気に入らないのか。」
と不機嫌そうに夫に尋ねられ慌てて
「そのようなことはございません。ありがとうございました。」
と腰を折り鏡台にしまった。
 
これまで夫が買ってくれた二つは不思議と私の好きな色だったりほしかったものだったが今日の髪飾りは全く違った。
 
それからまもなく夫の帰りが遅くなることや帰ってこない日が増えた。
かといって、私の生活はさして変わることもなく、義母の小言が増える位であった。
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