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八月『先生の匣庭』
その一
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「 、 」
誰だろう?
誰が、おれを呼んでいるのだろう?
「 、おはよう。 」
女の声だ。
優しくて、まあるい声だ。
頭がふわふわして、温かい。
「 、寝ぼけているの? 本当に朝が苦手なんだね」
頭を撫でられているのだろうか。
心地よくて目が開かない。
朝日みたいな光を感じるのに、瞼がぴったりくっついているみたいだ。
「眠い。まだ、もう少しだけ寝かせてよ」
口だけが動いた。
勝手に動いた。
おれが、女の人に駄々をこねている。
「仕方ないね。あと少しだけだけだよ?」
「はい、母様」
そこまで言ったところで、おれは目を覚ました。
*****
「結婚しよう」
三八は音音の両手を握りながら、語気に力を込めて言った。
「もうしておりますよ、みや様」
音音はそんな三八を前に、困ったように笑っている。
季節は夏真っ盛り。暑くなってきたのに合わせて、音音は豊かな黒髪を結い上げている。細い体には薄藍で染めた撫子柄の浴衣を纏っており、清涼な雰囲気を漂わせていた。
「先日の呉服屋はいい仕事をしてくれたものだな。見ろ唯助、この綽約多姿たる立ち姿。小生、胸がときめいて、今にも天に召し上げられそうだよ」
親馬鹿ならぬ夫馬鹿。愛妻家の三八は常から妻を褒めに褒めまくる男だが、今日は特に大盤振舞だ。蛇の腹のような生白いその顔には季節外れの桃の花が咲いていた。
「綺麗ですよ、姐さん。すごく似合ってます」
「もう、唯助さんまで」
音音は恥ずかしそうに頬を染めていた。三八の表現はいちいち大袈裟だが、三八に褒めちぎられて照れている音音は、年上とは思えないほど幼げに映る。年上に対して正しい物言いかは分からないが、唯助は可愛い人だなぁ、などと密かに思っていた。
「それにしても、唯助。君は本当にその色でよかったのかい? たまには他の色を着てみればいいのに」
三八は唯助が纏う萌木色の浴衣を見ながら言った。いつものごとく裾はからげて、腕はむき出し。普段と代わり映えのない姿だ。
「せっかく新しい着物を買っても、君はいつも同じような色を選ぶね。もっとこう、気分を変えようなどとは思わないのか?」
「そうは言われましても、この色が一番落ち着くんです。小さい頃からこうでしたから、なんというか抜け出しにくいと言いますか」
「ほぉん。そんなものかね」
「だいたい、旦那だって藍色から抜け出せないじゃないですか。普段の袴も藍染め、寝間着すら藍染めで」
「君よりはマシだと思うがなぁ」
そう反論する三八の浴衣は青藍である。
「藍とひと口に言っても、藍白も青藍も色味が全然違うだろう? 藍色に偏っていると言われれば確かにそうだが、小生にだってこだわりはあるんだぞ。江都ではなにより、藍を着こなすのが粋とされていたそうじゃないか」
「要するに、おれの黄緑への固執と、旦那の藍色へのこだわりは毛色が違うって言いたいんですね」
「そういうことだ」
遠回しに小馬鹿にされているようにも感じるが、しかしさすがは三八の目だ。ただ萌木色に固執しているという言葉は、残念ながら唯助には否定できない。あの前髪の向こう側からよくよく見抜いている。
「さて、そろそろ出ようか。唯助も音音も、栞は持ったね?」
「はい、紐もちゃんと髪に括りつけてます」
「わたくしもしかと持っておりますよ」
「よしよし。では参ろうか!」
三八が七本屋の硝子戸をガラリと開け放つと、既に町中を賑わせていた祭囃子が、夜の熱気と共に流れ込んできた。
*****
一万人にも届くと言われる商人の町民たちによる『棚葉例大祭』。この町で最も大きな社を構える棚葉神社に祀られた商売の神に、舞や酒を捧げ、町をおしてもてなすのである。
だが、子供たちにとっては年に一度の楽しい行事。提灯が赤々と灯る道のどこを見ても、その視界には親と手を繋ぐ子供の姿が映る。
その子供たちの群れには、子供とも大人ともつかない唯助もまた、紛れこんでいた。
「兄ちゃん、へったくそ~!」
「また破けてやんの~!」
「うるせぇ! 次はぜってー取ってやるからな!」
唯助が手に持っている破けたポイは既に五枚目、しかし手にした椀の中には金魚一匹いやしなかった。対して、周りにいる子供たちが持つ缶の中には平均して三、四匹。中には七匹すくっている子供もいる。
「なんだよこれ、和紙じゃ水に入れただけで破けちゃうじゃんか! なんで網も使わねえですくえるんだよ、お前ら」
「ちゃんと上手くすくうコツがあるんですよ、唯助さん」
子供から散々馬鹿にされ、ムキになっている唯助に、横から音音が声をかける。音音は店の親父に銭を支払うと、真新しいポイをそっと水に潜らせた。
「こうやって、水面と平行になるように差し込むんです。初めはいっぺんに狙うのではなく、一匹だけに狙いを定めてから……」
音音がそっと水から引き揚げると、子供の小指ほどの金魚が和紙の上に乗っている。金魚が暴れる前にさっさと椀に滑り落とし、またすくっては滑り落としを繰り返す。その一連の動きの滑らかさは、明らかに玄人のものであった。
「その手際、よく見たら七本さんちの奥さんじゃねえか! 去年よりますます別嬪になってたもんだから、誰だか分からなかったぜ!」
「相変わらず褒め上手ですのね。金魚屋の小野島さん」
「おっちゃん! おれももう一回やらせろよ! おれのほうが姉ちゃんよりもっとでけえやつすくえるんだぞ!」
「おいらも! おいらは二匹同時にすくえるんだからな!」
「おうおう、坊主ども。このお姉ちゃんに簡単に勝てると思うなよ? こんな可愛い顔して、手練だからな!」
親父の挑発に乗せられた子供たちが次々に音音に挑もうと押しかける。雑魚の唯助はどかどかと押しのけられ、「どわっ、ったァ!?」と尻餅をついても子供たちはお構いなしだった。
「ははは、舐められちゃったなぁ、唯助」
その様子を後ろから見ていた三八が、唯助の腕を引いて立ち上がらせる。子供たちから馬鹿にされ早々に眼中から外された唯助はぶすっとしていた。
「なんだい、金魚をすくうなんてことで熱くなりやがって。ふーんだ」
「そういじけるなよ。ほれ、冷たいラムネでもどうだい」
「いただきます」
随分長く氷水で冷やされていたのだろうか、開栓して初めに感じたのはキンキンに冷え切った甘味。ふた口ほどに分けて飲めば、刺激が喉を焼いていく。びいどろからのかすかな甘味が舌でぴりぴり弾けて、面白くない気持ちは爽やかに溶けた。ぷは、と息を吐いて、唯助は背中にあった電柱に少しばかり寄りかかった。
「どうかな? 久々の祭は」
「楽しいです。思う存分子供に戻れて」
十八にもなった唯助が近所の子供に混じってはしゃいでいたのは、それがあまりにも久しぶりだったからだ。
というのも、唯助はお堅い柔術一家の教育方針で、十の時を最後に祭にもぱったり行けなくなってしまった。柔術の修行に専念するための方策だが、当時の唯助は退屈で仕方がなかった。気持ちを同じくした双子の兄と共に影でぶうぶう文句を垂れていたものだ。
「音音もね、君と同じであまり思うようにできなかった時期があったのだ。初めて二人で祭に行った時の音音も、今の君のようにはしゃいでいた。特に金魚すくいにハマってしまってな、毎年通い続けていたらあんなに上達してしまった」
三八が吸っていた煙草で示したその先には、夢中で子供たちと戯れる音音の姿がある。
「嘘だろ! なんで破けたのにすくえてるの!?」
「姉ちゃんすっげー! もう十三匹じゃん!」
なにやら音音は破けたポイの枠で金魚をすくうという離れ業まで披露しているらしく、その勢いたるや子供たちの猛攻をしてでも食い止められないようであった。
ふと隣に三八を見れば、子供たちとけらけら笑っている音音を愛おしそうに見つめている。その眼差しは嫁というより、娘に対して向けているもののようにも唯助には見えた。
「楽しむといい。次は射的屋にでも行こうじゃないか。こう見えて小生、射的は得意だぞ」
「それ、今度は旦那にボコボコにされる展開じゃないですか?」
「いやいや、分からんぞ。もしかしたら、君には射的の秘めた才能があるのかも、なんてことにもなるやもしれん」
「射的かぁ。もうずうっとやってないですね」
唯助が思い出せる射的の記憶は、今から八年ほど前に遡る。
当時、唯助――夏目唯助は十歳。幼少期最後の夏祭りであった。
コルクを詰めた空気銃を覚束無い手で構えながら、身の丈に合わない大きな景品を狙って大外しし、悔しがっていた。その隣には瓜二つの兄もいて、揃って躍起になっていて。結局、一番小さい的を落とし、引き換えに玩具をもらった。家に帰ってから遊んでみたところ、子供だましのような玩具はすぐに壊れて「なんだ、つまらねえ」とがっかりして。あれだけ躍起になっていたのが馬鹿みたいで、しまいにはおかしくて笑っていた気がする。
(……世助、今頃なにしてんのかな)
別れてから一年も経っていないのに、唯助は兄がずいぶん昔に遠ざかってしまったように思えた。なんとなく手を伸ばしても、届かないその距離を知って手を下ろすような、そんなイメージだ。
菜摘芽唯助となった今となってはつらいと思わないが、このイメージはきっと一生付きまとうのだろうなと、唯助は焦げた匂いの夜風に撫でられながら思った。
*****
音音が金魚すくいに満足するまで三八と唯助は焼きとうもろこしにかじりつき、その後は射的屋へ向かった。意外と大人もちらほら混じっている。
「やあやあ、ご主人。一年ぶりだね、元気かな」
「げ、七本屋の」
「おお、双撃ちの七本じゃねえか!」
「なんだその二つ名!?」
またも唯助は蚊帳の外にされ、射的屋の客は三八をぞろぞろと取り囲む。中心の三八は歓声を浴びて、ふふんと得意げに胸を張っている。唯一渋い顔をしているのは射的屋の店主であった。
「お前さんが来ると的が全部消えちまうんだよ」
「だから気を遣って終盤に来ているんだ。今年も全て撃ち落とさせてもらうつもりなのでな」
「けっ!」
「いいぞ、やれやれ! 全部撃ち落とせ! 皆、銃にどんどん弾ぁ詰めろ!」
両手に銃を構えた三八を取り囲む男たちは三八の代わりに弾を装填している。装填のたびにいちいち銃を手放す手間を、観衆が積極的になって省いているのだ。いい大人が年甲斐もなく遊びに本気になっているものだから、唯助は呆然としていた。
「……姐さん。あれはいっつもああなんですか?」
「いっつもです。弾代は残っている的の数だけ先にお支払いして、的を全て撃ち落としたあとで足りない額をやり取りしております」
「……弾代を追加で支払ったことは?」
「五回祭に参加しておりますが、一度しか見たことがありませんね」
「化け物かよ」
見れば、一番外側にいる観衆などは賭けを始めている。どうやら、今年は何発で全ての的を撃ち落とすか、その弾数を予想しているらしい。
「まあいい。今年はお前さんの前にもう一人、腕のいい兄ちゃんが来たからな。半分くらい撃ち落としてったから、お前の取り分も今年はどうしたって半分さ」
「おや、小生の他にも猛者がいたのか。ぜひお目にかかりたいものだな。さぁさ、皆の衆! 賭け金は用意できたかな! 子供たちは目当ての品を決めておけよ!」
周りを盛り上げつつ、三八は次々に両手の空気銃から発砲し、リズミカルに的を落としていく。周りの男たちがへいへいと声を発しながら次々に三八に装填済みの銃を手渡し、空銃はすぐさま装填され、再びリレー方式で三八に手渡されていく。その流れの鮮やかさと来たら、一種の大道芸を見ている気分であった。
「……三十二発! 合計三十二発で決着だぁ!」
男たちの歓声が響く中、唯助は(祭ってこんな賭場みたいな場所だったっけ?)と戦況を見守っていた。三八は一発も外すことなく、どころかふたつの的を同時に落とすという絶技まで発動している。ひょっとして禁書の力でも使ってズルをしているのではないかと唯助は疑ったが、仮に本当にズルをしていてそれを指摘したとしても詮無きことであろうと唯助は黙っていた。
「いやぁ、スッキリした。やはり祭遊びはこれに限るなぁ」
「お見事でございました、みや様」
三八は爽やかに汗などかいており、音音が甲斐甲斐しくそれを手ぬぐいで拭いている。年甲斐のない大人たちの楽しみよう、傍で見ている子供たちの冷静な目、これではどっちが子供なのか分からなかった。
「旦那ぁ、次は占い屋に連れてってくれるんでしょ。早く行かないと回りきれませんよ」
唯助が意を決して輪の中に入ると、三八と共にその中心にいた射的屋の店主が、唯助を見るなり声を上げた。
「おい、七本! その兄ちゃん、お前さんの連れだったのかよ!」
「へっ?」
「ったく、そうと分かってりゃ、こっちもあの時仕掛けられたってのに! ちくしょう!」
大いに悔いる店主が、なぜそこまで大いに悔いているのか、唯助には分からない。三八も音音と顔を見合わせて首を傾げている。
「おいおい、主人。見間違いではないか? この子はずっと小生のそばにいた。貴方の射的屋には行ってないはずだぞ」
「そんなはずはねえ! そんな茶色くて目立つ髪を見間違うわけがねえだろ。髪だけじゃなくて、顔つきだって全く同じだ」
「けれど、わたくしたちはここを通りかかってさえおりませんわ。そっくりな方と間違われているのでは? ………あっ」
音音は言っている間に気づいたらしい。三八は当然ながら既に気づいている。そして、唯助自身も――まさかとは思いつつも、そうとしか思えないことに気づいていた。
「ご主人、よく思い出してはくれないか? この子にそっくりだというその少年、服装はどうだった?」
「……そういや、さっき来た時の兄ちゃんは紫色の浴衣だったような。着替えたのかい?」
「いや、着替えていない。出かけた時からこの子は萌木色の浴衣だ」
「えぇ!? じゃあお兄ちゃんたちは……」
観衆から一斉に注目を浴びた唯助は、店主の言葉に頷きながら答えた。
「紫色の浴衣を着ていたんでしょう? なら間違いない。その人はきっと、おれの双子の兄貴です」
*****
唯助が萌木色になんとなく執着するのには理由があった。それは彼と瓜二つの少年が今もなお紫色の浴衣を着ているのと、恐らく同じ理由。
瓜二つの双子を見分けるための方法として一番わかりやすいのは、服の色。近しいものでも間違うほど似ていた二人は、人前では必ず決まった色を纏うようにしていた。それが弟・唯助と、今この町のどこかにいるであろう兄・世助が今も尚、特定の色に執着している理由。
なんてことはない。ただ、その色に昔から馴染みすぎたせいで、その色でないと落ち着かないだけだ。
唯助にとってはそんなことなどどうでも良い。
祭などに参加できないはずの世助が、なぜこんなところにいる?
唯助は夏目家と縁が切れて、自由になったからここにいる。しかし、後継争いに勝って家に残ったはずの世助は、こんなところにいられるわけがないのだ。あのお堅い夏目家のことだ、道場の師範となる身である世助の道楽を許すなんてありえない。
まさか、世助も夏目家と縁を切ったのか?
だとしたらなぜ?
将来を約束された師範代の座を、なぜ降りている?
唯助は胸騒ぎがして仕方がなかった。町を走り抜けるぬるい風が、毛穴の奥まで撫でてくるように気持ち悪かった。
誰だろう?
誰が、おれを呼んでいるのだろう?
「 、おはよう。 」
女の声だ。
優しくて、まあるい声だ。
頭がふわふわして、温かい。
「 、寝ぼけているの? 本当に朝が苦手なんだね」
頭を撫でられているのだろうか。
心地よくて目が開かない。
朝日みたいな光を感じるのに、瞼がぴったりくっついているみたいだ。
「眠い。まだ、もう少しだけ寝かせてよ」
口だけが動いた。
勝手に動いた。
おれが、女の人に駄々をこねている。
「仕方ないね。あと少しだけだけだよ?」
「はい、母様」
そこまで言ったところで、おれは目を覚ました。
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「結婚しよう」
三八は音音の両手を握りながら、語気に力を込めて言った。
「もうしておりますよ、みや様」
音音はそんな三八を前に、困ったように笑っている。
季節は夏真っ盛り。暑くなってきたのに合わせて、音音は豊かな黒髪を結い上げている。細い体には薄藍で染めた撫子柄の浴衣を纏っており、清涼な雰囲気を漂わせていた。
「先日の呉服屋はいい仕事をしてくれたものだな。見ろ唯助、この綽約多姿たる立ち姿。小生、胸がときめいて、今にも天に召し上げられそうだよ」
親馬鹿ならぬ夫馬鹿。愛妻家の三八は常から妻を褒めに褒めまくる男だが、今日は特に大盤振舞だ。蛇の腹のような生白いその顔には季節外れの桃の花が咲いていた。
「綺麗ですよ、姐さん。すごく似合ってます」
「もう、唯助さんまで」
音音は恥ずかしそうに頬を染めていた。三八の表現はいちいち大袈裟だが、三八に褒めちぎられて照れている音音は、年上とは思えないほど幼げに映る。年上に対して正しい物言いかは分からないが、唯助は可愛い人だなぁ、などと密かに思っていた。
「それにしても、唯助。君は本当にその色でよかったのかい? たまには他の色を着てみればいいのに」
三八は唯助が纏う萌木色の浴衣を見ながら言った。いつものごとく裾はからげて、腕はむき出し。普段と代わり映えのない姿だ。
「せっかく新しい着物を買っても、君はいつも同じような色を選ぶね。もっとこう、気分を変えようなどとは思わないのか?」
「そうは言われましても、この色が一番落ち着くんです。小さい頃からこうでしたから、なんというか抜け出しにくいと言いますか」
「ほぉん。そんなものかね」
「だいたい、旦那だって藍色から抜け出せないじゃないですか。普段の袴も藍染め、寝間着すら藍染めで」
「君よりはマシだと思うがなぁ」
そう反論する三八の浴衣は青藍である。
「藍とひと口に言っても、藍白も青藍も色味が全然違うだろう? 藍色に偏っていると言われれば確かにそうだが、小生にだってこだわりはあるんだぞ。江都ではなにより、藍を着こなすのが粋とされていたそうじゃないか」
「要するに、おれの黄緑への固執と、旦那の藍色へのこだわりは毛色が違うって言いたいんですね」
「そういうことだ」
遠回しに小馬鹿にされているようにも感じるが、しかしさすがは三八の目だ。ただ萌木色に固執しているという言葉は、残念ながら唯助には否定できない。あの前髪の向こう側からよくよく見抜いている。
「さて、そろそろ出ようか。唯助も音音も、栞は持ったね?」
「はい、紐もちゃんと髪に括りつけてます」
「わたくしもしかと持っておりますよ」
「よしよし。では参ろうか!」
三八が七本屋の硝子戸をガラリと開け放つと、既に町中を賑わせていた祭囃子が、夜の熱気と共に流れ込んできた。
*****
一万人にも届くと言われる商人の町民たちによる『棚葉例大祭』。この町で最も大きな社を構える棚葉神社に祀られた商売の神に、舞や酒を捧げ、町をおしてもてなすのである。
だが、子供たちにとっては年に一度の楽しい行事。提灯が赤々と灯る道のどこを見ても、その視界には親と手を繋ぐ子供の姿が映る。
その子供たちの群れには、子供とも大人ともつかない唯助もまた、紛れこんでいた。
「兄ちゃん、へったくそ~!」
「また破けてやんの~!」
「うるせぇ! 次はぜってー取ってやるからな!」
唯助が手に持っている破けたポイは既に五枚目、しかし手にした椀の中には金魚一匹いやしなかった。対して、周りにいる子供たちが持つ缶の中には平均して三、四匹。中には七匹すくっている子供もいる。
「なんだよこれ、和紙じゃ水に入れただけで破けちゃうじゃんか! なんで網も使わねえですくえるんだよ、お前ら」
「ちゃんと上手くすくうコツがあるんですよ、唯助さん」
子供から散々馬鹿にされ、ムキになっている唯助に、横から音音が声をかける。音音は店の親父に銭を支払うと、真新しいポイをそっと水に潜らせた。
「こうやって、水面と平行になるように差し込むんです。初めはいっぺんに狙うのではなく、一匹だけに狙いを定めてから……」
音音がそっと水から引き揚げると、子供の小指ほどの金魚が和紙の上に乗っている。金魚が暴れる前にさっさと椀に滑り落とし、またすくっては滑り落としを繰り返す。その一連の動きの滑らかさは、明らかに玄人のものであった。
「その手際、よく見たら七本さんちの奥さんじゃねえか! 去年よりますます別嬪になってたもんだから、誰だか分からなかったぜ!」
「相変わらず褒め上手ですのね。金魚屋の小野島さん」
「おっちゃん! おれももう一回やらせろよ! おれのほうが姉ちゃんよりもっとでけえやつすくえるんだぞ!」
「おいらも! おいらは二匹同時にすくえるんだからな!」
「おうおう、坊主ども。このお姉ちゃんに簡単に勝てると思うなよ? こんな可愛い顔して、手練だからな!」
親父の挑発に乗せられた子供たちが次々に音音に挑もうと押しかける。雑魚の唯助はどかどかと押しのけられ、「どわっ、ったァ!?」と尻餅をついても子供たちはお構いなしだった。
「ははは、舐められちゃったなぁ、唯助」
その様子を後ろから見ていた三八が、唯助の腕を引いて立ち上がらせる。子供たちから馬鹿にされ早々に眼中から外された唯助はぶすっとしていた。
「なんだい、金魚をすくうなんてことで熱くなりやがって。ふーんだ」
「そういじけるなよ。ほれ、冷たいラムネでもどうだい」
「いただきます」
随分長く氷水で冷やされていたのだろうか、開栓して初めに感じたのはキンキンに冷え切った甘味。ふた口ほどに分けて飲めば、刺激が喉を焼いていく。びいどろからのかすかな甘味が舌でぴりぴり弾けて、面白くない気持ちは爽やかに溶けた。ぷは、と息を吐いて、唯助は背中にあった電柱に少しばかり寄りかかった。
「どうかな? 久々の祭は」
「楽しいです。思う存分子供に戻れて」
十八にもなった唯助が近所の子供に混じってはしゃいでいたのは、それがあまりにも久しぶりだったからだ。
というのも、唯助はお堅い柔術一家の教育方針で、十の時を最後に祭にもぱったり行けなくなってしまった。柔術の修行に専念するための方策だが、当時の唯助は退屈で仕方がなかった。気持ちを同じくした双子の兄と共に影でぶうぶう文句を垂れていたものだ。
「音音もね、君と同じであまり思うようにできなかった時期があったのだ。初めて二人で祭に行った時の音音も、今の君のようにはしゃいでいた。特に金魚すくいにハマってしまってな、毎年通い続けていたらあんなに上達してしまった」
三八が吸っていた煙草で示したその先には、夢中で子供たちと戯れる音音の姿がある。
「嘘だろ! なんで破けたのにすくえてるの!?」
「姉ちゃんすっげー! もう十三匹じゃん!」
なにやら音音は破けたポイの枠で金魚をすくうという離れ業まで披露しているらしく、その勢いたるや子供たちの猛攻をしてでも食い止められないようであった。
ふと隣に三八を見れば、子供たちとけらけら笑っている音音を愛おしそうに見つめている。その眼差しは嫁というより、娘に対して向けているもののようにも唯助には見えた。
「楽しむといい。次は射的屋にでも行こうじゃないか。こう見えて小生、射的は得意だぞ」
「それ、今度は旦那にボコボコにされる展開じゃないですか?」
「いやいや、分からんぞ。もしかしたら、君には射的の秘めた才能があるのかも、なんてことにもなるやもしれん」
「射的かぁ。もうずうっとやってないですね」
唯助が思い出せる射的の記憶は、今から八年ほど前に遡る。
当時、唯助――夏目唯助は十歳。幼少期最後の夏祭りであった。
コルクを詰めた空気銃を覚束無い手で構えながら、身の丈に合わない大きな景品を狙って大外しし、悔しがっていた。その隣には瓜二つの兄もいて、揃って躍起になっていて。結局、一番小さい的を落とし、引き換えに玩具をもらった。家に帰ってから遊んでみたところ、子供だましのような玩具はすぐに壊れて「なんだ、つまらねえ」とがっかりして。あれだけ躍起になっていたのが馬鹿みたいで、しまいにはおかしくて笑っていた気がする。
(……世助、今頃なにしてんのかな)
別れてから一年も経っていないのに、唯助は兄がずいぶん昔に遠ざかってしまったように思えた。なんとなく手を伸ばしても、届かないその距離を知って手を下ろすような、そんなイメージだ。
菜摘芽唯助となった今となってはつらいと思わないが、このイメージはきっと一生付きまとうのだろうなと、唯助は焦げた匂いの夜風に撫でられながら思った。
*****
音音が金魚すくいに満足するまで三八と唯助は焼きとうもろこしにかじりつき、その後は射的屋へ向かった。意外と大人もちらほら混じっている。
「やあやあ、ご主人。一年ぶりだね、元気かな」
「げ、七本屋の」
「おお、双撃ちの七本じゃねえか!」
「なんだその二つ名!?」
またも唯助は蚊帳の外にされ、射的屋の客は三八をぞろぞろと取り囲む。中心の三八は歓声を浴びて、ふふんと得意げに胸を張っている。唯一渋い顔をしているのは射的屋の店主であった。
「お前さんが来ると的が全部消えちまうんだよ」
「だから気を遣って終盤に来ているんだ。今年も全て撃ち落とさせてもらうつもりなのでな」
「けっ!」
「いいぞ、やれやれ! 全部撃ち落とせ! 皆、銃にどんどん弾ぁ詰めろ!」
両手に銃を構えた三八を取り囲む男たちは三八の代わりに弾を装填している。装填のたびにいちいち銃を手放す手間を、観衆が積極的になって省いているのだ。いい大人が年甲斐もなく遊びに本気になっているものだから、唯助は呆然としていた。
「……姐さん。あれはいっつもああなんですか?」
「いっつもです。弾代は残っている的の数だけ先にお支払いして、的を全て撃ち落としたあとで足りない額をやり取りしております」
「……弾代を追加で支払ったことは?」
「五回祭に参加しておりますが、一度しか見たことがありませんね」
「化け物かよ」
見れば、一番外側にいる観衆などは賭けを始めている。どうやら、今年は何発で全ての的を撃ち落とすか、その弾数を予想しているらしい。
「まあいい。今年はお前さんの前にもう一人、腕のいい兄ちゃんが来たからな。半分くらい撃ち落としてったから、お前の取り分も今年はどうしたって半分さ」
「おや、小生の他にも猛者がいたのか。ぜひお目にかかりたいものだな。さぁさ、皆の衆! 賭け金は用意できたかな! 子供たちは目当ての品を決めておけよ!」
周りを盛り上げつつ、三八は次々に両手の空気銃から発砲し、リズミカルに的を落としていく。周りの男たちがへいへいと声を発しながら次々に三八に装填済みの銃を手渡し、空銃はすぐさま装填され、再びリレー方式で三八に手渡されていく。その流れの鮮やかさと来たら、一種の大道芸を見ている気分であった。
「……三十二発! 合計三十二発で決着だぁ!」
男たちの歓声が響く中、唯助は(祭ってこんな賭場みたいな場所だったっけ?)と戦況を見守っていた。三八は一発も外すことなく、どころかふたつの的を同時に落とすという絶技まで発動している。ひょっとして禁書の力でも使ってズルをしているのではないかと唯助は疑ったが、仮に本当にズルをしていてそれを指摘したとしても詮無きことであろうと唯助は黙っていた。
「いやぁ、スッキリした。やはり祭遊びはこれに限るなぁ」
「お見事でございました、みや様」
三八は爽やかに汗などかいており、音音が甲斐甲斐しくそれを手ぬぐいで拭いている。年甲斐のない大人たちの楽しみよう、傍で見ている子供たちの冷静な目、これではどっちが子供なのか分からなかった。
「旦那ぁ、次は占い屋に連れてってくれるんでしょ。早く行かないと回りきれませんよ」
唯助が意を決して輪の中に入ると、三八と共にその中心にいた射的屋の店主が、唯助を見るなり声を上げた。
「おい、七本! その兄ちゃん、お前さんの連れだったのかよ!」
「へっ?」
「ったく、そうと分かってりゃ、こっちもあの時仕掛けられたってのに! ちくしょう!」
大いに悔いる店主が、なぜそこまで大いに悔いているのか、唯助には分からない。三八も音音と顔を見合わせて首を傾げている。
「おいおい、主人。見間違いではないか? この子はずっと小生のそばにいた。貴方の射的屋には行ってないはずだぞ」
「そんなはずはねえ! そんな茶色くて目立つ髪を見間違うわけがねえだろ。髪だけじゃなくて、顔つきだって全く同じだ」
「けれど、わたくしたちはここを通りかかってさえおりませんわ。そっくりな方と間違われているのでは? ………あっ」
音音は言っている間に気づいたらしい。三八は当然ながら既に気づいている。そして、唯助自身も――まさかとは思いつつも、そうとしか思えないことに気づいていた。
「ご主人、よく思い出してはくれないか? この子にそっくりだというその少年、服装はどうだった?」
「……そういや、さっき来た時の兄ちゃんは紫色の浴衣だったような。着替えたのかい?」
「いや、着替えていない。出かけた時からこの子は萌木色の浴衣だ」
「えぇ!? じゃあお兄ちゃんたちは……」
観衆から一斉に注目を浴びた唯助は、店主の言葉に頷きながら答えた。
「紫色の浴衣を着ていたんでしょう? なら間違いない。その人はきっと、おれの双子の兄貴です」
*****
唯助が萌木色になんとなく執着するのには理由があった。それは彼と瓜二つの少年が今もなお紫色の浴衣を着ているのと、恐らく同じ理由。
瓜二つの双子を見分けるための方法として一番わかりやすいのは、服の色。近しいものでも間違うほど似ていた二人は、人前では必ず決まった色を纏うようにしていた。それが弟・唯助と、今この町のどこかにいるであろう兄・世助が今も尚、特定の色に執着している理由。
なんてことはない。ただ、その色に昔から馴染みすぎたせいで、その色でないと落ち着かないだけだ。
唯助にとってはそんなことなどどうでも良い。
祭などに参加できないはずの世助が、なぜこんなところにいる?
唯助は夏目家と縁が切れて、自由になったからここにいる。しかし、後継争いに勝って家に残ったはずの世助は、こんなところにいられるわけがないのだ。あのお堅い夏目家のことだ、道場の師範となる身である世助の道楽を許すなんてありえない。
まさか、世助も夏目家と縁を切ったのか?
だとしたらなぜ?
将来を約束された師範代の座を、なぜ降りている?
唯助は胸騒ぎがして仕方がなかった。町を走り抜けるぬるい風が、毛穴の奥まで撫でてくるように気持ち悪かった。
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