ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

朝の話

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「ねぇノア君。朝の話、あれどういう事?上層1階の池で鹿を狩ると良い。って話。」


「あぁ、練習するなら池とかの方が良いんですよ。まぁあくまで自分の経験での話ですが…」

現在ノアはクロラの弓の練習の為池の畔にいる。池の周囲を見回すとちらほら鹿を見掛けるのでクロラにいつも通りに狩って貰うよう促す。


「じゃあ、いくね。」

クロラが弓に矢を番える。対して鹿は周囲を見回しクロラがいる所とは反対の方を向いた時だった。

ヒュカッ!

クロラが放った矢は放物線を描いて飛び、鹿に当たる寸前で鹿が回避。そのまま林の中に逃げて行った。


「み、見ての通りです…」


クロラがノアから視線を反らして結果を報告してくる。
本人は恥ずかしそうにしているが狙いは良い。あのまま当たれば胴体に当たっていただろう。

「特におかしい所は無いですよ。狙いもしっかりしてましたし、後はどの頃合いで打つかですね。」

「頃合い?」

「クロラさんが矢を放った時鹿はこちらとは反対の方を向いてましたよね?
でもまだ鹿は警戒してる最中だったんですよ。なのでもう少し待った方が良いです。次はあちらの鹿を狙ってみましょう。」


そう言って先程鹿がいた所とは反対側に目を向けると別の鹿が来ていた。

先程同様、矢を番えようとしたクロラの手を取り一旦引き止める。


「今水辺に鹿が来ましたが少し待って下さい。まだ周囲を警戒しています。この状態だと小さな音にも敏感です。
周囲の確認を終えて水面に口を付けた所を狙いましょう…今です。」


ノアが肩を優しく叩く。それに合わせ、クロラが狙い、矢を放つ。

ヒュカッ!      ドッ!


見事矢が鹿の胴体に突き刺さり、鹿が倒れた。


「や、やった。やったよノアく

ヒュボッ!      ドッ!


クロラの矢が当たり、鹿が倒れた直後すぐに起き上がろうとした鹿にノアが矢を放つ。


「一撃で仕留めるのは難しいので直ぐ様2射目を射る癖をつけると良いですよ。」

「ご、ごめん。浮かれちゃって…」

「でもやっと笑顔見れたので良かったです。」

「はぅ。」


ノアがトドメ(?)をさした所で鹿の元へ向かう。

「今みたいに周囲の警戒を終えて油断した所を狙うと比較的楽にいきますよ。」

「こんなに上手くいくなんて…」

とクロラが感想をこぼしている所でもう1つノアから

「次はこちらから誘導してみましょう。弓の準備を。」

2人がいる所から少し離れた所に鹿が来たのでノアがクロラに準備を促す。


「鹿の動きを止めますので頭を狙って下さい。」

「え、止めるって…頭?」

ノアが足元の小さな石を拾い、指で弾く、こちらとは反対の草むらに落とし小さな石を音をたてる。
鹿の頭が上がり、音の方向に固定される。

ヒュカッ!    ドッ!

狙い違わず鹿の頭につ矢が突き立つ。鹿が倒れ込んだのを見たノアは

「そこで、すかさ

ヒュカッ!     ドッ!


倒れた鹿の首にクロラがすかさず2射目を打ち込む。

「これで良いんだよね?」

「お見事。この様な感じで誘導してやるのも手ですよ。」

仕留めた鹿の元に向かうとクロラがノアの手を掴み喜び跳ねる。

「やった!やったよノア君ありがとー!」


喜ぶクロラの元にニヤニヤ顔のロゼが近付いて来た。

「おーおー見せ付けてくれるねぇクロラっちぃ~」


「え?…あ!?違っ、これは嬉しくてつい!」

ロゼに言われて慌ててノアの手を離すクロラ。

「何て事言うのロゼ!」

ジト目のポーラが近付く。

「そ、そーよ。ロゼちゃ「あともう少しで嬉しさにかこつけたクロラが抱き付く所だったのに!」


「抱、しな!しない…よ!」

何か色々詰まったクロラにロゼとポーラが詰問する。

「おやおや言葉に詰まったのはどういう事かねぇ?」
「何を考えた、何を想像した。白状なさい。



2人からの尋問が始まり追い詰められるクロラを横目にジェイルがノアの所にやってくる。

「全く、女三人寄れば何とやらだな。すまないなノア君。練習に付き合って貰って。」

「いえいえこちらこそ。彼女が楽しくやれてる様で安心しました。」


一応用が済んだので地上に戻る準備を始める。
その動きを察して木陰で休んでいたレーヴァもノアの元に来る。
準備が完了したので地上への坂に向かおうとした所でクロラから呼び止められる。


「そうだ、ノア君。ギルドに行ったら冒険者カード貰えるよ!」


「あ、すっかり忘れてた。ありがとう!戻ったら取りに行くよ。」


クロラに手を振り帰路に就く。

(取り敢えずは解体依頼を出さないとな。)
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