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旅立ち~オードゥス出立まで
何故か薬草小屋
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街にいるノアはと言うと、ジョーの誘いで何故か薬草小屋に来ていた。
「何で薬草小屋に?」
「最近連戦続きで過労気味な上、<虫の知らせ>で妙な緊張状態が続いているノア君にぴったりの場所だよ!」
(薬草小屋だから…処方箋か何かかな…)
~10分後~
「あ~…ジョーさんこれは癒されますわ~」
ノアは薬草小屋の奥の部屋で装備を外して俯せに寝っ転がり、肩、背中、腰、両足に計5人の猫獣人によるマッサージ(脚でふみふみ)を受けていた。
「重くにゃいかにゃ?」
「重くにゃいです。(ノア)」
「おにーちゃん、足がゴチゴチですにゃ。」
「あー、通りでぇっ!さっきがらっ!痛っ!イダダッ!あだだだだっ!」
痛がるノアを見て店主(通称:ししょー)は指示を出す。
「それじゃ皆、ノア君の足を揉んで貰って良いかな?」
指示を受けた猫獣人達は一斉に足の各所を押し始め、その光景をししょーは眺めている。
ぐにぐにぐにぐにぐに 「いででっ!痛っ!」
「ここで働く猫獣人さん達の手はね、日頃から薬草を取り扱ってるからその手でツボを押されるだけで薬効が患部に染み込んでいくんだ。
どうだい?気持ちいいだろう。」
「見ての通りです…」
先程まで強張っていた顔が嘘の様に表情筋が緩みきった顔を晒している。
「うん、大体分かったよ。皆、手を止めて離れて頂戴。」
ししょーの指示で手を止め、ノアから離れる猫獣人達。
本音を言えばもう暫く施術を受けていたかったノアである。
ししょーはと言うと棚を開き、細く鋭い針を数本取り出す。
「あったあった。
坊や、この針は『針万坊』って魚のモノでね。
本来なら獲物を絡めとる際にツボに突き刺して動きを止めるって代物なんだが、ここではそれを鍼として利用してるのさ、動くんじゃないよ?」
トトトトトトトト!
ノアの足に次々と『針万坊』の針を刺していくししょー。
「んでもって…」
もふもふの手をぽむっと叩くと針がじんわりと温まり始める。
「針1本1本に『温度上昇』を付与してある。
ゆーっくり解していくと良いよ。」
すると音を立てない様に数人の猫獣人が撚り紐が付いた小皿を持って室内に入り、静かに火を着けるとふわりと香りが広がる。
(あー…良い香り…何の香りだっけ…柑き…)
「すやぁ…」
「いやー、ししょーすまないね、急な頼みを引き受けてくれて。」
「お前さんの頼みはいつも急だから構いやしないよ。
それにしても何だいこの子の体は、ギッシギシのゴッチゴチじゃないかい。」
ししょーは持っていた杖でノアの体をぐにぐにと押す。
その度寝ているノアが短い悲鳴を漏らす。
ししょーはノアが起きないギリギリの力でつついているだろうからとジョーも敢えて止めはしない。
「彼が噂の英雄さんさ。」
「ふむ、この子がねぇ…親御さんの教育の仕方が良いのか、しっかり体を作ってあるねぇ。
魔力の通りも良い、この子はまだまだ強くなれるよ。」
「本人は魔法を使った事は無いみたいだよ。」
「この恵体でかい?宝の持ち腐れじゃないか!」
「ししょー落ち着いて、本人が起きたら薦めてみるよ。」
「そうしな。今のご時世、強い味方は多いに越した事は無いだろう?」
「そう、ですね。」
「さて、お前さんもどうせ働き詰めだろう、ついでに施術してやるよ。」
「やったね。ししょーの施術は久しぶりだ!」
そうしてジョーもししょーによる施術が始まった。
「ふぁ~~~~~~よく寝たぁっ!」
死んだ様に眠っていたノアがゆっくりと上体を起こして伸びをする。
「本当によく寝てたねぇ。気分はどうだい?」
「久々にぐっすり寝れました、足が張ってた様な感覚もありませんし。」
「今日は足を重点的にやってあげたけど時々顔出しな。
坊やは歳の割にコリが酷いからね、他の部位もやってあげるよ。」
「ありがとうございます。」
ノアはまた少し伸びを行い、起き上がると外していた装備を装着してジョーと共に薬草小屋を出る。
通りに出ると既に辺りは暗くなっていた。
「僕はどれ位寝てましたか?」
「ざっと2時間って所だね。<虫の知らせ>はどうだい?」
「今は特に感じません。」
「<虫の知らせ>は自分の精神面や体調にも反応する時があるからね、長く続くようだったら今みたく気分転換してみると良い。」
「いやーとても癒されました。毎日来ます。」
「流石に毎日は来過ぎだよ…」
ノアとジョーが街の通りで会話を行っていた丁度その頃。
~ダンジョン下層最深部~
そこは強者しかいない階層。
下層1~4階で鎬を削った猛者達が最後に到達する場所。
今その階層を悠然と歩く1頭の『猪』がいる。
『猪』と言ったが、体高は人の2倍はあり、大木に体が軽く当たるだけで木の軋む音と木の表面がごりごりと削れる音が響く。
地面には泥濘んでもいないのに『猪』の足跡が深く残される。
それだけで『猪』の重量が見てとれる。
今『猪』の進行方向に『鹿』が草を食んでいる。
『鹿』と言ったが、頭には斧の様な角が生えている、但し大きさは人間大は軽くある。
『鹿』の脚は人間の胴体程の太さがあり、筋がくっきりと見える程の高密度の筋肉を搭載している。
両者の目が合う。
上層、中層であれば『猪』が軽く鳴けば『鹿』は一目散に逃げ出す。
但しこの『鹿』は違う、『猪』をじっと睨んだ後鼻を鳴らしてまた草を食み始めた。
その態度が気に入らないのであろう。
『猪』、この階層では『暴走猪』と言う名のモンスターは声の音圧だけで枝葉を揺らす程の鳴き声を発し、大剣の様な牙を軽く振って自分の前にある大木を根刮ぎ倒す。
ブゴォアアアアアアアアアアアアア!
対する『鹿』、ここでは『ハルバードディア』は自らの蹄を地面に深く打ち込み、『暴走猪』を迎え撃つ体勢だ。
ゴァアアアアアアアアアアアアア!
耳を劈く程の鳴き声を上げ突進を開始、『暴走猪』の牙と『ハルバードディア』の角が接触した瞬間強烈な金属音と共に凄まじく火花が散った直後肉と肉がぶつかる音と地面が捲れ上がる音が響く。
『ハルバードディア』は僅かに後退したが完全に『暴走猪』の突進を受けきった。
『ハルバードディア』は首筋に血管と筋肉がくっきりと浮かび上がる程に力を入れると徐々に『暴走猪』の脚が地面から離れる。
完全に『暴走猪』の体を持ち上げた状態で今度はこちらが突進を開始、大木をも巻き込んではいるが速度は落ちる所か勢いを増し、そのままダンジョンの壁に突撃する。
身動きが取れなくなった『暴走猪』は角と壁に挟まれている、すると『ハルバードディア』は徐々に壁へ歩を進め、圧力を加えていく。
『暴走猪』も何とか逃げ出そうともがくが、なす術無くそのまま押し潰される。
ゴギボキゴギゴギッ! ベギッ! ドチャッ!
『ハルバードディア』は押し潰した『暴走猪』に興味が無くなったのか、その場を離れようとした時、樹上から音も無く『蛇』が首筋に噛み付いてきた。
『ハルバードディア』は振解こうとするが、ダガー程の長さがある牙と即座に注入された麻痺毒、それに加え、全身が筋肉の『蛇』、『猛毒大蛇』に巻き付かれ、即座に圧殺される。
グジャッ!
全身の骨が砕け、力無く地面に崩れ落ちた『ハルバードディア』を丸飲みしようと口を大きく開ける『猛毒大蛇』だが、樹上から多数の反応が迫って来る。
人間の胴体程の大きさで体色は赤く、通常の苦万蜂よりも甲殻が硬質化した『鬼苦万蜂』が『猛毒大蛇』を取り囲む。
『猛毒大蛇』が攻撃を仕掛けるが悉く回避され、その隙に他の個体が人間の手程の長さがある毒針を刺していく。
ある程度の抗体を持つ『猛毒大蛇』だが28本目の毒針を受けた所で遂に動けなくなった。
『猛毒大蛇』はなす術無く生きたまま『鬼苦万蜂』らの強力な顎で噛み千切られ、肉団子状にされた後、樹上の更に上にある巣へと運ばれて行く。
残された『暴走猪』と『ハルバードディア』の死骸を狙う為、また新たな戦闘が開始されようとする光景を血走った眼で見つめる『狼』がいた。
「何で薬草小屋に?」
「最近連戦続きで過労気味な上、<虫の知らせ>で妙な緊張状態が続いているノア君にぴったりの場所だよ!」
(薬草小屋だから…処方箋か何かかな…)
~10分後~
「あ~…ジョーさんこれは癒されますわ~」
ノアは薬草小屋の奥の部屋で装備を外して俯せに寝っ転がり、肩、背中、腰、両足に計5人の猫獣人によるマッサージ(脚でふみふみ)を受けていた。
「重くにゃいかにゃ?」
「重くにゃいです。(ノア)」
「おにーちゃん、足がゴチゴチですにゃ。」
「あー、通りでぇっ!さっきがらっ!痛っ!イダダッ!あだだだだっ!」
痛がるノアを見て店主(通称:ししょー)は指示を出す。
「それじゃ皆、ノア君の足を揉んで貰って良いかな?」
指示を受けた猫獣人達は一斉に足の各所を押し始め、その光景をししょーは眺めている。
ぐにぐにぐにぐにぐに 「いででっ!痛っ!」
「ここで働く猫獣人さん達の手はね、日頃から薬草を取り扱ってるからその手でツボを押されるだけで薬効が患部に染み込んでいくんだ。
どうだい?気持ちいいだろう。」
「見ての通りです…」
先程まで強張っていた顔が嘘の様に表情筋が緩みきった顔を晒している。
「うん、大体分かったよ。皆、手を止めて離れて頂戴。」
ししょーの指示で手を止め、ノアから離れる猫獣人達。
本音を言えばもう暫く施術を受けていたかったノアである。
ししょーはと言うと棚を開き、細く鋭い針を数本取り出す。
「あったあった。
坊や、この針は『針万坊』って魚のモノでね。
本来なら獲物を絡めとる際にツボに突き刺して動きを止めるって代物なんだが、ここではそれを鍼として利用してるのさ、動くんじゃないよ?」
トトトトトトトト!
ノアの足に次々と『針万坊』の針を刺していくししょー。
「んでもって…」
もふもふの手をぽむっと叩くと針がじんわりと温まり始める。
「針1本1本に『温度上昇』を付与してある。
ゆーっくり解していくと良いよ。」
すると音を立てない様に数人の猫獣人が撚り紐が付いた小皿を持って室内に入り、静かに火を着けるとふわりと香りが広がる。
(あー…良い香り…何の香りだっけ…柑き…)
「すやぁ…」
「いやー、ししょーすまないね、急な頼みを引き受けてくれて。」
「お前さんの頼みはいつも急だから構いやしないよ。
それにしても何だいこの子の体は、ギッシギシのゴッチゴチじゃないかい。」
ししょーは持っていた杖でノアの体をぐにぐにと押す。
その度寝ているノアが短い悲鳴を漏らす。
ししょーはノアが起きないギリギリの力でつついているだろうからとジョーも敢えて止めはしない。
「彼が噂の英雄さんさ。」
「ふむ、この子がねぇ…親御さんの教育の仕方が良いのか、しっかり体を作ってあるねぇ。
魔力の通りも良い、この子はまだまだ強くなれるよ。」
「本人は魔法を使った事は無いみたいだよ。」
「この恵体でかい?宝の持ち腐れじゃないか!」
「ししょー落ち着いて、本人が起きたら薦めてみるよ。」
「そうしな。今のご時世、強い味方は多いに越した事は無いだろう?」
「そう、ですね。」
「さて、お前さんもどうせ働き詰めだろう、ついでに施術してやるよ。」
「やったね。ししょーの施術は久しぶりだ!」
そうしてジョーもししょーによる施術が始まった。
「ふぁ~~~~~~よく寝たぁっ!」
死んだ様に眠っていたノアがゆっくりと上体を起こして伸びをする。
「本当によく寝てたねぇ。気分はどうだい?」
「久々にぐっすり寝れました、足が張ってた様な感覚もありませんし。」
「今日は足を重点的にやってあげたけど時々顔出しな。
坊やは歳の割にコリが酷いからね、他の部位もやってあげるよ。」
「ありがとうございます。」
ノアはまた少し伸びを行い、起き上がると外していた装備を装着してジョーと共に薬草小屋を出る。
通りに出ると既に辺りは暗くなっていた。
「僕はどれ位寝てましたか?」
「ざっと2時間って所だね。<虫の知らせ>はどうだい?」
「今は特に感じません。」
「<虫の知らせ>は自分の精神面や体調にも反応する時があるからね、長く続くようだったら今みたく気分転換してみると良い。」
「いやーとても癒されました。毎日来ます。」
「流石に毎日は来過ぎだよ…」
ノアとジョーが街の通りで会話を行っていた丁度その頃。
~ダンジョン下層最深部~
そこは強者しかいない階層。
下層1~4階で鎬を削った猛者達が最後に到達する場所。
今その階層を悠然と歩く1頭の『猪』がいる。
『猪』と言ったが、体高は人の2倍はあり、大木に体が軽く当たるだけで木の軋む音と木の表面がごりごりと削れる音が響く。
地面には泥濘んでもいないのに『猪』の足跡が深く残される。
それだけで『猪』の重量が見てとれる。
今『猪』の進行方向に『鹿』が草を食んでいる。
『鹿』と言ったが、頭には斧の様な角が生えている、但し大きさは人間大は軽くある。
『鹿』の脚は人間の胴体程の太さがあり、筋がくっきりと見える程の高密度の筋肉を搭載している。
両者の目が合う。
上層、中層であれば『猪』が軽く鳴けば『鹿』は一目散に逃げ出す。
但しこの『鹿』は違う、『猪』をじっと睨んだ後鼻を鳴らしてまた草を食み始めた。
その態度が気に入らないのであろう。
『猪』、この階層では『暴走猪』と言う名のモンスターは声の音圧だけで枝葉を揺らす程の鳴き声を発し、大剣の様な牙を軽く振って自分の前にある大木を根刮ぎ倒す。
ブゴォアアアアアアアアアアアアア!
対する『鹿』、ここでは『ハルバードディア』は自らの蹄を地面に深く打ち込み、『暴走猪』を迎え撃つ体勢だ。
ゴァアアアアアアアアアアアアア!
耳を劈く程の鳴き声を上げ突進を開始、『暴走猪』の牙と『ハルバードディア』の角が接触した瞬間強烈な金属音と共に凄まじく火花が散った直後肉と肉がぶつかる音と地面が捲れ上がる音が響く。
『ハルバードディア』は僅かに後退したが完全に『暴走猪』の突進を受けきった。
『ハルバードディア』は首筋に血管と筋肉がくっきりと浮かび上がる程に力を入れると徐々に『暴走猪』の脚が地面から離れる。
完全に『暴走猪』の体を持ち上げた状態で今度はこちらが突進を開始、大木をも巻き込んではいるが速度は落ちる所か勢いを増し、そのままダンジョンの壁に突撃する。
身動きが取れなくなった『暴走猪』は角と壁に挟まれている、すると『ハルバードディア』は徐々に壁へ歩を進め、圧力を加えていく。
『暴走猪』も何とか逃げ出そうともがくが、なす術無くそのまま押し潰される。
ゴギボキゴギゴギッ! ベギッ! ドチャッ!
『ハルバードディア』は押し潰した『暴走猪』に興味が無くなったのか、その場を離れようとした時、樹上から音も無く『蛇』が首筋に噛み付いてきた。
『ハルバードディア』は振解こうとするが、ダガー程の長さがある牙と即座に注入された麻痺毒、それに加え、全身が筋肉の『蛇』、『猛毒大蛇』に巻き付かれ、即座に圧殺される。
グジャッ!
全身の骨が砕け、力無く地面に崩れ落ちた『ハルバードディア』を丸飲みしようと口を大きく開ける『猛毒大蛇』だが、樹上から多数の反応が迫って来る。
人間の胴体程の大きさで体色は赤く、通常の苦万蜂よりも甲殻が硬質化した『鬼苦万蜂』が『猛毒大蛇』を取り囲む。
『猛毒大蛇』が攻撃を仕掛けるが悉く回避され、その隙に他の個体が人間の手程の長さがある毒針を刺していく。
ある程度の抗体を持つ『猛毒大蛇』だが28本目の毒針を受けた所で遂に動けなくなった。
『猛毒大蛇』はなす術無く生きたまま『鬼苦万蜂』らの強力な顎で噛み千切られ、肉団子状にされた後、樹上の更に上にある巣へと運ばれて行く。
残された『暴走猪』と『ハルバードディア』の死骸を狙う為、また新たな戦闘が開始されようとする光景を血走った眼で見つめる『狼』がいた。
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