ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
179 / 1,117
フリアダビア前哨基地編

話は一気に進み

しおりを挟む
あれから話は一気に進み、1時間後に雑貨店内でメグミ草用の鉢を買っていた時に再び黒いフードの人物(獣人)が書状と金色のペンダントを持って現れた。

書状には、エルベストの代理で任務を受けてくれる事への感謝と、現在のフリアダビアの状況、他にも参加するパーティがいる事、ペンダントはこの任務参加の証だという事らしい。


「出立は明日の明朝、空が白んで来る頃に開通前の北門に集まって欲しい。
今回君はエルベストの代理とかでは無く、優良冒険者として参加して貰う。
妙に注目されるのは嫌だろうからね。
任務期間は最低3日を予定しているが、場合によっては延びる場合がある。」

「了解しました。」

「ちなみに今回参加するパーティは君以外に3グループいる。
あくまでパーティ単位での行動になるから【適正】の心配は無いだろう。」

「こちらからも質問良いですか?」

「何だ?」

「出現モンスターはどういったのが出て来るか、攻撃方法等を教えて貰えませんか?」

「そうだな…傾向としては蜥蜴、蛇、鰐等の爬虫類が殆どだ。
体の構造は通常種と何ら変わり無いが、攻撃方法は多彩過ぎる。
自分は2体しか戦った事が無いが、"厄介"としか言い様が無い。」

「ほう。」

「蛇を例にするが、通常であれば噛み付く、巻き付く程度だが、個々に魔素量が異常な為ありとあらゆる魔法を使ってくる。
流石に逃げに徹した時に、転移魔法を使ってきた時は肝が冷えたぞ。」

「ほう…」

「だからフリアダビアには経験豊富なパーティか、その場その場で臨機応変に対応出来る君の様な者が必要になる。
こんなもので良いかな?」

「ええ、ありがとうございます。後はこちらで戦術を考えてみます。」

「そうか分かった、フリアダビアには私も同行する。
ではまた数時間後にな。」


フードを被った獣人は街の雑踏の中へと消え、残ったノアは買い物を続ける。




「ねぇヴァンディットさん、少し話があるんですが。」

「はい、何でしょう?」


買い物を終えたノアが提案した"ある事"についてヴァンディットと話をする事およそ10分。
街に人が少なくなった夜中を狙い、ヴァンディットと共に実践する事約2時間。


「ノア様から提案された時はどうなるか分かりませんでしたが、非常に上達が早くて驚きです…」

「使える手は多い方が良いでしょうからね、現地に着いた時は使わせて貰います。」

「はい、どうぞお構い無く。それでは引き続き薬品製作を行ってますね?」

「ええ、頑張って下さい。」


そう言い残してヴァンディットは再び影の中へと戻って行った。

時間は大体午前3時、ヴァンディットのご飯と自分の腹拵えの為ノアは食品街へと足を向けていった。







そして現在。

空が薄ら白んで来た頃、以前隊員達がオードゥスに調査しに来た時に乗っていた巨鳥が飛来。
北門の外にいたノアと黒いフードの獣人の前に降り立った。

あまりの大きさに全体像が見えずにノアが困っていると

クルッポー 

「あの時の鳥…鳩だったのか…」


鳩独特の鳴き声をあげ、前日に園芸業者が植えていた街路樹を啄む。

すると、巨鳩の上から声が掛かる。


「君達が今回参加の者か、今梯子を…」

「あ、お構い無く。」

「え?」


ノアは<壁走り>を発動、跳躍して巨鳩の胸元まで飛ぶと、ズダダッと走り再び跳躍。
羽の付け根に着地すると更に跳躍して巨鳩の背に乗る。
それに続けと黒いフードの獣人も乗り込む。

そんな2人を観察する様に3組のパーティが視線を送る。
その内の1組がノアの元に歩み寄る。


「 なぁんだぁ?お前さん1人か!」
「若ぇなぁ!まだガキじゃねぇか!ガハハ。」
「こんまいのぉ、だが良い目をしておる!」


ノアの元には、自分の体と同じ大きさの戦斧を担いだドワーフ3人組がやって来た。
腰に酒瓶を提げ、事ある毎にガハハと笑う何とも陽気な3人組だ。


「初めまして、ノアと言います。
この街からの参加者は僕1人となります。」

「お前さん、事前説明はされとるよな?これから行くのは死地だぜぇ分かっとるのかい?」

「ええ勿論、聞いた上で志願しました。」

「ガハハッ!良い面構えだ!気に入った!
おぅ!酒飲むか?」

「すいません、未成年なも「冗談だ!もうぜーんぶ飲んで空っぽだ!ガハハッ!」


陽気なドワーフ3人組は積まれた大きな木箱の元に歩いて行った。
恐らくだが中身は酒だろう。


「ノア君はドワーフを見るのは初めてかな?」

「ええ、両親の昔話で何度か聞いた事ある位です。」

「見ての通り酒を好むので、彼等と仲良くなりたいのであれば、まずは酒を用意する事だ。」



『ドワーフ』…身長は大体150セメル程、小柄な体格ではあるが筋骨隆々で陽気な性格。
酒を好み、大抵いつも酒臭い。
鍛冶技術に長け、主に戦斧を用いて戦う。
強者を好み、倒して得た素材で更に強力な武器を作り、戦いに明け暮れる。
口癖『ガハハ』



「ちょっとちょっと、子供1人で大丈夫?」
「僕?お仲間さんはいないの?」


ノアの顔の周りを目映い光が2つ飛び回り、顔の前まで来ると6枚羽根が展開して姿を現す。

稲光を小さく圧縮して形作った様な6枚羽根をはためかせた少女と、氷で出来た6枚羽根をはためかせた少女が目の前に浮かぶ。


「すいません、僕1人です。」

「ありゃりゃ…」
「あらあら…」


ノア1人だけと報告を受けた妖精(?)2人が落胆の声を上げる。


「別に良いだろう?1人でも戦力になると志願してくれたんだ。
それ相応に敬意を払うべきだ。」


そう言って妖精(?)2人を摘まんで連れていく男性エルフ。


「申し訳無いな、妖精は皆お転婆だったり口が悪かったりするが悪気は無いんだ、許してやってくれ。」


両手でぎゃーすか騒ぐ2妖精を連れてノアの元から離れる。


「ノア君、妖精も初めてだね?」

「ええ、絵本の中だけの存在かと思ってました。」

「種族的に発言が子供っぽい所があるが気にしないでくれ。
2人だからまだいいが、10人とか集まると保育園と何ら変わり無い、君が言うように私は獣人だが、玩具にされるぞ。」


黒いフードで表情が分からないが、恐らく過去に玩具にされた事があるのだろう。



『妖精』…身長30セメル、基本的に少女の姿で存在。
個体毎に適正属性魔法を持ち、その属性の6枚羽根や生体鎧を身に纏う。
見た目的には貧弱な生体鎧ではあるが、持ち前の多重防御障壁を持っている為、下手な防具よりも防御力は備わっている。
魔力の扱いに長けている事から、目に見えない存在を感知しやすい。
種族の8割がボクっ娘。


「さて、残るは…あそこにいる3人組だけか…」

ノアの視線の先には白銀の鎧を身に纏った3人の男女がこちらを見つめていた。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...