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王都編
ケンちゃんと戦った人族
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「ねぇねぇ!お兄ちゃんってこの間ケンちゃんと戦った人族だよね?」
神殿を進む一行の元に子供位の大きさでお尻に小さな尾ひれを生やした人魚の子供が30人程集まって来た。
「ケンちゃん?」
「ノア様が戦われたクラーケンの事ですよ。」
「あぁ、それでケンちゃんですか…」
「ねぇ、お兄ちゃん僕らと大きさ変わらないのに何でそんなに強いの?」
「人族って皆強いの?」
「ねーお外の事教えてー。」
「こーら、この人達はお客様です。
皆さん今はお勉強の時間のハズですよ?
学校へ戻りなさい。」
「「「「「はーい!」」」」」
(前回は姿を見なかったけどこんなに子供が居たのか…
というか学校あるんだ、ここ…)
今さらだがこの海底神殿は彼ら海洋種の国だ。
前回ここに来たノアは知っているが、彼らの技術力は明らかに人よりも上だ。
学校の1つや2つあってもおかしくはないだろう。
「ちょ、ちょっと良いですか…?
今、クラーケンと戦ったと仰いましたか…?」
先程から驚きの連続で魂が抜けたかの様に呆然としていたジョーが『クラーケン』と言う名を耳にいれると直ぐ様復活。
前を歩く(?)セレイアに質問を投げ掛ける。
「はい、クラーケンですね。
我ら海洋種と共に生きておりますよ。
先日不慮の事故で私共のクラーケンとノア様が図らずも戦闘状態となりました。
直ぐ様私が止めに行きましたが、その時既にノア様は半死半生状態であった為、ここで治療を行いました。」
「…え?戦闘…半死半…それは何かの間違いでは…?
あの時ノア様が縦穴を落下して直ぐに戻ってきましたよ?
確かに血塗れではありましたが…」
『レベル8』に取り残されていたヴァンディットは、セレイアの話す内容と体感時間が合わない事に反論した様だ。
「あー…ヴァンディットさん、その辺り少ーしややこしいので多分後で説明されると思います。なので今は頭の隅にでも追いやってて下さい。」
「え?は、はい、畏まりました…」
ヴァンディットは頭の上に『?』を生やし、未だ混乱している。
(うん、分かるよその気持ち。
僕も最初飲み込めなかったしね…)
当時の事を思い出しウンウンと頷くノアだった。
「…それにしても、ここは何処の海底なのですか?
この様な巨大な建物が存在しているにも関わらず、未だ発見されていないという事はそれだけ深い海にあるハズ。
ですが、私の知る限りこれ程の深い海は聞いた事がありません。」
「まぁ気になる所ではあると思いますが、その辺り含め、長からご説明致します。」
セレイアは大きな扉の前で立ち止まり、中に居る者へ声を掛ける。
「リヴァイア様、ノア様とノア様のお知り合いの方々をお連れしました。」
「はいよー。」
((((軽い…))))
ガチャ
セレイアが扉を開け、一行は全面ガラス張りの巨大な部屋に通される。
ノアは一度見ているので平静を保っていたが、ガラスを1枚隔てた外には海流で靡き、冷光する海藻や珊瑚。
発光する魚やモンスターが泳ぐ幻想的な光景に他の3人が見とれていた。
そんな中、ノアが率先して前に出て部屋の中央に立つ青紫色の鎧を纏った女性に声を掛ける。
「リヴァイアさん、数日振りですね。
小耳に挟んだ所、どうやら今日王都に来ていた様ですが…」
「いやぁ~王都の方から嫌な気配を感じてね、気になったから行ってみたんだよ。
そしたら、昔クラーケンの長が国滅ぼす時に放った攻撃の縮小版みたいな物を発動してたから驚いたよ。あはは。」
ケラケラと笑うリヴァイアだが、ノアの後ろに立つ3人は顔が引き攣っていた。
「それで、後ろに居るのがノア君の知り合いだね?」
「はい、まず始めに、王都に拠点を置く商人のジョーさんです。」
「どうも、只今ノア君から紹介されましたジョーと申します。
私の隣に居りますのは従業員兼護衛のラーベと言います。」
ぺこっ
ラーベは声を発さず、リヴァイアに会釈する。
「ノア君とは冒険者生活開始直後からの知り合いにございます。
本日はノア君の方から国交の事で相談があって参った次第です。」
「これはご丁寧にどうも。
ですがもう少し砕けて頂いても構いませんよ?
この件は私共からのお願い事の様な物なのですから。」
「はは、善処します。」
リヴァイアからおねがいされたジョーは、早速いつもの調子に切り替えた様だ。
こういった切り替えの早さは流石である。
「それと、僕の後ろに居るのは従者のヴァンディットです。」
「ご紹介に与りましたヴァンディットです。
ノア様の健康面等の手助けに従事しております。」
「ほぅ、という事はあなたが。」
「え?」
「ウチの爺が褒めてらっしゃいましたよ。
ノア君が死にかけていた時に『従者のお陰で自然治癒力が高い』とね。」
「まぁ…」
ヴァンディットが驚いた表情をしていると、ノアが後ろを向いてにこっと笑い掛ける。
「さて、最後に私の紹介をさせて頂きますね。
私は海洋種の長のリヴァイアと言います。
実は地上で国が栄えてると知ったのは割と最近の事なんだ。
それからちょくちょく地上に出たりしてたんだけど、中々機会に恵まれなくってね。
そしたら先日ノア君がやって来たからダメ元で提案してみたのさ。」
リヴァイアは軽い口調で事のあらましを説明。
「ではこれからは皆さんが気になっているであろう事を説明していくよ?
先程セレイアに質問していたと思うけど、まずはここが何処か、と言う所から入っていくとしよう。」
そこからリヴァイア自ら説明を開始。
この龍宮城は王都国営の鉱山の真下にある事。
王都が手掛けている『レベル26』が最下層では無く、海洋種が防衛戦目的で新造している『レベル158』が真の最下層である事。
たまたま護衛依頼で鉱山に来ていたノアが何者かの手によって事故に見せ掛け、始末されかけた挙げ句結界を突破し、『レベル158』に意図せず落下して来てしまった事。
その時、あまりに異例の出来事だった為、思わず空間を断絶して外界との時間の流れを遮断した事。
因みに今回は外と中の時間の流れは同じにしているらしい。
「こ、ここが鉱山の真下…にわかには信じられないが…」
「驚きの連続ですね…」
「あの時ノア様、血塗れなのに無傷でしたので色々おかしいと思いましたが、そんな事が…」
「まぁ百聞は一見にしかずってね、実際に見て貰いましょうか。」
そう言ってリヴァイアは両手をパチンと合わせた後に手を広げ、間の空間に何かの図が現れる。
その図をリヴァイアが指でつついてガラス張りの壁にスッと投げる。
すると壁の大きさに図が拡大される。
その図を指でなぞっていくと、図の景色が夜から夕暮れ、朝、夜、夕暮れと次々に変化していく。
スイッ、スイッ
「ええっと…巻き戻し、巻き戻し…」
この何気無い動作だけでジョーが口を開けて呆然としている。
「あったあった。
これが鉱山の入口~今私達がいる龍宮城の断面図で、ノア君が『レベル158』に落下して来てしまった当時の映像ね。」
『ゴシャァアアッ!バギンッ!』
ドガッ!ベキボキッ!ズザザァッ!ドン。
突如ガラス張りの壁にノアが昇降機ごと落下して来た映像が映し出される。
体の各所がグシャグシャに潰れ、ひしゃげ、へし折れ、捻れ曲がり、大量に出血したノアの前に触手を器用に折り畳み、水面から上半身だけ姿を現した巨大なクラーケンが鎮座していた。
その後、戦闘~襲撃者捕縛までの映像が10分程流れる事になった。
(小っ恥ずかしい…)
神殿を進む一行の元に子供位の大きさでお尻に小さな尾ひれを生やした人魚の子供が30人程集まって来た。
「ケンちゃん?」
「ノア様が戦われたクラーケンの事ですよ。」
「あぁ、それでケンちゃんですか…」
「ねぇ、お兄ちゃん僕らと大きさ変わらないのに何でそんなに強いの?」
「人族って皆強いの?」
「ねーお外の事教えてー。」
「こーら、この人達はお客様です。
皆さん今はお勉強の時間のハズですよ?
学校へ戻りなさい。」
「「「「「はーい!」」」」」
(前回は姿を見なかったけどこんなに子供が居たのか…
というか学校あるんだ、ここ…)
今さらだがこの海底神殿は彼ら海洋種の国だ。
前回ここに来たノアは知っているが、彼らの技術力は明らかに人よりも上だ。
学校の1つや2つあってもおかしくはないだろう。
「ちょ、ちょっと良いですか…?
今、クラーケンと戦ったと仰いましたか…?」
先程から驚きの連続で魂が抜けたかの様に呆然としていたジョーが『クラーケン』と言う名を耳にいれると直ぐ様復活。
前を歩く(?)セレイアに質問を投げ掛ける。
「はい、クラーケンですね。
我ら海洋種と共に生きておりますよ。
先日不慮の事故で私共のクラーケンとノア様が図らずも戦闘状態となりました。
直ぐ様私が止めに行きましたが、その時既にノア様は半死半生状態であった為、ここで治療を行いました。」
「…え?戦闘…半死半…それは何かの間違いでは…?
あの時ノア様が縦穴を落下して直ぐに戻ってきましたよ?
確かに血塗れではありましたが…」
『レベル8』に取り残されていたヴァンディットは、セレイアの話す内容と体感時間が合わない事に反論した様だ。
「あー…ヴァンディットさん、その辺り少ーしややこしいので多分後で説明されると思います。なので今は頭の隅にでも追いやってて下さい。」
「え?は、はい、畏まりました…」
ヴァンディットは頭の上に『?』を生やし、未だ混乱している。
(うん、分かるよその気持ち。
僕も最初飲み込めなかったしね…)
当時の事を思い出しウンウンと頷くノアだった。
「…それにしても、ここは何処の海底なのですか?
この様な巨大な建物が存在しているにも関わらず、未だ発見されていないという事はそれだけ深い海にあるハズ。
ですが、私の知る限りこれ程の深い海は聞いた事がありません。」
「まぁ気になる所ではあると思いますが、その辺り含め、長からご説明致します。」
セレイアは大きな扉の前で立ち止まり、中に居る者へ声を掛ける。
「リヴァイア様、ノア様とノア様のお知り合いの方々をお連れしました。」
「はいよー。」
((((軽い…))))
ガチャ
セレイアが扉を開け、一行は全面ガラス張りの巨大な部屋に通される。
ノアは一度見ているので平静を保っていたが、ガラスを1枚隔てた外には海流で靡き、冷光する海藻や珊瑚。
発光する魚やモンスターが泳ぐ幻想的な光景に他の3人が見とれていた。
そんな中、ノアが率先して前に出て部屋の中央に立つ青紫色の鎧を纏った女性に声を掛ける。
「リヴァイアさん、数日振りですね。
小耳に挟んだ所、どうやら今日王都に来ていた様ですが…」
「いやぁ~王都の方から嫌な気配を感じてね、気になったから行ってみたんだよ。
そしたら、昔クラーケンの長が国滅ぼす時に放った攻撃の縮小版みたいな物を発動してたから驚いたよ。あはは。」
ケラケラと笑うリヴァイアだが、ノアの後ろに立つ3人は顔が引き攣っていた。
「それで、後ろに居るのがノア君の知り合いだね?」
「はい、まず始めに、王都に拠点を置く商人のジョーさんです。」
「どうも、只今ノア君から紹介されましたジョーと申します。
私の隣に居りますのは従業員兼護衛のラーベと言います。」
ぺこっ
ラーベは声を発さず、リヴァイアに会釈する。
「ノア君とは冒険者生活開始直後からの知り合いにございます。
本日はノア君の方から国交の事で相談があって参った次第です。」
「これはご丁寧にどうも。
ですがもう少し砕けて頂いても構いませんよ?
この件は私共からのお願い事の様な物なのですから。」
「はは、善処します。」
リヴァイアからおねがいされたジョーは、早速いつもの調子に切り替えた様だ。
こういった切り替えの早さは流石である。
「それと、僕の後ろに居るのは従者のヴァンディットです。」
「ご紹介に与りましたヴァンディットです。
ノア様の健康面等の手助けに従事しております。」
「ほぅ、という事はあなたが。」
「え?」
「ウチの爺が褒めてらっしゃいましたよ。
ノア君が死にかけていた時に『従者のお陰で自然治癒力が高い』とね。」
「まぁ…」
ヴァンディットが驚いた表情をしていると、ノアが後ろを向いてにこっと笑い掛ける。
「さて、最後に私の紹介をさせて頂きますね。
私は海洋種の長のリヴァイアと言います。
実は地上で国が栄えてると知ったのは割と最近の事なんだ。
それからちょくちょく地上に出たりしてたんだけど、中々機会に恵まれなくってね。
そしたら先日ノア君がやって来たからダメ元で提案してみたのさ。」
リヴァイアは軽い口調で事のあらましを説明。
「ではこれからは皆さんが気になっているであろう事を説明していくよ?
先程セレイアに質問していたと思うけど、まずはここが何処か、と言う所から入っていくとしよう。」
そこからリヴァイア自ら説明を開始。
この龍宮城は王都国営の鉱山の真下にある事。
王都が手掛けている『レベル26』が最下層では無く、海洋種が防衛戦目的で新造している『レベル158』が真の最下層である事。
たまたま護衛依頼で鉱山に来ていたノアが何者かの手によって事故に見せ掛け、始末されかけた挙げ句結界を突破し、『レベル158』に意図せず落下して来てしまった事。
その時、あまりに異例の出来事だった為、思わず空間を断絶して外界との時間の流れを遮断した事。
因みに今回は外と中の時間の流れは同じにしているらしい。
「こ、ここが鉱山の真下…にわかには信じられないが…」
「驚きの連続ですね…」
「あの時ノア様、血塗れなのに無傷でしたので色々おかしいと思いましたが、そんな事が…」
「まぁ百聞は一見にしかずってね、実際に見て貰いましょうか。」
そう言ってリヴァイアは両手をパチンと合わせた後に手を広げ、間の空間に何かの図が現れる。
その図をリヴァイアが指でつついてガラス張りの壁にスッと投げる。
すると壁の大きさに図が拡大される。
その図を指でなぞっていくと、図の景色が夜から夕暮れ、朝、夜、夕暮れと次々に変化していく。
スイッ、スイッ
「ええっと…巻き戻し、巻き戻し…」
この何気無い動作だけでジョーが口を開けて呆然としている。
「あったあった。
これが鉱山の入口~今私達がいる龍宮城の断面図で、ノア君が『レベル158』に落下して来てしまった当時の映像ね。」
『ゴシャァアアッ!バギンッ!』
ドガッ!ベキボキッ!ズザザァッ!ドン。
突如ガラス張りの壁にノアが昇降機ごと落下して来た映像が映し出される。
体の各所がグシャグシャに潰れ、ひしゃげ、へし折れ、捻れ曲がり、大量に出血したノアの前に触手を器用に折り畳み、水面から上半身だけ姿を現した巨大なクラーケンが鎮座していた。
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(小っ恥ずかしい…)
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